ひとことで言うと

  • セグメント情報は、企業全体の売上高や利益を、事業別などの単位に分けて開示する情報です。
  • 日本基準では、経営者が社内で業績を管理する単位にもとづいて区分するマネジメント・アプローチが採用されています。
  • セグメントの合計と連結財務諸表の数字は、調整額を通じて一致するように示されます。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「セグメント情報」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (2) 主要財務諸表と企業活動
協会の学習ポイント セグメント情報の特徴と財務諸表の関係を理解する。

セグメント情報とは

多くの企業は複数の事業を営んでいます。連結損益計算書を見るだけでは、「どの事業がもうかっていて、どの事業が足を引っ張っているのか」が分かりません。そこで、事業ごとの売上高・利益・資産などを開示するのがセグメント情報です。成長性や収益性、リスクが異なる事業を分けて分析できるため、将来予測や企業価値評価に欠かせない情報です。

マネジメント・アプローチ

日本基準(企業会計基準第17号)では、経営者が意思決定や業績評価のために使っている社内の区分(事業セグメント)にもとづいてセグメント情報を開示します。これをマネジメント・アプローチといいます。投資家が経営者と同じ視点で企業を見られるという利点がある一方、区分の方法が企業ごとに異なるため、他社との比較可能性は低くなりやすく、組織変更で区分が変わると時系列比較が難しくなることもあります。

報告セグメントの決め方

事業セグメントのうち、一定の基準を満たすものを「報告セグメント」として開示します。代表的な量的基準は、売上高(セグメント間の内部売上を含む)、利益または損失の絶対値、資産のいずれかが、全セグメント合計の10%以上であることです。さらに、報告セグメントの外部顧客への売上高の合計が連結売上高の75%以上になるまで、報告セグメントを追加します。

開示内容と財務諸表との関係

報告セグメントごとに、売上高、利益(損失)、資産などが開示されます。報告セグメントの合計額と連結財務諸表の金額の差は調整額として示されます。調整額には、セグメント間取引の消去や、どのセグメントにも配分されない全社費用(本社の管理部門の費用など)が含まれます。このほか、製品・サービスごとの情報、地域ごとの情報、主要な顧客に関する情報などの関連情報も開示されます。

押さえておきたい公式

報告セグメント利益の合計 + 調整額 = 連結財務諸表の利益調整額にはセグメント間取引の消去や全社費用などが含まれる
セグメント利益率 = セグメント利益 ÷ セグメント売上高事業ごとの収益性を比べる基本の指標

具体例で確認

M社の報告セグメントは次の3つです(売上高はすべて外部顧客向けとします)。セグメント利益の合計と連結営業利益の差は、全社費用20億円です。

セグメント 売上高 セグメント利益 利益率
A事業 600億円 90億円 15%
B事業 300億円 15億円 5%
C事業 100億円 10億円 10%
合計 1,000億円 115億円 11.5%
調整額(全社費用) −20億円
連結 1,000億円 95億円 9.5%

連結の営業利益率は9.5%ですが、事業別に見るとA事業が15%と高収益で、利益の大部分(115億円のうち90億円)を稼いでいることが分かります。B事業は売上高の30%を占めるものの利益率は5%にとどまります。C事業は売上高がちょうど合計の10%なので、量的基準を満たして報告セグメントになっています。将来予測では、各事業の成長率と利益率を別々に見積もって合計し、全社費用を差し引いて連結利益を予想します。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「セグメント情報の特徴と財務諸表の関係を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • マネジメント・アプローチの意味と、利点(経営者の視点)・欠点(比較可能性の低下)。
  • 量的基準(売上高・利益または損失の絶対値・資産のいずれかが10%以上)と、外部売上高の75%基準。
  • セグメント合計と連結数値の差を示す調整額の内容(セグメント間取引の消去、全社費用)。
  • セグメント利益率の計算と、全社ベースの数字だけでは分からない情報の読み取り。
  • 製品・サービス別、地域別、主要顧客などの関連情報も開示されること。

要点まとめ

  • セグメント情報は企業全体の業績を事業別などに分けて開示する情報。
  • 日本基準はマネジメント・アプローチを採用している。
  • 量的基準は10%、報告セグメントの外部売上高合計は連結の75%以上。
  • セグメント合計と連結数値の差は調整額で説明される。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。