証券アナリスト(CMA)1次試験の勉強法を、これから受験を決めた方に向けてまとめました。何を教材にするか、いつまでに何を終えるか、科目Ⅰ・Ⅱ・Ⅲそれぞれをどう学ぶか、過去問をどう使うかまで、2027年春(4月)受験を例に具体的に解説します。

この記事の結論

  • 教材は協会テキスト・「主要学習事項と学習ポイント」・解説動画の3点セット。出題範囲の公式な定義は学習ポイントです
  • 3科目は同時並行で進める。1科目ずつ仕上げる進め方は、最後の科目が間に合わず先にやった科目の記憶も抜けやすい
  • 9月〜1月末はインプット期(テキスト+例題・練習問題)、2〜4月はアウトプット期(過去問)。過去問は2025年春の分までしか公開されていないので、答えを覚えるのではなく理解の確認に使う

1次試験の制度・科目・スケジュール・勉強法は、動画でも解説しています(約44分)。

勉強を始める前に押さえたい1次試験の特徴

勉強法を考える前に、試験の仕組みのうち学習計画に直結する点だけ確認しておきましょう。試験の全体像は1次試験の概要で詳しく解説しています。

受験資格 協会の第1次レベル講座の受講者のみ。講座に申し込むとテキストが年4回に分けて届きます
科目と時間 科目Ⅰ(170分・170点)/科目Ⅱ(100分・100点)/科目Ⅲ(90分・90点)。3科目を同じ日に受験できます
合否 科目ごとに独立して判定。上位一定割合の受験者の平均得点を基準にした相対評価で、合格点は非公表
出題形式 すべて正解が1つの客観問題。2026年秋からCBT方式が始まりました
過去問 協会のCMA e-Learningで2017年〜2025年春の分を学習できます。2025年秋・2026年春の問題は公開されていません

合否が科目ごとに決まるので、「科目Ⅰで稼いで科目Ⅲを補う」といった考え方は成り立ちません。3科目それぞれで合格ラインを超える準備が必要です。

教材は「3点セット」で回す

① 協会テキスト(例題・練習問題つき)

第1次レベル講座のテキストが学習の本体です。本文を読むだけで終わらせず、章ごとの例題と練習問題を自分の手で解くところまでを1セットにします。読んで分かったつもりの論点も、手を動かすと式の意味や数字の置き方でつまずくことがよくあります。

② 「主要学習事項と学習ポイント」

協会が公表している「CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」は、出題範囲の公式な定義です。1次の対象は431項目あります。テキストを読むときは、いま自分がどの学習ポイントを学んでいるのかを常に確認しましょう。範囲のなかで抜けている箇所がひと目で分かり、復習の単位にもなります。

当サイトでは、431項目すべてをかみくだいた用語解説と、分野ごとの全体像をまとめた記事(株式分析で学ぶことなど)を用意しています。

③ 解説動画

テキストだけでは理解しにくい計算や図の読み方は、動画で見ると一気につながることがあります。証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ毎日解説しています。テキストで読んだ論点を動画で確認し、例題を解く流れがおすすめです。

学習スケジュール(2027年春受験の例)

1次試験は3科目が同じ日にまとめて来ます。そのため、3科目を並行して少しずつ進めるのが基本です。1日に取り組むのは1科目でもかまいませんが、1週間のなかで3科目すべてに触れることを目安にしましょう。

インプット期(9月〜1月末):いつまでに何を終えるか

いつまでに 科目Ⅰ 科目Ⅱ 科目Ⅲ
10月末 株式市場・株式分析 ディスクロージャー 数量分析と確率・統計
11月末 債券分析 会計処理 ミクロ経済
12月末 デリバティブ分析 財務分析 マクロ経済
1月末 現代ポートフォリオ理論・ポートフォリオ・マネジメント コーポレート・ファイナンス 金融と財政・職業倫理

必要な学習時間は、金融や会計のバックグラウンドによって人それぞれです。時間の目安にとらわれるより、1月末までに3科目を一周し切ることを目標にしてください。この期間は過去問に手をつけず、テキストの例題・練習問題で理解を固めます。

数量分析と確率・統計を早めに進めておくと、科目Ⅰの債券・ポートフォリオの計算が楽になります。科目Ⅲの数量分析を10月末までに置いているのはそのためです。

アウトプット期(2月〜4月):過去問で得点力を高める

やること
2月 過去問1回転目。大問ごと(分野ごと)に解き、解けなかった論点はテキストに戻って確認
3月 過去問2回転目。本番と同じ時間(科目Ⅰ170分・科目Ⅱ100分・科目Ⅲ90分)で通して解く
4月 間違えた問題だけを解き直す3回転目と、模擬試験で本番の予行演習

科目別の勉強法

科目Ⅰ 証券分析とポートフォリオ・マネジメント

大問(分野) 勉強のポイント
第1問 株式市場 取引の仕組みや制度の知識問題が中心。用語の定義を正確に覚える
第2問 株式分析 配当割引モデル、PER・PBR、ROEの分解など。式の意味を理解してから例題を解く
第3問 債券分析 利回り、デュレーション、コンベクシティ。電卓で速く正確に計算できるまで練習する
第4問 デリバティブ分析 先物の理論価格、オプションのペイオフ、プット・コール・パリティ。図を自分で描いて理解する
第5問 現代ポートフォリオ理論 期待リターン・リスク、相関と分散投資、CAPM。数量分析の知識がそのまま使える
第6問 ポートフォリオ・マネジメント 運用プロセス、パフォーマンス評価の指標。指標の違いを比べて整理する

科目Ⅰは知識問題50点・計算問題120点で、4分野に配点が均等に散っています。どの分野も落とせないので、苦手分野を作らないことが大切です。計算は金融電卓(BA II Plus)の操作に早めに慣れておくと、本番の時間配分に余裕が生まれます。

