ひとことで言うと

  • 日本の上場企業は、金融商品取引法にもとづき連結財務諸表を中心に開示し、単体(個別)財務諸表もあわせて開示します。
  • 期中の業績は四半期・半期の財務諸表で開示されます。
  • IFRSでは計算書の名称や構成が異なり、経常利益や特別損益の区分がないことなどが主な違いです。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「日本基準の各財務諸表とIFRS」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (2) 主要財務諸表と企業活動
協会の学習ポイント 日本基準の単体、連結、四半期の財務諸表とIFRSの相違点を理解する。

日本基準の財務諸表とIFRSとは

日本の財務報告では、会社法と金融商品取引法の2つの制度のもとで財務諸表が作成されます。投資家向けの開示を定める金融商品取引法の有価証券報告書では、企業グループ全体の姿を示す連結財務諸表が中心で、親会社単体の財務諸表もあわせて開示されます。

単体(個別)財務諸表

単体財務諸表は、法人格ごとの財務諸表です。会社法上の配当規制(分配可能額)や課税所得の計算は単体の数字にもとづくため、配当余力の分析などでは単体の情報も重要です。単体では純資産の部に「評価・換算差額等」を表示し、包括利益の表示は求められていません。また、連結財務諸表を作成している会社は、単体のキャッシュ・フロー計算書の作成が不要とされています。

連結財務諸表

連結財務諸表は、親会社と子会社を1つの企業集団とみなして作成します。連結貸借対照表、連結損益計算書と連結包括利益計算書(または両者を1つにした連結損益及び包括利益計算書)、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書から構成されます。株式投資の分析では、原則として連結の数字を使います。

四半期・中間の財務諸表

上場企業は、年度より短い期間の業績も開示します。制度の見直しにより、金融商品取引法上の四半期報告書は廃止され、第2四半期は半期報告書、第1・第3四半期は取引所規則にもとづく四半期決算短信で開示する形になっています。期中の財務諸表は、年度の財務諸表より簡略化された開示が認められています。

IFRSの財務諸表

IFRSでは、財政状態計算書、純損益及びその他の包括利益計算書、持分変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、注記から構成されます。日本基準と異なり、経常利益という区分や特別損益という区分は設けられていません。また、IFRSではのれんを償却せず減損テストのみを行うなど、数値にも差が生じるため、日本基準とIFRSの会社を比較する際は注意が必要です。

整理しておきたいポイント

論点 日本基準 IFRS
貸借対照表の名称 貸借対照表 財政状態計算書
損益・包括利益 (連結)損益計算書と包括利益計算書、または1計算書 純損益及びその他の包括利益計算書(1計算書または2計算書)
純資産の変動 株主資本等変動計算書 持分変動計算書
経常利益・特別損益 あり なし
包括利益の表示 連結のみ(単体は不要) 表示が求められる
のれん 20年以内で償却+減損 償却せず減損テスト

具体例で確認

同じ業種のA社(日本基準)とB社(IFRS任意適用)を比較する場面を考えます。

  • A社の決算書では「経常利益」が重視されていますが、B社の決算書には経常利益がありません。比較するときは、営業利益に近い指標や税引前利益など、両社に共通する利益でそろえる必要があります。
  • A社はのれんを毎期償却しているため、同じ規模の買収をしていても、B社より利益が小さく見えることがあります。
  • A社の配当余力を考えるときは、連結ではなく単体の剰余金が分配規制の基準になることを意識します。

このように、どの基準・どの範囲(単体か連結か)の財務諸表なのかを確認することが、正しい比較分析の第一歩になります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「日本基準の単体、連結、四半期の財務諸表とIFRSの相違点を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 金融商品取引法の開示では連結財務諸表が中心で、単体財務諸表もあわせて開示されること。
  • 包括利益の表示は日本基準では連結のみに求められること。
  • IFRSには経常利益や特別損益の区分がないこと。
  • 財政状態計算書、持分変動計算書などIFRSでの名称の対応関係。
  • 配当規制や課税は単体の数字にもとづくこと。のれん償却の有無による利益の違い。

要点まとめ

  • 日本の上場企業は連結中心に開示し、単体財務諸表も開示する。
  • 期中の業績は半期報告書や四半期決算短信などで開示される。
  • IFRSは計算書の名称や構成が異なり、経常利益・特別損益の区分がない。
  • 比較分析では基準と範囲(単体・連結)をそろえることが大切。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。