結論:協会規則②は「どんな広告が許されるか」と「上場していない株・債券・外国証券をどう扱うか」の章です。数字の入れ替え問題が多いので、表で覚えてください。
- 広告等は広告審査担当者(内部管理責任者資格試験の合格者など)の審査を受けてから表示する
- 店頭有価証券(非上場株など)の投資勧誘は原則禁止。例外は株主コミュニティ・株式投資型クラウドファンディング・フェニックス銘柄・プロ投資家向けなど
- 株式投資型クラウドファンディングは発行者1社年5億円未満、個人は1社につき年50万円または財産の状況に応じた額(上限200万円)のいずれか高い額まで
- IPOの配分では、個人顧客への配分予定数量の10%以上を抽選で配分。第三者割当増資の払込金額は原則、決議直前日の価額の0.9倍以上
- 外国証券の取引は外国証券取引口座の設定が前提。勧誘できる外国株券は適格外国金融商品市場で取引されているものなど
一種・二種の出題範囲
一種◯ 出題範囲二種◯ 出題範囲外務員必携 第2巻
この章は一種・二種で範囲が同じです。二種の方も記事全体が対象です。
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動画で要点を確認してから、下の本文で数字とひっかけを押さえましょう。ほかの章の動画は YouTube「証券外務員アカデミー」にまとめています。
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広告等の表示と景品類の提供
日本証券業協会の「広告等の表示及び景品類の提供に関する規則」は、チラシ・ホームページ・メール・セミナー資料など、多数の者に向けた情報提供を幅広く対象にしています。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 基本 | 投資者保護の精神に則り、取引の信義則を遵守し、品位の保持を図るとともに、的確な情報提供と明瞭かつ正確な表示を行う |
| 禁止される表示の例 | 取引の長所のみを強調し短所を隠す表示、不確実な事項を確実であるかのように誤認させる表示、虚偽・誇大な表示、他社を中傷する表示、協会員としての品位を損なう表示 など |
| 広告審査担当者 | 協会員は広告審査担当者を任命し、広告等の表示・景品類の提供はその審査を受けてから行う。担当者は内部管理責任者資格試験などの合格者 |
| 景品類 | 景品表示法などの法令に違反する景品類の提供、取引の公正を害する景品類の提供をしてはならない |
従業員が広告審査担当者の審査を受けずに、自分限りで広告を作って配ることは、従業員規則でも禁止行為とされています。金融商品取引法上の広告規制(リスク・手数料の表示義務など)と重なる部分もあるので、両方で問われると考えてください。
個人情報の保護
日本証券業協会は、個人情報保護法に基づく認定個人情報保護団体として、協会員向けの指針を定めています。協会規則でも、顧客に関する情報(見込み顧客の情報を含み、公知の情報を除く)の漏えいは禁止され、他の協会員の顧客情報を不正に取得・使用することも禁止されています。個人情報保護法そのものの内容は個人情報保護法・マイナンバー法・犯罪収益移転防止法で整理しています。
株式関係①:店頭有価証券と非上場株式の取引制度
店頭有価証券とは、国内の金融商品取引所に上場されていない株券・新株予約権付社債券などをいいます。企業内容の法定開示が行われないことが多いため、協会規則は店頭有価証券の投資勧誘を原則として禁止しています。そのうえで、次のような例外の仕組みが用意されています。
| 制度 | 勧誘できる相手・方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 店頭取扱有価証券 | 会社内容説明書などで一定の開示が継続的に行われるもの。一定の場合に勧誘可 | 監査を受けた財務諸表などの開示が前提 |
| 適格機関投資家向け | 適格機関投資家 | 適格機関投資家以外に転売されないことが条件 |
| 特定投資家向け(J-Ships、2022年7月〜) | 特定投資家(プロ投資家) | 特定投資家私募・私売出しの取扱いを可能にした制度 |
| 株主コミュニティ | そのコミュニティの参加者のみ | 運営会員(証券会社)が協会の指定を受けて運営 |
