ひとことで言うと

  • 4つの財務諸表は別々の表ではなく、数字でつながっています
  • 損益計算書の当期純利益は、株主資本等変動計算書を通じて貸借対照表の利益剰余金を増やします。
  • キャッシュ・フロー計算書は、貸借対照表の現金(現金及び現金同等物)が期首から期末までにどう増減したかを説明します。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「財務諸表の相互関係」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (2) 主要財務諸表と企業活動
協会の学習ポイント 損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書の相互関係を理解する。

財務諸表の相互関係とは

財務諸表の中心となるのは、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書(C/F)、株主資本等変動計算書(S/S)の4つです。それぞれが企業活動の異なる側面を示していますが、互いに数字でつながっているため、組み合わせて読むことで企業の全体像が見えてきます。

貸借対照表はストック、他の3つはフロー

貸借対照表は、期末時点の資産・負債・純資産の残高(ストック)を示します。一方、損益計算書・キャッシュ・フロー計算書・株主資本等変動計算書は、1年間の変化(フロー)を示します。期首の貸借対照表と期末の貸借対照表の差を、フローの計算書がそれぞれの観点から説明している、と考えると理解しやすくなります。

損益計算書と株主資本等変動計算書・貸借対照表

損益計算書で計算された当期純利益は、株主資本等変動計算書で利益剰余金の増加として記録されます。配当を行えば利益剰余金は減少します。こうして求めた期末の利益剰余金が、貸借対照表の純資産の部に表示されます。株主資本等変動計算書は、利益だけでなく、増資や自己株式の取得など資本取引による純資産の変動も示します。

キャッシュ・フロー計算書と貸借対照表

キャッシュ・フロー計算書は、営業活動・投資活動・財務活動の3区分で1年間の資金の増減を示し、期首の現金及び現金同等物に増減額を加えると期末残高になります。この期末残高は、貸借対照表の現金預金と対応します(定期預金の扱いなどで範囲が異なるため、金額が一致しない場合もあります)。また、間接法の営業キャッシュ・フローは当期純利益(税引前当期純利益)から出発するため、損益計算書ともつながっています。

押さえておきたい公式

期末利益剰余金 = 期首利益剰余金 + 当期純利益 − 配当その他の変動がない単純なケース
期末現金及び現金同等物 = 期首残高 + 営業CF + 投資CF + 財務CF為替換算差額などがない単純なケース
期末純資産 = 期首純資産 + 当期純利益 − 配当 + 資本取引等による増減 + その他の包括利益株主資本等変動計算書が説明する関係

具体例で確認

L社の当期の数字を使って、つながりを確認します。

  • 期首の利益剰余金は500億円、当期純利益は80億円、配当は30億円でした。
  • 期首の現金及び現金同等物は200億円、営業CFは+120億円、投資CFは−90億円、財務CFは−40億円(配当30億円の支払いと借入金10億円の返済)でした。

株主資本等変動計算書 → 貸借対照表:期末利益剰余金 = 500 + 80 − 30 = 550億円。これが期末の貸借対照表に表示されます。

キャッシュ・フロー計算書 → 貸借対照表:期末現金 = 200 + 120 − 90 − 40 = 190億円。現金は10億円減っています。

利益が80億円出ているのに現金が減った理由は、キャッシュ・フロー計算書を見れば分かります。設備投資(投資CF)と配当・借入返済(財務CF)に、営業活動で稼いだ現金以上を使ったからです。配当30億円は、利益剰余金を減らすと同時に財務CFの支出にもなっており、1つの取引が2つの計算書に表れている点にも注目しましょう。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「損益計算書・貸借対照表・キャッシュ・フロー計算書・株主資本等変動計算書の相互関係を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 当期純利益 → 利益剰余金 → 貸借対照表の純資産、という流れ(クリーン・サープラス関係)。
  • キャッシュ・フロー計算書の期末残高と貸借対照表の現金との対応。
  • 貸借対照表はストック、他の3つはフローという区別。
  • 配当が利益剰余金の減少と財務CFの支出の両方に表れるなど、1つの取引の複数の計算書への影響。
  • 期首・期末の数字から、利益や配当などの不明な値を逆算させる計算。

要点まとめ

  • 4つの財務諸表は数字でつながっている。
  • 当期純利益は株主資本等変動計算書を経て貸借対照表の利益剰余金に反映される。
  • キャッシュ・フロー計算書は現金の期首から期末までの増減を説明する。
  • 利益が出ても現金が減ることがあり、その理由はC/Fで確認する。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。