科目Ⅱ 財務分析とコーポレート・ファイナンス

大問(分野) 勉強のポイント
第1問 ディスクロージャー 開示制度・会計基準の知識問題。制度の目的とセットで覚える
第2問 会計処理 具体的な取引が財務諸表にどう表れるかを仕訳レベルで確認する
第3問 財務分析 収益性・安全性・効率性の指標を計算。分子と分母の対応を意識する
第4問 財務分析・総合 2社の財務諸表を比較する総合問題。指標から企業の特徴を読み取る練習をする
第5問 コーポレート・ファイナンス 資本コスト、投資決定(NPV・IRR)、資本構成、配当政策

簿記や経理の経験がある方には取り組みやすい科目ですが、ディスクロージャー制度や会計基準の細かな知識も問われます。財務分析は、指標を覚えるだけでなく「その数字が何を意味するか」を説明できるようにしておくと、総合問題に強くなります。

科目Ⅲ 市場と経済の分析・数量分析・職業倫理

大問(分野) 勉強のポイント
第1問 職業倫理・行為基準 配点は小さいが、一定水準に届かないと科目Ⅲが不合格になる可能性がある。早めに一周する
第2問 数量分析と確率・統計 期待値・分散、回帰分析、検定。公式の導き方まで押さえると応用が利く
第3問 ミクロ経済 需要と供給、消費者・企業の行動。グラフを自分で描いて理解する
第4問 マクロ経済 GDP、IS-LM、経済成長。モデルの前提と結論をセットで覚える
第5問 金融と財政 金融政策・財政政策の仕組みと、最近の制度の動き

科目Ⅲは経済・数量分析・職業倫理がおよそ6対2対1の配点です。90分で3つの分野をまたぐので、アウトプット期には本番と同じ時間で解く練習を必ず入れましょう。2026年春は科目Ⅲの合格率が39.2%と、直近で最も低くなりました。

過去問の使い方

過去問は2025年春の分までしか公開されていません。SNSでは「形式が変わった」という受験生の声もありますが、公式に発表されているのは「試験時間・出題数・配点は従来から変更なし」という点までで、設問形式について確かなことは分かっていません。

だからこそ、過去問は形式に慣れる道具ではなく、理解できているかを確かめる道具として使います。

  • 正解できたかどうかより、すべての選択肢について正誤の理由を説明できるかを確認する
  • 間違えた問題は、該当する学習ポイントとテキストのページに戻って復習する
  • 計算問題は数値を変えても解けるか、自分で数字を入れ替えて確かめる

目標は「過去問が解ける」ではなく「初見の問題でも解ける」状態です。

やりがちな失敗パターン

失敗パターン どうすればよいか
1科目ずつ仕上げてから次へ進む 最後の科目が間に合わず、先の科目の記憶も抜ける。3科目を並行して進める
テキストを読むだけで満足する 例題・練習問題を自分の手で解くまでを1セットにする
理解が浅いまま過去問に入る 解答を覚えるだけになり、初見の問題に対応できない。1月末まではテキストで理解を固める
職業倫理を直前に回す 一定水準に届かないと科目Ⅲが不合格になる可能性がある。インプット期のうちに一周する
電卓の練習をしない 計算問題の多い科目Ⅰで時間が足りなくなる。インプット期から電卓で例題を解く

独学でも合格できる?

1次試験を受けるには協会の第1次レベル講座の受講が必須で、テキストはその講座で届きます。そのうえで予備校の講座を追加で使うかどうかは任意です。協会テキスト・学習ポイント・過去問という公式の教材がそろっているので、独学で合格を目指す方も少なくありません。

独学でつまずきやすいのは、ペースの維持分からない論点を解消する手段の2つです。この記事のスケジュール表で「今月どこまで」を決め、分からない論点は解説動画や用語解説で補いましょう。

分野別:各分野で学ぶ内容

各分野で学ぶ内容を学習ポイントに沿って整理した記事です。テキストを読む前の全体像づかみに使ってください。

よくある質問

Q. 1次試験の勉強はいつから始めればよいですか?

2027年春(4月)に受験するなら、9月から始めると、1月末までのインプット期と2〜4月のアウトプット期を確保できます。必要な学習時間は人それぞれなので、まずはこの記事のスケジュール表の「10月末まで」の範囲から始めてください。

Q. 3科目を同時に受けるべきですか?

受験料は科目ごとの合計なので、分けて受けても総額は変わりません。ただし分けて受けると1次合格までの期間が延び、受験できる期間(原則3年間)を圧迫します。3科目を並行して学び、同じ回でまとめて受験するのがおすすめです。

Q. 過去問は何回分解けばよいですか?

公開されている過去問(2025年春まで)を使い、2月に大問ごと、3月に本番と同じ時間で通し、4月に間違えた問題の解き直し、と3回転させるのが目安です。回数よりも、すべての選択肢の正誤の理由を説明できるかを重視してください。

Q. 数学が苦手でも大丈夫ですか?

1次で使う数学は、期待値・分散、回帰分析、微分の基礎など範囲が決まっています。科目Ⅲの数量分析をインプット期の最初に進めておくと、科目Ⅰの計算問題も楽になります。

Q. 電卓は何を使えばよいですか?

関数電卓・金融電卓を持ち込めます。債券やポートフォリオの計算が多いため、財務計算機能のある金融電卓が便利です。当サイトではBA II Plusをおすすめしています。

1次に合格したあとの進め方は証券アナリスト2次試験の勉強法で解説しています。

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※記載の情報は2026年9月時点で日本証券アナリスト協会が公表している内容にもとづきます。最新情報は協会の公式サイトでご確認ください。