法令・諸規則

金融商品取引法①業者規制・行為規制と外務員制度|外務員試験の要点

金融商品取引法① 業者規制と外務員

結論:金融商品取引法の「業者規制」は、①誰が業を営めるか(登録)②潰れないか(自己資本規制比率)③どう売るか(行為規制)④誰が売るか(外務員)の4本立てです。

  • 金融商品取引業は登録制。第一種業者の最低資本金は5,000万円、元引受けの幹事なら30億円
  • 自己資本規制比率は120%以上を維持。100%を下回ると3か月以内の業務停止があり得る
  • 外務員は登録制。登録取消しの日から5年は再登録不可、処分は登録取消し2年以内の職務停止
  • 行為規制の定番は断定的判断の提供・損失補てん・不招請勧誘・再勧誘・適合性原則

一種・二種の出題範囲

一種◯ 出題範囲二種◯ 出題範囲外務員必携 第1巻

この章は一種・二種で範囲が同じです。二種の方も記事全体が対象です。なお、一種外務員・二種外務員という「資格」で扱える取引の違い(信用取引・デリバティブ取引を扱えるのは一種外務員)は、協会規則の記事で扱います。

▶ この章の解説動画

動画で要点を確認してから、下の本文で数字とひっかけを押さえましょう。ほかの章の動画は YouTube「証券外務員アカデミー」にまとめています。

外務員必携の章別記事の一覧は外務員必携の章別まとめにあります。この記事は金融商品取引法の第1回で、総論と「業者」のルールを扱います。

金融商品取引法の目的と全体像

金融商品取引法(以下、金商法)は、証券会社や銀行が投資商品を扱うときの基本ルールです。第1条の目的規定は試験でそのまま問われます。キーワードは次の3つの手段と2つのゴールです。

区分 第1条に書かれている内容
手段 企業内容等の開示の制度の整備/金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定める/金融商品取引所の適切な運営の確保
直接の目的 有価証券の発行・金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成を図る
最終目的 国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資すること

金商法の全体は、この記事で扱う業者規制、次回の市場(取引所・自主規制機関)、第3回の不公正取引、第4回の開示制度・企業買収法制・法執行の4ブロックに分けると整理しやすくなります。

有価証券とデリバティブ取引

金商法が対象にする「有価証券」は、大きく2種類に分かれます。

区分 主な例 ポイント
第一項有価証券 国債、地方債、社債、株券、新株予約権証券、投資信託の受益証券、投資証券、CP、外国の株券・債券など 証券・証書が発行されるもの(株券電子化後も有価証券として扱われる)
第二項有価証券(みなし有価証券) 信託受益権、合同会社などの社員権、集団投資スキーム(ファンド)持分など 証券がなくても有価証券とみなされる。流動性が低い

先物・オプション・スワップなどのデリバティブ取引も金商法の対象です。一方、預金や保険そのものは金商法の有価証券ではありません。ただし、外貨預金やデリバティブ預金などの特定預金、変額保険などの特定保険には、銀行法・保険業法を通じて金商法の行為規制が準用されます。

金融商品取引業の種類と登録

金融商品取引業は内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えません(第29条)。業務の内容によって4種類に分かれ、それぞれに最低資本金などの要件があります。

業務の種類 主な業務 最低資本金(施行令)
第一種金融商品取引業 上場有価証券などの売買・その媒介や取次ぎ、引受け、店頭デリバティブ取引、有価証券等管理業務など(いわゆる証券会社) 原則5,000万円。元引受けの幹事業務は30億円、その他の元引受けは5億円
第二種金融商品取引業 ファンド持分・信託受益権などみなし有価証券の募集や売買、有価証券以外の市場デリバティブ取引など 1,000万円
投資助言・代理業 投資顧問契約に基づく助言、投資顧問契約・投資一任契約の締結の代理・媒介 資本金要件なし(営業保証金の供託が必要)
投資運用業 投資一任契約に基づく運用、投資信託・投資法人の運用、ファンドの自己運用 原則5,000万円

第一種金融商品取引業と投資運用業を行う者は株式会社(取締役会・監査役等を置くもの)でなければなりません。「有価証券関連業」とは、有価証券の売買やその媒介・取次ぎ・代理、有価証券関連デリバティブ取引などのことで、第一種業者がこれを行うのが典型的な証券会社です。

主要株主規制・兼業・帳簿

  • 第一種業者などの議決権の20%以上(一定の場合15%以上)を保有する主要株主になった者は、遅滞なく届け出なければなりません
  • 証券会社は付随業務のほか、届出業務・承認業務を営めます(詳しくは付随業務の記事で扱います)
  • 業者は帳簿書類の作成・保存、事業報告書の提出、説明書類の公衆縦覧などが義務づけられています

