結論:投資信託①は「定義と分類」「委託会社・受託会社・販売会社の役割分担」「運用の制限」を正確に区別できれば得点できます。
- 証券投資信託は、投資信託財産の2分の1超を有価証券に投資する委託者指図型投資信託(投信法施行令6条)
- 株式投資信託か公社債投資信託かは約款上、株式を組み入れられるかどうかで決まる。実際の組入れの有無ではない
- 運用の指図は委託会社、財産の保管・管理は受託会社(信託銀行など)、募集の取扱いと受益者の窓口は販売会社
- 同一法人の株式は、委託会社が運用するすべての投信の合計で議決権の50%超を取得できない
- 約款の重大な変更は書面決議(議決権の3分の2以上)。反対した受益者には受益権の買取請求権がある
一種・二種の出題範囲
一種◯ 出題範囲二種◯ 出題範囲外務員必携 第3巻
この章は一種・二種で範囲が同じです。二種の方も記事全体が対象です。
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外務員必携の章別記事の一覧は外務員必携の章別まとめにあります。販売ルール・基準価額・分配金・J-REITは投資信託②販売・分配・REITで扱います。
投資信託の歩み
年号そのものより「何がいつ解禁されたか」の順番が問われます。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1951年 | 証券投資信託法が制定され、戦後の投資信託が始まる |
| 1961年 | 公社債投資信託が登場 |
| 1998年 | 金融システム改革で会社型投資信託(証券投資法人)の導入、銀行など登録金融機関での投信の窓口販売が可能に |
| 2000年 | 法律名が「投資信託及び投資法人に関する法律」(投信法)に。運用対象が不動産などにも広がる |
| 2001年 | 不動産投資信託(J-REIT)が上場。株価指数連動型ETFも上場が進む |
| 2016年 | マイナス金利政策の導入を受け、国内の公募MMFが繰上償還される |
| 2026年4月 | 投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合し、資産運用業協会が発足 |
国内の公募MMFは2016年にいったん姿を消しました。ただし制度が廃止されたわけではなく、金利の上昇を受けて、2026年には大手金融機関が国内MMFの取扱いを再開する動きが出ています。「MMFは制度として廃止された」は誤りです。
投資信託の概念:定義と特徴
投資信託は、多くの投資家から集めた資金をまとめ、専門家が株式や債券などに投資・運用し、成果を投資家に分配する仕組みです。投信法では次のように定義されています。
| 用語 | 定義の要点(投信法) |
|---|---|
| 委託者指図型投資信託 | 信託財産を委託者の指図に基づいて主として特定資産に投資・運用する信託で、受益権を分割して複数の者に取得させるもの(2条1項) |
| 委託者非指図型投資信託 | 1個の信託約款に基づき、受託者が複数の委託者から受け入れた金銭を合同して、委託者の指図に基づかず主として特定資産に投資・運用する信託(2条2項) |
| 証券投資信託 | 委託者指図型のうち、投資信託財産の総額の2分の1を超える額を有価証券(有価証券関連デリバティブ取引を含む)に投資するもの(2条4項・施行令6条) |
委託者非指図型投資信託は、主として有価証券に投資することが認められていません。「証券投資信託は委託者指図型に限られる」と覚えておきましょう。
投資信託の特徴
- 小口投資:少額から、多数の銘柄に分散した投資ができる
- 専門家による運用:運用のプロ(委託会社)が銘柄選択や配分を行う
- 財産の分別管理:投資信託財産は受託会社で信託財産として管理され、委託会社や販売会社の固有財産とは分けられている
- 元本保証はない:運用成果はすべて投資家に帰属し、値下がりの損失も投資家が負う
投資信託の種類
| 分け方 | 区分 | ポイント |
|---|---|---|
| 募集の相手 | 公募/私募 | 公募は50名以上の一般投資家に勧誘。私募は適格機関投資家私募、特定投資家私募、少人数(49名以下)私募 |
| 法形式 | 契約型/会社型 | 契約型は信託契約に基づく。会社型は投資を目的とする法人(投資法人)をつくり、投資家は投資主になる |
