判別分析とクラスター分析とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・数量分析と確率・統計
ひとことで言うと
- 判別分析は、所属グループがわかっているデータから判別のルール(判別関数)を作り、新しいデータがどのグループに属するかを判定する手法です。
- クラスター分析は、グループが事前に決まっていないデータを、似ているもの同士でまとめてグループ(クラスター)を作る手法です。
- 「正解のグループがあるか」(教師あり/教師なし)が両者の大きな違いです。
この記事では、証券アナリスト2次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「判別分析とクラスター分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 市場と経済の分析/数量分析と確率・統計 |
|---|---|
| 大分類 | (12) 多変量解析 |
| 協会の学習ポイント | 判別分析とクラスター分析の手法の概要を理解する。 |
判別分析とクラスター分析とは
判別分析
判別分析は、「倒産した企業/存続した企業」のように所属グループがわかっている過去のデータを使い、財務比率などの変数からグループを見分けるルールを作る手法です。代表的な線形判別関数(フィッシャーの線形判別)は、変数の重み付き和 z = w1x1 + … + wkxk を作り、グループ間の差(平均の差)がグループ内のばらつきに比べて最も大きくなるように重みを決めます。新しい企業はこの判別得点zを計算し、境界値との大小でどちらのグループかを判定します。
ほかに、各グループの中心からの距離(マハラノビス距離)が近いほうに分類する方法もあります。判別の精度は、正しく分類できた割合(判別的中率)や誤判別率で評価します。企業の信用リスク評価(倒産予測)が典型的な応用例で、同じ目的にはロジットモデルもよく使われます。
クラスター分析
クラスター分析は、銘柄や投資信託などを、リターンの動きや財務特性が似ているもの同士でグループ分けする手法です。まず個体間の距離(非類似度)をユークリッド距離などで定義し、近いもの同士をまとめます。
- 階層的方法:最も近い2つを順に併合していき、その過程を樹形図(デンドログラム)で表します。クラスター間の距離の測り方により、最短距離法、最長距離法、群平均法、ウォード法などがあります。
- 非階層的方法:あらかじめクラスター数kを決め、各個体を最も近い中心に割り当てて中心を更新することを繰り返すk-means法が代表的です。
整理しておきたいポイント
| 観点 | 判別分析 | クラスター分析 |
|---|---|---|
| グループ | 事前にわかっている | 事前にはない(分析で作る) |
| 目的 | 新しいデータの所属を判定 | 似たもの同士の分類・整理 |
| 学習の型 | 教師あり | 教師なし |
| 代表的手法 | 線形判別関数、マハラノビス距離 | 階層的方法(ウォード法など)、k-means法 |
| 応用例 | 倒産予測、格付け判定 | 銘柄・ファンドのグループ化、スタイル分類 |
具体例で確認
判別分析:判別得点の平均が、存続企業群で2.0、倒産企業群で−1.0だったとします。両群のばらつきが等しく、事前の所属確率や誤判別のコストも同じとみなせるなら、境界値は中点の(2.0 +(−1.0))÷ 2 = 0.5 です。ある企業の判別得点が0.3なら、0.5を下回るので倒産企業群に近いと判定されます。
クラスター分析(最短距離法):1つの指標の値が A=1、B=2.5、C=7、D=8、E=12 の5銘柄を考えます。
- 最も近いCとD(距離1)を併合 → {C, D}
- 次に近いAとB(距離1.5)を併合 → {A, B}
- Eと{C, D}の距離は最も近いDとの4、{A, B}と{C, D}の距離はBとCの4.5なので、Eを{C, D}に併合 → {C, D, E}
- 最後に{A, B}と{C, D, E}を距離4.5で併合
2つのクラスターに分けるなら、{A, B}と{C, D, E}になります。
試験で問われやすいポイント
- 判別分析は「グループが既知(教師あり)」、クラスター分析は「グループが未知(教師なし)」という違い。
- 線形判別関数の考え方(群間の差を群内のばらつきに比べて最大化)と、判別得点・境界値による判定。
- 階層的方法(最短距離法・最長距離法・群平均法・ウォード法)と非階層的方法(k-means法)の区別。
- 距離の定義や変数の標準化の有無、併合方法によって結果が変わる点。
- 記述式では、手法の違いや適した利用場面を説明させる問題、簡単な併合手順を示させる問題に備えましょう。
要点まとめ
- 判別分析は既知のグループから判別ルールを作り、新しいデータを分類します。
- クラスター分析は、距離をもとに似たもの同士をまとめてグループを作ります。
- クラスター分析には階層的方法(デンドログラム)と非階層的方法(k-means法)があります。
- 倒産予測には判別分析、銘柄やファンドのグループ化にはクラスター分析が使われます。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