財務の健全性:自己資本規制比率

証券会社が破綻すると、顧客の取引が止まり市場全体が混乱します。そこで第一種業者には自己資本規制比率の維持が義務づけられています。算式は次のとおりです。

自己資本規制比率 = 固定化されていない自己資本の額 ÷ リスク相当額(市場リスク+取引先リスク+基礎的リスク) × 100

「固定化されていない自己資本」とは、資本金・準備金などの合計から、すぐに換金できない固定資産などを差し引いた額です。「リスク相当額」の3つは、保有有価証券の価格変動(市場リスク)、取引相手の債務不履行(取引先リスク)、事務ミスなど日常業務のリスク(基礎的リスク)を表します。

比率の水準 金商法上の扱い
120%以上 維持しなければならない水準(第46条の6第2項)
120%を下回った 内閣総理大臣は業務の方法の変更、財産の供託その他監督上必要な事項を命じることができる(第53条第1項)
100%を下回った 3か月以内の期間を定めて業務の全部または一部の停止を命じることができる(第53条第2項)
停止から3か月後も100%未満 回復の見込みがないと認められるときは登録を取り消すことができる(第53条第3項)
開示 毎月末などに届出。四半期末の比率を記載した書面を、四半期末から1か月を経過した日から3か月間、すべての営業所に備え置いて公衆の縦覧に供する(第46条の6第3項)

例題1. 固定化されていない自己資本の額が240億円、市場リスク相当額80億円、取引先リスク相当額40億円、基礎的リスク相当額50億円の証券会社の自己資本規制比率は?

式:240 ÷ (80 + 40 + 50) × 100

途中計算:リスク相当額の合計 = 170億円 → 240 ÷ 170 = 1.4117…

答え:約141.2%(120%以上なので基準を満たす)

例題2. 例題1の会社で損失が出て、固定化されていない自己資本が160億円に減った(リスク相当額は170億円のまま)。どの措置があり得る?

式:160 ÷ 170 × 100 = 94.1…%

途中計算:120%未満であり、さらに100%も下回っている

答え:約94.1%。業務方法の変更命令に加え、3か月以内の業務停止命令もあり得る

ひっかけは「120%を下回ったら直ちに登録取消し」「100%を下回ったら6か月以内の業務停止」といった数字の入れ替えです。120→変更命令、100→3か月以内の停止、さらに3か月後→取消しの順で覚えてください。

外務員制度

外務員とは、金融商品取引業者等の役員・使用人のうち、その業者のために有価証券の売買の勧誘や、募集・売出しの取扱いなどを行う者です。勧誘員・販売員・外交員など名称は問いません(第64条)。外務員の仕事や資格試験の概要は、シリーズの入門記事「証券外務員とは?」で解説しています。

条文 内容
第64条(登録) 業者は外務員について外務員登録原簿への登録を受けなければならず、登録を受けた者以外に外務員の職務を行わせてはならない
第64条の2(登録拒否) 欠格事由に該当する者(破産者で復権を得ない者、一定の刑に処せられて5年を経過しない者など)、外務員登録を取り消されてから5年を経過しない者、他の業者の外務員として登録されている者、金融商品仲介業者・金融サービス仲介業者として登録を受けている者などは登録を拒否される
第64条の3(権限) 外務員は所属業者に代わって、その職務に関し一切の裁判外の行為を行う権限を有するものとみなされる。ただし相手方が悪意であった場合は適用しない
第64条の4(変更の届出) 登録事項に変更があれば業者が届け出る
第64条の5(監督上の処分) 欠格事由に該当したとき、職務に関して法令に違反したとき、著しく不適当な行為をしたときなどは、登録の取消しまたは2年以内の期間を定めた職務停止。処分には聴聞が必要
第64条の6(登録の抹消) 外務員が職務を行わなくなった場合などに登録が抹消される
第64条の7(協会への委任) 内閣総理大臣は、協会員の外務員に関する登録事務を認可金融商品取引業協会(日本証券業協会)に行わせることができる

登録を申請するのは外務員本人ではなく所属する業者です。また「二重登録」はできないため、ある証券会社の外務員として登録されたまま、別の業者の外務員として登録を受けることはできません。協会の規則で定める外務員資格の種類(一種・二種など)、資格更新研修、外務員の禁止行為は協会定款・諸規則①投資勧誘・顧客管理・外務員で扱います。

業者の行為規制

ここが金商法でいちばん出題数の多い範囲です。「誰に」「どう売るか」のルールを、条文ごとに整理します。

誠実公正義務・標識・名義貸し

  • 誠実公正義務:業者と役職員は、顧客に対して誠実かつ公正に業務を遂行しなければなりません(第36条)。2023年の法改正で、金融サービス提供法に顧客等の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行する義務が設けられ、業態横断で適用されています
  • 標識の掲示:営業所ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示します
  • 名義貸しの禁止:自己の名義をもって他人に金融商品取引業を行わせてはなりません