| 運用指図の有無 | 委託者指図型/委託者非指図型 | 日本の投信の大半は委託者指図型 |
| 投資対象(税法上の区分) | 株式投資信託/公社債投資信託 | 約款上、株式を一切組み入れられないものが公社債投信。株式を組み入れられるものは、実際に組み入れていなくても株式投信 |
| 追加設定 | 単位型(ユニット型)/追加型(オープン型) | 単位型は募集期間にだけ買える。追加型は運用開始後も時価(基準価額)で購入できる |
| 換金(払戻し) | オープンエンド型/クローズドエンド型 | オープンエンド型は解約(払戻し)に応じる。クローズドエンド型は払戻しをせず、市場で売却して換金する |
| 設定の根拠法 | 国内投信/外国投信 | 外国投信は外国の法令に基づいて設定され、日本で販売されるもの |
「単位型」と「クローズドエンド型」は別の概念です。単位型でも解約できる商品があり、また追加型でも一定期間は解約できないクローズド期間を設けるものがあります。
公社債投資信託:MRFとMMF
| 項目 | MRF(マネー・リザーブ・ファンド) | MMF(マネー・マネージメント・ファンド) |
|---|---|---|
| 位置づけ | 証券総合口座の決済用資金の受け皿 | 短期の公社債などで運用する追加型公社債投信 |
| 運用対象 | 残存期間の短い、格付けの高い公社債や短期金融商品 | 短期国債・社債・短期金融商品など |
| 決算 | 毎日決算、分配金は月末にまとめて再投資 | 従来の商品は毎日決算、分配金は月末にまとめて再投資 |
| 現状 | 証券総合口座で広く利用 | 2016年のマイナス金利導入を受けて国内の公募MMFはすべて償還。金利上昇を受け、2026年に取扱いを再開する動きがある |
どちらも元本保証はありません。従来のMMFは、購入後30日未満で解約すると信託財産留保額がかかる商品設計が一般的でした。
ETF(上場投資信託)
ETFは金融商品取引所に上場している投資信託です。株価指数などに連動するものが中心で、上場株式と同じように取引所で売買します。
- 売買価格は取引時間中に刻々と変わる市場価格。指値注文・成行注文ができる
- 上場株式と同様に信用取引の対象にもなる
- 設定・交換(解約)は、指定参加者(証券会社)を通じて、株式などの現物や金銭で行う仕組みがある
- 一般の投資家は、主に取引所での売買で購入・換金する
外国投資信託
外国投信を国内で販売する証券会社は、日本証券業協会「外国証券の取引に関する規則」の選別基準を満たすものだけを取り扱います。主な基準は次のとおりです。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 純資産額 | 投資信託の純資産額が1億円以上、管理会社の純資産額が5,000万円以上 |
| 空売り | 空売りした証券の時価総額が純資産額を超えないこと |
| 借入れ | 原則として純資産額の10%を超える借入れをしないこと |
| 同一法人の株式 | 同一法人の株式を50%を超えて取得しないこと |
| 流動性に欠ける資産 | 私募株式・非上場株式・不動産など流動性に欠ける資産への投資が純資産額の15%以下と明らかな場合を除き、価格の透明性を確保する方法がとられていること |
| その他 | 保管の委託、国内の代理人・代行協会員の設置、監査などが必要 |
商品分類と複雑な投資信託
投資家が商品を比べやすいよう、業界団体(資産運用業協会、旧投資信託協会)は投信を「単位型・追加型」「投資対象地域(国内・海外・内外)」「投資対象資産(株式・債券・不動産投信・その他資産・資産複合)」などで分類し、目論見書に表示させています。インデックス型か、特殊型(ブル・ベア型など)かといった補足分類もあります。
仕組みが複雑で、損失の出方がわかりにくい投資信託(例:参照する指標によって元本が大きく変わる条件の付いたもの)は、日本証券業協会の規則で勧誘開始基準や注意喚起文書の交付などの対象になります。販売時のルールは協会定款・諸規則①投資勧誘と外務員もあわせて確認してください。
投資信託の仕組み:契約と関係者
委託者指図型投資信託は、委託会社(委託者)と受託会社(受託者)が投資信託契約(信託契約)を結ぶことで設定されます。契約の内容を定めたものが投資信託約款で、委託会社はあらかじめ内閣総理大臣(金融庁)に届け出ます。受益者(投資家)は契約の当事者ではなく、受益権を取得する立場です。