| 株式投資型クラウドファンディング | ウェブサイトの閲覧・電子メールによる方法が原則 | 発行額・投資額に上限あり |
| フェニックス銘柄 | 取引開始基準に適合した顧客 | 上場廃止銘柄の換金の場 |
店頭有価証券の取引、株式投資型クラウドファンディングの取引、株主コミュニティ銘柄の取引は、いずれも協会員が取引開始基準を定めるべき取引に含まれています。
株主コミュニティ
地域に根ざした非上場企業などの株式を売買したり、その株式で資金を集めたりする仕組みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会員 | 協会が指定・公表した証券会社。指定を受けなければ株主コミュニティを組成・運営できない |
| 投資勧誘 | 株主コミュニティの参加者に対してのみ、その銘柄の投資勧誘ができる |
| 参加勧誘 | 会社関係者(役員・従業員・株主・取引先など)に加え、特定投資家も参加勧誘の対象 |
| 取引 | 参加者間、または参加者と証券会社との間で行う |
| 情報提供 | 詳しい財務情報などは参加者のみに提供 |
株式投資型クラウドファンディング
非上場株式の募集・私募の取扱いを通じ、インターネットで多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みです。上限額は改正で引き上げられており、古い数字(1億円未満・一律50万円)で覚えている人は注意してください。
| 項目 | 現行ルール |
|---|---|
| 発行者の調達額 | 同一の会社につき1年間に5億円未満(改正前は1億円未満) |
| 個人の投資上限 | 同一の会社の株式につき1年間に、50万円か、財産の状況に応じた額(年収または純資産の5%)のいずれか高い額。ただし200万円が上限 |
| 特定投資家 | 年間の投資上限はない |
| 勧誘の方法 | ウェブサイトの閲覧・電子メールの送信に限る(顧客の求めに応じた電話等での説明は、掲載済みの内容の範囲で可)。訪問による勧誘は不可 |
| 顧客の保護 | 適合性の確認、8日間の申込みの撤回(クーリングオフ)など |
事業者によっては投資上限を一律50万円としている場合もあります。
フェニックス銘柄
金融商品取引所を上場廃止になった銘柄で、証券会社が協会に届け出たうえで継続的に売り気配・買い気配を提示している銘柄です。上場廃止で換金の機会が大きく減った既存株主に、換金の場を提供するのが目的です。
- 取扱会員は取引開始基準を定め、それに適合した顧客から受託する
- 初めての顧客(特定投資家を除く)には契約締結前交付書面と店頭取扱有価証券の性格や取引の仕組みを記載した説明書を交付し、確認書を徴求する
- 協会は、取扱会員から報告を受けた気配と売買の内容を公表する
株式関係②:取引所外売買・引受け・配分・第三者割当
上場株券等の取引所外売買
上場株券等を取引所の外で売買することを取引所外売買といい、私設取引システム(PTS)での売買も含まれます。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 価格 | 売買の価格・金額が適当と認められるものであることを確認し、その記録を保存 |
| 顧客への説明 | 顧客から取引所外売買の注文を受けるときは、あらかじめ規則で定める事項を説明 |
| 報告と公表 | 協会員は売買の内容を協会に報告し、協会がこれを公表する |
取引所外売買やPTSの仕組みは株式業務①売買の形態・注文の受託・取引所売買もあわせて確認してください。
有価証券の引受け
協会員が有価証券の引受けを行う場合は、発行者の財務状況・事業計画・資金使途などについて引受審査を適切に行い、適正な業務運営と投資者保護を図ることが求められます。
引受けに係る顧客への配分
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 基本 | 市場の実勢・投資需要を勘案し、公正を旨とし、合理的な理由なく特定の投資家に偏らないよう努める |
| 親引け | 発行者が指定する販売先への売付け。原則禁止(配分が公正で、発行者による開示などの要件を満たす場合は例外) |
