株主資本の構成要素とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・財務分析
ひとことで言うと
- 株主資本は、資本金・資本剰余金・利益剰余金から自己株式を差し引いたものです。
- 株主の払込みに由来する資本剰余金と、稼いだ利益の留保である利益剰余金は区別して表示されます。
- 自己株式は資産ではなく、株主資本から差し引く控除項目です。
この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「株主資本の構成要素」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 主要財務諸表と企業活動 |
| 協会の学習ポイント | 株主資本の構成要素を理解する。 |
株主資本の構成要素とは
株主資本は、純資産のうち株主に帰属する中核的な部分で、株主からの出資と、企業が稼いで社内に留保した利益から成り立っています。会計では「資本(元手)」と「利益(成果)」を混同しないことが大切なため、株主資本も源泉ごとに区分されます。
4つの構成要素
- 資本金:株主から払い込まれた金額のうち、会社法の規定に従って資本金とした額です。
- 資本剰余金:払込金額のうち資本金にしなかった部分など、資本取引から生じた剰余金です。会社法上の準備金である資本準備金と、自己株式処分差益などのその他資本剰余金に分かれます。
- 利益剰余金:利益を源泉とする剰余金です。会社法上の準備金である利益準備金と、その他利益剰余金(任意積立金と繰越利益剰余金)に分かれます。
- 自己株式:会社が取得して保有している自社の株式です。株主への払戻しと同じ性格を持つため、取得原価で株主資本の末尾に控除形式で表示します。
資本金に組み入れる額のルール
会社法では、株式を発行したときの払込金額の全額を資本金とするのが原則ですが、払込金額の2分の1を超えない額は資本金とせず資本準備金にすることができます。つまり、資本金には少なくとも払込金額の半分を計上する必要があります。
準備金の役割
資本準備金と利益準備金は、あわせて「準備金」と呼ばれ、債権者保護のために配当などで自由に取り崩せないように会社に留めておく金額です。剰余金の配当をする際には、準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、配当額の10分の1を準備金として積み立てる必要があります。
押さえておきたい公式
| 区分 | 準備金 | 準備金以外 |
|---|---|---|
| 資本剰余金 | 資本準備金 | その他資本剰余金(自己株式処分差益など) |
| 利益剰余金 | 利益準備金 | その他利益剰余金(任意積立金、繰越利益剰余金) |
具体例で確認
会社が新たに1,000株を1株5,000円で発行し、500万円の払込みを受けたとします。
- 資本金に最低限計上しなければならない額は 500万円 × 1/2 = 250万円 です。
- 最大限を資本準備金にする場合、資本金250万円、資本準備金 250万円 となります。いずれも株主資本の増加で、損益計算書には影響しません。
その後、この会社が自己株式を100万円で取得すると、株主資本の末尾に「自己株式 −100万円」と表示され、株主資本合計が100万円減少します。取得した自己株式は資産に計上しない点がポイントです。
また、当期純利益300万円を計上すると、繰越利益剰余金(その他利益剰余金)が300万円増加します。このように、出資は資本金・資本剰余金に、稼いだ利益は利益剰余金に積み上がっていきます。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「貸借対照表の表示区分と純資産・株主資本の構成要素を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 株主資本 = 資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金 − 自己株式 という構成と計算。
- 資本剰余金(資本準備金、その他資本剰余金)と利益剰余金(利益準備金、その他利益剰余金)の内訳の区別。
- 払込金額の2分の1以上は資本金に計上しなければならないこと。
- 自己株式は資産ではなく株主資本の控除項目であること。
- 自己株式処分差益はその他資本剰余金になり、損益計算書には計上されないこと。
要点まとめ
- 株主資本は資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式(控除)からなる。
- 資本剰余金は資本取引から、利益剰余金は利益から生じる。
- 払込金額の少なくとも半分は資本金に計上する。
- 自己株式は取得原価で株主資本から控除して表示する。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
