ひとことで言うと

  • 連結財務諸表は、親会社と子会社の個別財務諸表を合算し、グループ内の重複を消去して作ります。
  • 中心となる手続きは、親会社の投資(子会社株式)と子会社の資本の相殺消去で、差額がのれん、親会社以外の持分が非支配株主持分になります。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「連結財務諸表の作成」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (8) 企業結合会計
協会の学習ポイント 連結会計と連結財務諸表の作成方法を理解する。

連結財務諸表の作成とは

連結財務諸表は、法的には別々の会社である親会社と子会社を、経済的に一つの企業集団とみなして作成します。子会社の資産・負債・収益・費用は、持株比率にかかわらず全額を合算します(全部連結)。そのうえで、親会社の持分と非支配株主の持分を区別して表示します。

作成の手順

  1. 子会社の資産・負債の時価評価:支配獲得日に子会社の資産・負債をすべて時価で評価し直し、評価差額を子会社の資本に含めます(全面時価評価法)。
  2. 個別財務諸表の合算:親会社と子会社の貸借対照表・損益計算書を科目ごとに足し合わせます。
  3. 投資と資本の相殺消去:親会社の「子会社株式」と、それに対応する子会社の資本(資本金・剰余金・評価差額)を消去します。投資額が親会社持分を上回る部分はのれんです。
  4. 非支配株主持分の計上:子会社の資本のうち親会社以外の株主に帰属する部分を、純資産の部に非支配株主持分として表示します。
  5. その後の連結修正:のれんの償却、子会社利益の非支配株主への按分、配当の修正、グループ内取引や未実現利益の消去などを行います。

連結損益計算書での表示

連結損益計算書では、当期純利益を非支配株主に帰属する当期純利益親会社株主に帰属する当期純利益に区分して表示します。1株当たり利益やROEなど株主の視点の分析では、親会社株主に帰属する当期純利益を使うのが基本です。

押さえておきたい公式

のれん = 子会社株式の取得原価 − 子会社の時価評価後の資本 × 親会社の持分比率
非支配株主持分 = 子会社の時価評価後の資本 × 非支配株主の持分比率日本基準では非支配株主持分にのれんを含めない(IFRSでは全部のれん方式も選択可能)

具体例で確認

P社がS社の株式の80%を900で取得し、子会社にしました。支配獲得日のS社の資本は、資産・負債を時価評価した後で1,000(資本金600、利益剰余金400)です。

  • 親会社持分:1,000 × 80% = 800
  • のれん:900 − 800 = 100
  • 非支配株主持分:1,000 × 20% = 200

相殺消去の仕訳は「(借方)資本金600・利益剰余金400・のれん100 /(貸方)子会社株式900・非支配株主持分200」となります。

翌期にS社が当期純利益100を計上した場合、連結損益計算書にはS社の利益が全額合算されたうえで、100 × 20% = 20 を非支配株主に帰属する当期純利益とし、残り80が親会社株主に帰属します(のれんを10年で償却するなら、別途償却費10が計上されます)。

試験で問われやすいポイント

  • 子会社の資産・負債・損益は、持株比率にかかわらず全額合算する(全部連結)点が基本です。
  • 投資と資本の相殺消去で、のれんと非支配株主持分を計算する問題に慣れておきましょう。子会社の資本は時価評価後の金額を使います。
  • 非支配株主持分は純資産の部に表示されます(負債ではありません)。
  • 当期純利益のうち非支配株主に帰属する部分と、親会社株主に帰属する部分の区別が問われやすいです。
  • 日本基準は購入のれん方式(親会社持分のみのれんを計上)である点も押さえましょう。

要点まとめ

  • 連結財務諸表は、個別財務諸表を合算し、グループ内の重複を消去して作る。
  • 子会社の資産・負債は支配獲得日に時価評価する。
  • 投資と資本を相殺消去し、差額をのれん、親会社以外の持分を非支配株主持分とする。
  • 当期純利益は非支配株主帰属分と親会社株主帰属分に分けて表示する。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。