リース取引とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・財務分析
ひとことで言うと
- リース取引は、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分かれます。
- ファイナンス・リースは解約不能(ノンキャンセラブル)かつフルペイアウトのリースで、借手は実質的に資産を借入れで購入したものとして売買処理(資産・負債を計上)します。
- オペレーティング・リースは、それ以外のリースで、借手は賃貸借処理(支払リース料を費用計上)します。
この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「リース取引」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (5) 費用の測定 |
| 協会の学習ポイント | リース取引の要件と会計処理を理解する。 |
リース取引とは
リース取引は、貸手(リース会社)が所有する設備などを、借手が一定期間使い、その対価としてリース料を支払う取引です。形式は「賃貸借」ですが、中途解約ができず、リース料の総額で設備代金のほぼ全額を支払うような取引は、経済的にはお金を借りて設備を買ったのと同じです。そこで日本基準(リース取引に関する会計基準)は、実質に着目してリース取引を2つに分けて処理します。
ファイナンス・リースの要件
- 解約不能(ノンキャンセラブル):リース期間の途中で契約を解除できない(または解約時に多額の違約金がかかり事実上解約できない)。
- フルペイアウト:借手がリース物件からの経済的利益を実質的に享受し、使用に伴うコストも実質的に負担する。
フルペイアウトかどうかは、実務上、現在価値基準(リース料総額の現在価値が見積現金購入価額のおおむね90%以上)か、経済的耐用年数基準(リース期間が経済的耐用年数のおおむね75%以上)のいずれかを満たすかで判定します。ファイナンス・リースはさらに、所有権が借手に移転するもの(所有権移転)と、移転しないもの(所有権移転外)に分かれます。
借手の会計処理
ファイナンス・リースでは、借手はリース資産とリース債務を貸借対照表に計上し、リース資産は減価償却、リース料の支払いは債務の返済と支払利息に分けて処理します。所有権移転外の場合は、原則としてリース期間を耐用年数、残存価額をゼロとして償却します。オペレーティング・リースでは、支払リース料をそのまま費用とし、資産・負債は計上しません(オフバランス)。
新しいリース会計基準の動き
IFRS第16号では、借手は短期・少額などの例外を除き、原則すべてのリースについて使用権資産とリース負債を計上します。日本でもこれに近い考え方の新しいリース会計基準が公表され、2027年4月以降に開始する事業年度から適用される予定です。適用後はオペレーティング・リースの多くもオンバランスになるため、学習の際は、試験の出題範囲がどちらの基準に基づくかを協会の資料で確認しておくと安心です。
整理しておきたいポイント
| 項目 | ファイナンス・リース | オペレーティング・リース |
|---|---|---|
| 要件 | 解約不能かつフルペイアウト | ファイナンス・リース以外 |
| 借手の処理 | 売買処理(リース資産・リース債務を計上) | 賃貸借処理(支払リース料を費用) |
| 損益計算書 | 減価償却費 + 支払利息 | 支払リース料 |
| 財務比率への影響 | 総資産・負債が増え、ROAや自己資本比率は低下 | オフバランスで比率に表れにくい |
具体例で確認
借手が次の条件で機械をリースしたとします(単位:万円)。解約不能で、所有権は移転しません。
- リース期間5年、年間リース料100(毎年末払い)、借手の追加借入利子率5%
- 見積現金購入価額450、経済的耐用年数6年
- 現在価値基準:リース料総額の現在価値は、100 ×(1 − 1.05−5)÷ 0.05 ≒ 433。433 ÷ 450 ≒ 96%で90%以上。
- 経済的耐用年数基準:5 ÷ 6 ≒ 83%で75%以上。どちらも満たすのでファイナンス・リースです。
- 計上額:リース資産・リース債務を433で計上します(現在価値と見積現金購入価額の低い方)。
- 1年目の費用:支払利息 433 × 5% ≒ 21.6、減価償却費 433 ÷ 5 ≒ 86.6、合計 ≒ 108.2。リース料100のうち、約78.4がリース債務の返済に充てられます。
同じ取引をオペレーティング・リースとして処理すれば、毎年の費用は100で一定です。ファイナンス・リースでは利息が初期ほど大きいため、費用は前半に多く計上されます。
試験で問われやすいポイント
- ファイナンス・リースの2要件(解約不能・フルペイアウト)と、90%・75%の判定基準。
- 借手の処理の違い:ファイナンス・リースは売買処理でオンバランス、オペレーティング・リースは賃貸借処理でオフバランス。
- オンバランス化による総資産・負債の増加が、ROAや負債比率などの財務比率に与える影響。
- リース料の現在価値計算と、支払利息・減価償却費への分解。
- IFRS第16号では借手が原則すべてのリースを使用権資産として計上する点。
要点まとめ
- ファイナンス・リースは解約不能かつフルペイアウトのリース。
- 判定は現在価値基準(90%以上)か経済的耐用年数基準(75%以上)。
- ファイナンス・リースは売買処理、オペレーティング・リースは賃貸借処理。
- IFRS第16号や日本の新基準では、借手は原則オンバランス処理となる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
