ひとことで言うと

  • システマティック・リスクは、市場全体の動き(株式市場、金利、為替など)に起因し、分散投資では消せないリスクです。
  • 資産配分は「どの資産を持つか」であると同時に、「どのシステマティック・リスクにどれだけさらされるか(エクスポージャー)」を決めることでもあります。
  • エクスポージャーは株式のβや債券のデュレーションで測り、先物などを使って現物を売買せずに調整することもできます。

この記事では、証券アナリスト2次「ポートフォリオ・マネジメント」の学習ポイントのひとつ「システマティック・リスクの管理」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 2次 証券分析とポートフォリオ・マネジメント/ポートフォリオ・マネジメント
大分類 (2) 投資政策とアセット・アロケーション
協会の学習ポイント アセット・アロケーションとシステマティック・リスク・エクスポージャー管理について理解する。

システマティック・リスク・エクスポージャー管理とは

ポートフォリオのリスクは、個別銘柄に固有で分散投資により小さくできるアンシステマティック・リスクと、市場全体の変動に由来し分散しても残るシステマティック・リスクに分けられます。十分に分散されたポートフォリオでは、リスクの大部分はシステマティック・リスクです。CAPMでも、リスク・プレミアムが得られるのはシステマティック・リスクに対してだけだと考えます。

資産配分とエクスポージャー

株式と債券の比率を決めることは、株式市場リスクと金利リスクへのエクスポージャーを決めることにほかなりません。株式部分のエクスポージャーはβ(市場に対する感応度)と金額の積、債券部分はデュレーションと金額の積で表せます。外国資産を持てば為替リスクへのエクスポージャーも加わります。つまり、資産配分の実質は、各システマティック・リスクをどれだけとるかというリスク配分だととらえることができます。

先物などを使った調整

エクスポージャーを変えたいとき、現物資産を売買すると取引コストがかかり、運用会社との契約や組入銘柄にも影響します。そこで、株価指数先物や債券先物、為替予約などのデリバティブを使い、現物を持ったまま市場エクスポージャーだけを調整する方法がよく使われます。株式のβを下げたいなら株価指数先物を売り、上げたいなら買います。こうした手法は、資産配分全体を管理するオーバーレイ運用にも活用されます。

押さえておきたい公式

必要な先物枚数 N = (βT − βP) × V ÷ (F × βF)マイナスなら売り、プラスなら買い
記号 意味
βT 目標とするβ
βP 現在のポートフォリオのβ
V ポートフォリオの時価
F 先物1枚あたりの想定元本(価格 × 取引単位)
βF 先物のβ(指数先物なら通常1とみなす)

具体例で確認

時価100億円、β=1.1の日本株ポートフォリオを持つ運用者が、相場の下落に備えてβを0.8に引き下げたいとします。株価指数先物1枚あたりの想定元本は2,500万円、先物のβは1とします。

N = (0.8 − 1.1) × 100億円 ÷ (2,500万円 × 1) = −120枚

先物を120枚売ることで、現物株式を売却せずにβを0.8に下げられます。その後、市場が10%下落すると、現物の損失は約11億円(1.1 × 10% × 100億円)、先物の利益は約3億円(120枚 × 2,500万円 × 10%)で、差し引きの損失は約8億円(βが0.8相当)に抑えられます。

試験で問われやすいポイント

  • システマティック・リスクとアンシステマティック・リスクの違い、分散投資で消せるのはどちらかを確認しましょう。
  • 資産配分をシステマティック・リスクへのエクスポージャー管理としてとらえる考え方を記述で説明できるようにしましょう。
  • β調整に必要な先物枚数の計算は、符号(売りか買いか)とともに計算過程を示せるようにしておきましょう。
  • 先物を使う利点(取引コストの低さ、機動性、現物を動かさないこと)と注意点(ベーシス・リスク、証拠金管理)も押さえておきましょう。

要点まとめ

  • システマティック・リスクは市場全体に由来し、分散しても消えない。
  • 資産配分はシステマティック・リスクへのエクスポージャーを決めることでもある。
  • 株式はβ、債券はデュレーションでエクスポージャーを測る。
  • 先物などで現物を動かさずにエクスポージャーを調整できる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。