ひとことで言うと

  • 会計方針の変更は、過去の財務諸表にも新しい方針を当てはめる遡及適用が原則です。
  • 会計上の見積りの変更は過去にさかのぼらず、変更した期と将来の期に反映します。
  • 過去の誤謬修正再表示で訂正し、期間比較ができる状態を保ちます。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「会計方針の変更などの影響」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (3) 企業会計の仕組み
協会の学習ポイント 会計方針の変更などによる影響を理解する。

会計方針の変更・見積りの変更とは

財務諸表を時系列で比較するには、各期が同じルールで作られている必要があります。そこで日本基準(企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」)は、変更や訂正の種類ごとに、過去の数字をどう扱うかを定めています。

会計上の変更の3つの類型

  • 会計方針の変更:棚卸資産の評価方法を変えるなど、採用している会計処理の原則・手続を変えることです。正当な理由がある場合に限って認められ、原則として遡及適用(新しい方針を過去の期間にも適用したものとして表示し直す)を行います。
  • 表示方法の変更:科目の区分や表示場所を変えることで、過去の財務諸表を新しい表示方法で組替えます。
  • 会計上の見積りの変更:耐用年数や貸倒見込額など、新しい情報にもとづいて見積りを見直すことです。過去の見積りはその時点では合理的だったと考え、遡及しません。変更期間(影響が将来に及ぶ場合は将来の期間も)の損益で処理します。

誤謬の訂正と例外

計算ミスや事実の見落とし、会計基準の誤用などによる過去の誤謬は、過去の財務諸表を正しく直す修正再表示を行います。また、減価償却方法の変更は会計方針の変更ですが、見積りの変更と区別しにくいため、見積りの変更と同様に遡及適用しない扱いになっています。

遡及適用や修正再表示では、表示する最も古い期間より前の累積的影響額を、その期間の期首の純資産(利益剰余金など)に反映させます。

整理しておきたいポイント

区分 過去の財務諸表
会計方針の変更 遡及適用する(原則) 棚卸資産の評価方法の変更
表示方法の変更 組替えて表示する 科目の独立掲記・統合
会計上の見積りの変更 遡及しない(当期以降で処理) 耐用年数の変更、引当金の見積り変更
減価償却方法の変更 遡及しない(見積りの変更と同様) 定率法から定額法へ
過去の誤謬 修正再表示する 過年度の計上漏れの訂正

具体例で確認

F社は取得原価1,000、残存価額ゼロ、耐用年数10年の機械を定額法で償却してきました(毎年100)。4年経過後(帳簿価額600)、技術の陳腐化により残りの使用可能期間を6年から4年に見直しました。

  • 見積りの変更なので過去4年分の償却費は修正しません。
  • 5年目以降の償却費:600 ÷ 4 = 150(それまでの100より50多い)
  • 変更の影響は当期以降の利益に表れ、注記で内容と影響額が開示されます。

分析では、利益の変化が本業の変化によるのか、会計上の変更によるのかを注記で確かめることが大切です。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「会計方針の変更などによる影響を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 会計方針の変更は遡及適用、見積りの変更は遡及しない、誤謬は修正再表示という対応関係。
  • 減価償却方法の変更は会計方針の変更だが、遡及適用しない例外である点。
  • 耐用年数の変更後の償却費の計算(残りの帳簿価額を残存耐用年数で配分)。
  • 会計方針の変更には正当な理由が必要な点と、比較可能性を保つという目的。
  • 累積的影響額を期首の利益剰余金などに反映させる点。

要点まとめ

  • 会計方針の変更は原則として遡及適用する。
  • 表示方法の変更は組替え、誤謬は修正再表示。
  • 見積りの変更は遡及せず、当期以降で処理する。
  • 減価償却方法の変更は見積りの変更と同様に扱う。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。