| 抽選配分 | 新規公開の際、個人顧客への配分予定数量の10%以上について抽選で配分先を決める(需要不足など一定の場合は例外) |
| 不公正な配分の禁止 | 特定の顧客への過度な集中配分や不公正な配分をしてはならない |
| 基本方針 | 配分の基本方針を定め、店頭掲示やホームページで投資者に周知 |
| 報告 | 配分状況を協会に報告し、協会が定期的に公表 |
第三者割当増資
協会員が上場会社の第三者割当増資を引き受けたり取り扱ったりする場合、協会の指針により、払込金額が適正であることなどを確認します。
| 項目 | 指針の内容 |
|---|---|
| 払込金額の原則 | 株式の発行に係る取締役会決議の直前日の価額に0.9を乗じた額以上 |
| 平均価額による方法 | 決議の日から適当な期間(最長6か月)さかのぼった日から直前日までの平均の価額に0.9を乗じた額以上とすることもできる(理由の開示を要請) |
| 適用除外 | 会社法に基づき株主総会の特別決議を経て発行する場合は、この指針の適用を受けない |
例題1. 取締役会決議の直前日の株価が1,500円の上場会社が第三者割当増資を行う(株主総会の特別決議は経ない)。指針上、払込金額の下限はいくらか。
式:下限 = 直前日の価額 × 0.9
途中計算:1,500円 × 0.9 = 1,350円
答え:1,350円以上
例題2. IPOで個人顧客への配分予定数量が50,000株の場合、抽選で配分先を決めなければならない数量は最低何株か。
式:抽選分 ≧ 個人顧客への配分予定数量 × 10%
途中計算:50,000株 × 0.1 = 5,000株
答え:5,000株以上
債券関係:公社債の店頭売買と参考統計値
債券は取引のほとんどが証券会社と顧客の相対取引(店頭取引)で行われます。そこで協会は、価格の透明性を高めるための仕組みを設けています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公社債店頭売買参考統計値 | 協会が指定する指定報告協会員からの気配の報告に基づき、協会が毎営業日発表 |
| 報告される気配 | 午後3時現在の、額面5億円程度の売買の参考となる気配(売り気配と買い気配の仲値) |
| 発表する値 | 平均値・中央値・最高値・最低値(単価と利回り) |
| 協会員の売買値段 | 合理的な方法で算出された時価(社内時価)を基準として、適正な価格で取引する |
| 社内時価の管理 | 社内時価を毎日整理・保存し、算出方法の継続性を維持する |
| 異常な取引の禁止 | 顧客の損失を補てんする目的の取引、買戻しを約束した取引など |
| 社債の取引情報 | 会員が社債の取引を報告し、協会が毎営業日取引情報を発表 |
参考統計値は「売買の参考」であり、この値で売買しなければならないわけではありません。債券の売買手法などは債券業務①債券の基礎・発行市場・流通市場で扱っています。
外国証券の取引
協会員が顧客と外国証券の取引を行うときは、「外国証券の取引に関する規則」に従います。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 外国証券取引口座 | 顧客に外国証券取引口座に関する約款を交付し、約款に基づく口座設定の申込みを受け、口座を設定して顧客に通知する |
| 保管 | 協会員の指定する外国の保管機関に委任し、協会員の名義で保管 |
| 決済 | 円貨又は外貨(協会員が応じられる範囲で顧客が指定)。売買代金の換算日は約定日 |
| 勧誘できる外国株券等 | 適格外国金融商品市場で取引が行われているもの、金融商品取引法による開示が行われているもの など |
| 適格外国金融商品市場 | 取引価格・発行者の財務諸表等が入手でき、監督官庁が存在し、送金が可能で、保管業務を行う機関がある外国の市場 |
| 外国投資信託 | 最低純資産額、保管、国内の代理人、代行協会員の設置など、協会の選別基準を満たすものを販売する |
外国株式の取引形態(国内委託取引・外国取引・国内店頭取引)は株式業務②信用取引・外国株式の取引で扱います。
試験に出るひっかけ(○×問題)
問1. 協会員は、広告審査担当者の審査を受ければ、取引の長所のみを強調した広告を表示することができる。
答え:× 長所のみを強調し短所を隠す表示は、審査の有無にかかわらず禁止です。
