ひとことで言うと

  • 生産性分析は、投入した経営資源(人・設備・資本)に対して、どれだけの付加価値を生み出したかを測る分析です。
  • 中心となる労働生産性(付加価値 ÷ 従業員数)は、「1人当たり売上高 × 付加価値率」や「労働装備率 × 設備投資効率」に分解できます。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅱ「財務分析」の学習ポイントのひとつ「付加価値による生産性分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (10) 財務分析の基礎
協会の学習ポイント 付加価値による生産性の分析ができる。

付加価値による生産性分析とは

生産性とは、投入(インプット)に対する産出(アウトプット)の割合です。財務分析では、産出として売上高ではなく付加価値を使うのが一般的です。売上高には外部から購入した原材料などの価値も含まれるため、企業が自ら生み出した価値を測るには付加価値のほうが適しているからです。

労働生産性とその分解

もっとも代表的な指標が、従業員1人当たりの付加価値である労働生産性です。労働生産性は、次の2通りに分解して要因を分析できます。

  • 1人当たり売上高 × 付加価値率:販売力(1人でどれだけ売るか)と、売上に占める付加価値の割合(加工度の高さ)に分ける見方です。
  • 労働装備率 × 設備投資効率:労働装備率(有形固定資産 ÷ 従業員数)は1人当たりどれだけ設備を持っているか、設備投資効率(付加価値 ÷ 有形固定資産)はその設備がどれだけ付加価値を生んでいるかを示します。

一般に、機械化・自動化を進めると労働装備率が上がり、労働生産性を高める要因になります。ただし、設備が十分に活用されず設備投資効率が落ちれば、労働生産性はかえって伸び悩みます。

資本生産性

付加価値を総資本(総資産)で割った資本生産性は、投下された資本全体がどれだけ付加価値を生んだかを示します。設備に対する効率を見る設備投資効率は、資本生産性の一種と位置づけられます。

押さえておきたい公式

労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数従業員数は期中平均を用いるのが基本
労働生産性 = (売上高 ÷ 従業員数) × (付加価値 ÷ 売上高)1人当たり売上高 × 付加価値率
労働生産性 = (有形固定資産 ÷ 従業員数) × (付加価値 ÷ 有形固定資産)労働装備率 × 設備投資効率(有形固定資産は建設仮勘定を除くことが多い)
資本生産性 = 付加価値 ÷ 総資本

具体例で確認

A社とB社の数値(単位:百万円)を比べます。

項目 A社 B社
付加価値 4,000 4,000
売上高 10,000 16,000
従業員数 50人 80人
有形固定資産 8,000 4,000
労働生産性 80 50
1人当たり売上高 × 付加価値率 200 × 40% 200 × 25%
労働装備率 × 設備投資効率 160 × 0.5 50 × 1.0

1人当たり売上高は両社とも200で同じですが、A社は付加価値率が高いため、労働生産性で上回っています。設備の面から見ると、A社は1人当たりの設備が多く(労働装備率160)、機械化で生産性を高めているのに対し、B社は設備を効率よく使っている(設備投資効率1.0)ものの、1人当たりの設備が少ないため労働生産性は低くとどまっています。

試験で問われやすいポイント

  • 労働生産性の2つの分解式と、それぞれの要素の名称(付加価値率、労働装備率、設備投資効率)。
  • 分解式の計算:与えられた数値から要素を求め、掛け合わせると労働生産性に戻ることを確認させる問題。
  • 労働装備率を上げても設備投資効率が下がれば労働生産性は上がらない、といった要因の解釈。
  • 生産性分析で売上高ではなく付加価値を使う理由も押さえておきましょう。

要点まとめ

  • 生産性分析は、投入した人・設備・資本に対する付加価値の大きさを測る。
  • 労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数。
  • 労働生産性 = 1人当たり売上高 × 付加価値率 = 労働装備率 × 設備投資効率。
  • 資本生産性 = 付加価値 ÷ 総資本で、資本全体の効率を見る。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。