セグメント情報とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト2次・財務分析
ひとことで言うと
- セグメント情報は、企業の売上高・利益・資産などを事業別や地域別に分けて開示する情報です。
- 日本基準・IFRSとも、経営者が意思決定や業績評価に使っている区分をそのまま開示するマネジメント・アプローチを採用しています。
- 全社の数字だけでは見えない「稼ぎ頭」や「不振事業」を見つけ、事業ごとの成長性や収益性、資本効率を分析できます。
この記事では、証券アナリスト2次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「セグメント情報の分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 2次 コーポレート・ファイナンスと企業分析/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (11) 財務分析の応用 |
| 協会の学習ポイント | セグメント情報を理解し、それを使って分析ができる。 |
セグメント情報とは
多くの企業は複数の事業を営み、複数の国・地域で活動しています。連結財務諸表はそれらを合算した数字なので、全体の利益率が同じでも、高収益の事業と赤字の事業が混ざっているのか、すべての事業がそこそこの水準なのかは分かりません。そこで開示されるのがセグメント情報です。
マネジメント・アプローチ
日本基準(セグメント情報等の開示に関する会計基準)とIFRS(IFRS第8号)は、いずれもマネジメント・アプローチを採用しています。これは、取締役会などの最高経営意思決定機関が、経営資源の配分や業績評価のために使っている区分(事業セグメント)にもとづいて開示する考え方です。経営者の目線で企業を見ることができる反面、区分の仕方や利益の定義が企業ごとに異なるため、他社との比較には注意が必要です。
報告セグメントと開示内容
事業セグメントのうち、売上高、利益(または損失)、資産のいずれかが全セグメント合計の10%以上であるものなどを報告セグメントとして開示します。各報告セグメントについて、利益(または損失)や資産などの額、その測定方法を開示し、セグメントの合計額と連結財務諸表の数値との差(全社費用やセグメント間取引の消去など)は調整額として示されます。あわせて、製品・サービス別、地域別、主要な顧客別の情報(関連情報)も開示されます。
分析での使い方
- セグメント別の売上高成長率と利益率から、成長をけん引している事業と足を引っ張っている事業を見分けます。
- セグメント資産を使ってセグメント別ROAを計算し、資本効率の高い事業と低い事業を比べます。
- 事業ごとに異なる倍率を当てはめて価値を合計するSOTP(サム・オブ・ザ・パーツ)による企業価値評価にも利用されます。
- 調整額(全社費用)の大きさや推移にも目を配ります。
押さえておきたい公式
具体例で確認
ある企業のセグメント情報が次のとおりだったとします。
| 項目 | A事業 | B事業 |
|---|---|---|
| 売上高 | 6,000 | 2,000 |
| セグメント利益 | 300 | 400 |
| セグメント資産 | 4,000 | 2,000 |
| 利益率 | 5.0% | 20.0% |
| ROA | 7.5% | 20.0% |
全社費用などの調整額が−100なら、連結の営業利益は300 + 400 − 100 = 600です。売上高の4分の3を占めるのはA事業ですが、利益の多くを稼いでいるのは、売上規模の小さいB事業だと分かります。B事業の成長が続けば全社の利益率は上がり、A事業の採算改善や再編が課題になる、といった分析につながります。
試験で問われやすいポイント
- マネジメント・アプローチの意味と、そのメリット(経営者の視点が分かる)・デメリット(企業間比較が難しい)が問われやすいです。
- 報告セグメントの判定基準(売上高・利益・資産の10%基準など)を押さえておきましょう。
- セグメント別の利益率やROAを計算し、どの事業が企業価値に貢献しているかを判断する問題に慣れておきましょう。
- 記述式では、セグメント情報をもとに事業ポートフォリオの課題や今後の業績見通しを説明させる形が考えられます。
要点まとめ
- セグメント情報は、事業別・地域別に売上高・利益・資産などを開示する。
- 日本基準・IFRSともマネジメント・アプローチを採用している。
- セグメント合計と連結数値の差は調整額として開示される。
- 利益率やROAを事業ごとに比べ、稼ぎ頭や不振事業を見つける。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
