LDI(負債主導型投資)とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・ポートフォリオ・マネジメント
ひとことで言うと
- LDI(負債主導型投資、Liability Driven Investment)は、年金負債の動きに資産を合わせ、資産と負債の差(サープラス)の変動を抑える運用戦略です。
- 年金負債は将来の給付を割り引いた現在価値なので、金利が下がると膨らみます。長期の負債ほど金利感応度(デュレーション)が大きくなります。
- 代表的な方法は、資産の金額デュレーションを負債に合わせることです。長期債や金利スワップなどが使われます。
この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「負債に基づく配分とLDI」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント |
|---|---|
| 大分類 | (2) 投資政策とアセット・アロケーション |
| 協会の学習ポイント | 負債の評価と負債に基づくアセット・アロケーション、LDI戦略の概念と方法について理解する。 |
LDI(負債主導型投資)とは
従来の資産配分は、資産のリターンとリスクだけを見て効率的な組み合わせを選ぶ考え方(アセット・オンリー)が中心でした。しかし年金基金にとって本当に大事なのは、将来の給付を確実に支払えるかどうか、つまり資産が負債に対して足りているかです。資産が値上がりしても、それ以上に負債が増えれば積立状況は悪化します。そこで、負債を基準に資産配分を考えるのが負債に基づくアセット・アロケーションで、その代表がLDIです。
負債の評価
年金負債は、将来の給付見込額を割引率で割り引いた現在価値として評価します。割引率に市場金利を反映させると、負債は長期債を空売りしているのと似た性質を持ちます。金利が下がれば負債は増え、金利が上がれば負債は減ります。年金の給付は数十年先まで続くため、負債のデュレーションは一般に長く、保有している債券のデュレーションを上回ることが多いです。
LDI戦略の方法
LDIの基本は、資産の金利感応度を負債に近づけることです。具体的には、①債券ポートフォリオのデュレーションを長期化する、②負債のキャッシュフローに合わせて債券を保有する(キャッシュフロー・マッチング)、③金利スワップや債券先物などのデリバティブでデュレーションを補う、といった方法があります。資産全体を負債ヘッジ用のポートフォリオと、超過リターンを狙うリターン追求型ポートフォリオに分けて考えることもあります。負債の金利リスクをどこまで打ち消すかをヘッジ比率で表します。
押さえておきたい公式
具体例で確認
年金負債100億円(デュレーション15)に対し、年金資産100億円を債券60億円(デュレーション10)と株式40億円で運用しているとします。株式の金利感応度は0とみなします。
- 金額デュレーション:資産 60 × 10 = 600、負債 100 × 15 = 1,500
- ヘッジ比率:600 ÷ 1,500 = 40%
- 金利が1%低下:ΔS ≒ −(600 − 1,500) ×(−0.01)= −9億円。資産は約6億円増えますが、負債が約15億円増えるため、積立状況は悪化します。
- 完全ヘッジするには:債券60億円のままなら、デュレーションを 1,500 ÷ 60 = 25 まで長期化する必要があります。現実には難しいため、金利スワップなどで不足する金額デュレーション(1,500 − 600 = 900)を補う方法が考えられます。
試験で問われやすいポイント
- 金利低下で年金負債が増え、デュレーションのミスマッチがあるとサープラスが悪化する仕組みを説明できるようにしましょう。
- 資産と負債の金額デュレーションからサープラスの変化やヘッジ比率を計算させる問題では、計算過程を示すことが大切です。
- 「デュレーションの数字」ではなく「金額×デュレーション」を合わせる点が混同しやすい論点です。
- アセット・オンリーとの違いや、LDIの具体的手法(長期債、キャッシュフロー・マッチング、スワップ)を記述させる形に備えましょう。
要点まとめ
- 年金負債は給付の現在価値で、金利低下で増える長期債ショートのような性質を持つ。
- LDIは負債の動きに資産を合わせ、サープラスの変動を抑える戦略。
- 資産と負債の金額デュレーションをそろえることが基本。
- 長期債、キャッシュフロー・マッチング、金利スワップなどで実行する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