問2. 株主コミュニティの運営会員は、株主コミュニティに参加していない一般の投資者に対しても、株主コミュニティ銘柄の投資勧誘を行うことができる。
答え:× 投資勧誘ができるのは参加者に対してのみです。
問3. 株式投資型クラウドファンディングで同一の会社が資金調達できる額は、1年間に1億円未満である。
答え:× 現行ルールでは1年間に5億円未満です。
問4. フェニックス銘柄とは、金融商品取引所に新規上場を予定している銘柄のことである。
答え:× 上場廃止となった銘柄で、証券会社が協会に届け出て継続的に気配を提示している銘柄です。
問5. 親引けとは、発行者が指定する販売先への売付けをいい、原則として禁止されている。
答え:○ 配分の公正を確保するため、原則禁止です。
問6. 株主総会の特別決議を経て行う第三者割当増資にも、払込金額を決議直前日の価額の0.9倍以上とする協会の指針が適用される。
答え:× 株主総会の特別決議を経る場合は、指針の適用を受けません。
問7. 協会員は、公社債の店頭売買を公社債店頭売買参考統計値と同じ価格で行わなければならない。
答え:× 参考統計値は参考です。売買は合理的な方法で算出された時価(社内時価)を基準とした適正な価格で行います。
問8. 外国証券の取引で顧客が外貨で決済する場合、売買代金の換算日は受渡日である。
答え:× 売買代金の換算日は約定日です。
この章の論点は外務員試験の模擬試験(一種・二種 各3回分・全問解答解説つき)でも出題しています。要点を読んだら、本番形式の問題で理解を確かめてください。
外務員の次に取る資格
IPOの公開価格、第三者割当の払込金額、社債の社内時価など、この章には「価格をどう決めるか」の話が多く出てきます。価格の根拠を説明できる力を伸ばしたいなら、企業価値評価や債券分析を学ぶ証券アナリスト(CMA)やCFA®が次の候補になります。
銀行・証券・保険・アセマネで働く人が外務員の次に何を学んでいるかは、こちらでまとめています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由
よくある質問
Q. 非上場株式を証券会社が勧誘することはできますか?
A. 店頭有価証券の投資勧誘は協会規則で原則禁止です。ただし株主コミュニティの参加者への勧誘、株式投資型クラウドファンディング、フェニックス銘柄、適格機関投資家や特定投資家向けの勧誘など、規則で認められた仕組みの範囲では可能です。
Q. 株式投資型クラウドファンディングの投資上限はいくらですか?
A. 個人は同一の会社の株式につき1年間に、50万円か、年収または純資産の5%のいずれか高い額までで、上限は200万円です。特定投資家には年間の投資上限がありません。発行者の調達額は1年間に5億円未満です。
Q. IPOの抽選配分は何%以上ですか?
A. 新規公開の際、個人顧客への配分予定数量の10%以上について抽選で配分先を決めます。需要が少ない場合など、一定の例外があります。
Q. 外国株式を買うには何が必要ですか?
A. 証券会社に外国証券取引口座を設定する必要があります。証券会社は外国証券取引口座に関する約款を交付し、顧客から口座設定の申込みを受けます。
参考(2026年9月確認):日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング 制度の概要」「株式投資型クラウドファンディング業務」「株主コミュニティ 制度の概要」「フェニックス銘柄とは?」「フェニックス銘柄の一般的な売買における投資勧誘」「自主規制規則・株式関係」「株券等の募集等の引受け等に係る顧客への配分等に関する規則」「第三者割当増資の取扱いに関する指針」「上場株券等の取引所金融商品市場外での売買等に関する規則」「公社債の店頭売買の参考値等の発表及び売買値段に関する規則」「公社債店頭売買参考統計値発表制度について」「外国証券の取引に関する規則」「広告審査担当者」、日本取引所グループ金融商品取引法研究会「日本証券業協会の自主規制(3)」、公益財団法人日本証券経済研究所『図説 日本の証券市場』、資本市場研究会『月刊資本市場』2022年6月号。規則は改正されることがあるため、自主規制ウェブハンドブックで最新版をご確認ください。