| 関係者 | 誰がなるか | 主な役割 |
|---|---|---|
| 委託会社(投資信託委託会社) | 投資運用業の登録を受けた金融商品取引業者(運用会社) | 投資信託の設定、約款の作成・届出、運用の指図、目論見書・運用報告書の作成、基準価額の計算、議決権などの指図 |
| 受託会社 | 信託会社・信託業務を営む金融機関(信託銀行など) | 信託財産の保管・管理、委託会社の指図に基づく売買の執行と決済、基準価額の照合 |
| 販売会社 | 証券会社、銀行などの登録金融機関 | 受益権の募集の取扱い、目論見書の交付、分配金・償還金の支払いの取扱い、解約の受付 |
| 受益者 | 投資家 | 受益権を持ち、運用成果(分配金・償還金)を受け取る |
「受託会社が運用の指図をする」「販売会社が基準価額を計算する」といった役割の入れ替えが定番のひっかけです。指図は委託会社、保管は受託会社、窓口は販売会社と一言で言えるようにしましょう。
約款の重大な変更と書面決議
| 項目 | ルール(投信法17条・18条) |
|---|---|
| 対象 | 約款の重大な変更、投資信託の併合(受益者への影響が軽微なものを除く) |
| 通知 | 書面決議の日の2週間前までに、知れている受益者に通知 |
| 議決権 | 受益者は受益権の口数に応じて議決権を持つ |
| 決議要件 | 議決権を行使できる受益者の議決権の3分の2以上 |
| みなし賛成 | 議決権を行使しない受益者は賛成したものとみなす旨を、約款で定めることができる |
| 反対受益者 | 受託者に対し、受益権を公正な価格で買い取るよう請求できる。ただし、いつでも解約で換金できる投信など受益者保護に欠けるおそれがないものは対象外 |
投資信託の運用
主な運用手法
| 手法 | 内容 |
|---|---|
| パッシブ運用 | 株価指数などのベンチマークに連動する成果を目指す(インデックス運用) |
| アクティブ運用 | ベンチマークを上回る成果を目指す |
| トップダウン・アプローチ | 経済・金利・為替などマクロの分析から資産配分や業種配分を決める |
| ボトムアップ・アプローチ | 個別企業の調査・分析を積み上げて銘柄を選ぶ |
| グロース投資/バリュー投資 | 成長性の高い企業に投資する/利益や資産に比べて割安な企業に投資する |
| ファミリーファンド方式 | 投資家が買うベビーファンドの資金を、マザーファンドにまとめて運用する |
| ファンド・オブ・ファンズ | 複数の投資信託に投資する投資信託 |
委託会社の義務と禁止行為
委託会社は、受益者のために忠実に、かつ善良な管理者の注意をもって運用しなければなりません(金融商品取引法の忠実義務・善管注意義務)。次のような行為は禁止されています。
- 自己やその取締役との間で、運用財産を相手方とする取引(自己取引)
- 運用している財産どうしの取引(運用財産相互間取引)。受益者の利益を害さない一定の場合を除く
- 特定の銘柄の相場を変動させる目的での取引
- 通常の取引条件と異なる条件で、運用財産に損害を与える取引
- 運用の情報を利用して、自分の計算で売買すること
- 受益者の損失を補塡したり、利益を追加したりすること
投資制限
| 制限 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 同一法人の株式 | 委託会社が運用指図するすべての投信の合計で、同一法人の株式の議決権の50%を超える取得を指図してはならない | 投信法9条・施行規則20条 |
| 信用リスクの分散(一般的な投信) | 1つの発行体等への投資は、株式等・債券等・デリバティブ等のエクスポージャーがそれぞれ純資産の10%以内、合計で20%以内 | 業界団体の規則・ガイドライン |
| 特化型運用 | 特定の銘柄の比率が高くなる投信は、目論見書での開示を条件に、1発行体あたり35%以内 | 業界団体の規則・ガイドライン |
「1つの投信ごとに50%」ではなく、委託会社が運用する全投信の合計で判定する点が問われます。
議決権の行使とフィデューシャリー・デューティー
投資信託財産として持つ株式の議決権は、委託会社の指図に基づいて行使されます。受益者が直接行使するのではありません。委託会社は、受益者の利益のために議決権を行使する方針を定め、行使結果を公表するなど、スチュワードシップ責任を果たすことが求められています。
運用会社・販売会社には、顧客の最善の利益を考えて行動するフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)も求められます。法律上の最善利益勘案義務や金融庁の原則はセールス業務(職務と倫理・顧客本位)で整理しています。
試験に出るひっかけ(○×問題)
問1. 証券投資信託とは、投資信託財産の総額の2分の1を超える額を有価証券に投資する委託者指図型投資信託である。
答え:○ 投信法施行令6条の定義です。
問2. 約款上株式を組み入れることができても、実際に株式を組み入れていなければ公社債投資信託に分類される。
答え:× 約款上株式を組み入れられるなら株式投資信託です。公社債投信は株式を一切組み入れられないものです。
問3. 委託者指図型投資信託の運用の指図は、受託会社が行う。
答え:× 運用の指図は委託会社が行います。受託会社は財産の保管・管理と指図に基づく執行を担います。
問4. 委託会社は、1つの投資信託ごとに、同一法人の株式の議決権の50%を超えないようにすればよい。
答え:× 委託会社が運用指図するすべての投資信託の合計で判定します。
問5. 投資信託約款の重大な変更を行う書面決議は、議決権を行使できる受益者の議決権の3分の2以上の多数で行う。
答え:○ 投信法17条8項のとおりです。
問6. ETFは取引所で売買されるが、信用取引の対象にはならない。
答え:× ETFは上場株式と同様に信用取引の対象になります。
問7. 投資信託財産として保有する株式の議決権は、受益者が直接行使する。
答え:× 委託会社の指図に基づいて行使されます。
この章の論点は外務員試験の模擬試験(一種・二種 各3回分・全問解答解説つき)でも出題しています。要点を読んだら、本番形式の問題で理解を確かめてください。
外務員の次に取る資格
投資信託を説明するとき、「このファンドは何に、どういう考え方で投資しているのか」を自分の言葉で話せるかどうかで、お客さまの納得感は大きく変わります。運用手法やポートフォリオ理論を本格的に学ぶなら、証券アナリスト(CMA)やCFA®が次の学習先になります。
アセットマネジメントや販売会社で働く人が、外務員の次に取っている資格はこちらで紹介しています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由
よくある質問
Q. 株式投資信託と公社債投資信託はどう区別しますか?
A. 約款上、株式を組み入れることができるかどうかで区別します。株式を一切組み入れられないものが公社債投資信託で、組み入れられるものは実際には株式を持っていなくても株式投資信託です。
Q. 委託会社・受託会社・販売会社の役割の違いは何ですか?
A. 委託会社は運用の指図や目論見書の作成、受託会社(信託銀行など)は信託財産の保管・管理と指図に基づく売買の執行、販売会社(証券会社・銀行など)は募集の取扱いや分配金の支払いの取扱いを担います。
Q. MMFはもう存在しないのですか?
A. 2016年のマイナス金利導入を受けて、国内の公募MMFはいったんすべて償還されました。ただし制度が廃止されたわけではなく、金利の上昇を受けて、2026年には大手金融機関が国内MMFの取扱いを再開する動きが出ています。
Q. 約款の重大な変更に反対した受益者はどうなりますか?
A. 書面決議で反対した受益者は、受託者に対して受益権を公正な価格で買い取るよう請求できます。ただし、いつでも解約で換金できる投資信託など、受益者の保護に欠けるおそれがないものは対象外です。
参考(2026年9月確認):e-Gov法令検索「投資信託及び投資法人に関する法律」第2条・第9条・第17条・第18条、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」第6条、「投資信託及び投資法人に関する法律施行規則」第20条、資産運用業協会(旧投資信託協会)「信用リスク集中回避のための投資制限に係るガイドライン」「基準価額と分配金」、日本証券業協会「外国証券の取引に関する規則」。制度は改正されることがあるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