最善利益勘案義務の詳細は金融サービス提供法・消費者契約法の記事を参照してください。

広告等の規制

業者が広告(テレビ・新聞・ウェブ・チラシなど)をするときは、次の事項の表示が必要です(第37条第1項)。

  • 業者の商号・名称
  • 金融商品取引業者等である旨と登録番号
  • 顧客の判断に影響を及ぼす重要事項(手数料等の概要、元本損失が生じるおそれとその理由など)

さらに、利益の見込みなどについて著しく事実に相違する表示や著しく人を誤認させる表示は禁止です(同条第2項)。リスク情報など一定の事項は、広告中の最も大きな文字と著しく異ならない大きさで表示することが求められます。

取引態様の事前明示義務

顧客から注文を受けたときは、あらかじめ「自己がその相手方となって売買するのか(仕切り)」「媒介・取次ぎ・代理として行うのか(委託)」の取引態様を明らかにしなければなりません(第37条の2)。

契約締結前・締結時の情報提供

業者は契約を結ぶ前に、商号・登録番号、契約の概要、手数料・報酬、金利・相場の変動で損失が生じるおそれ、損失が保証金等の額を上回るおそれ(デリバティブなど)といった事項を顧客に提供しなければなりません(第37条の3)。契約が成立したときも遅滞なく契約締結時の書面等を交付します(第37条の4)。

金融庁によると、2025年4月1日から、契約締結前交付書面や取引残高報告書などは、顧客のデジタル・リテラシーに応じて書面またはデジタルで提供できるようになりました。書面を希望する顧客は、請求すれば従来どおり書面で受け取れます。なお、投資者の保護に支障がない場合として内閣府令で定める場合(例えば同種の契約について過去に提供済みで一定期間内のものなど)は、締結前の提供が不要になります。

顧客への説明は、顧客の知識・経験・財産の状況・契約締結の目的に照らして、その顧客に理解されるために必要な方法・程度で行う必要があります(実質的説明義務)。

第38条の禁止行為

禁止行為 内容 対象
虚偽告知 契約の締結・勧誘に関して、顧客に虚偽のことを告げる すべての取引
断定的判断の提供 不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げて勧誘する すべての取引(結果的に予想が当たっても違反)
無登録格付の説明なし利用 無登録の信用格付業者の格付であることなど必要な事項を告げずに、その格付を提供して勧誘する すべての取引
不招請勧誘 勧誘の要請をしていない顧客に、訪問・電話で勧誘する 店頭デリバティブ取引(個人顧客との店頭デリバティブ取引はすべて)
勧誘受諾意思の不確認 勧誘に先立って、顧客に勧誘を受ける意思の有無を確認せずに勧誘する 店頭デリバティブ取引、通貨・金利・商品などの市場デリバティブ取引(株価指数先物などは含まれない)
再勧誘 契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む)を表示した顧客に勧誘を続ける 店頭デリバティブ取引、通貨・金利・商品などの市場デリバティブ取引(株価指数先物などは含まれない)
その他 特定金融指標の算出者への正当な根拠のない情報提供、無登録の高速取引行為者からの受託、内閣府令で定める行為

不招請勧誘・勧誘受諾意思確認・再勧誘の3つは、すべての有価証券の取引に一律にかかる規制ではなく、政令で指定されたデリバティブ取引などに限られる点がひっかけになります。一方、虚偽告知と断定的判断の提供は商品を問わず禁止です。

損失補てん等の禁止

第39条は、有価証券の売買などについて、顧客の損失を補てんしたり、あらかじめ定めた利益を上乗せしたりすることを禁止しています。3つの類型をセットで覚えます。

類型 内容
事前の約束 取引の前に「損失が出たら補てんする」「一定の利益に満たなければ補足する」と申し込み・約束する
事後の約束 取引の後に、生じた損失の補てんや利益の追加を申し込み・約束する
事後の実行 損失の補てんや利益の追加のため、実際に財産上の利益を提供する
  • 第三者を通じた補てんも禁止されます(「自己又は第三者が」)
  • 顧客側も、自ら要求して約束させたり利益を受けたりすることが禁止されます(要求した場合に限る)
  • 例外は事故(業者の違法・不当な行為)による損失の補てん。事後の約束・実行については、原則として内閣総理大臣の確認を事前に受ける必要があります(確定判決がある場合など確認不要の場合もあります)

適合性の原則

顧客の知識・経験・財産の状況・契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って、投資者の保護に欠けることのないように業務を行わなければなりません(第40条第1号)。「本人が希望したから」でも、明らかに不適当な商品を勧誘すれば問題になります。

最良執行義務

業者は、上場株式などの注文について、最良の取引の条件で執行するための方針(最良執行方針)を定めて公表し、その方針に従って注文を執行しなければなりません(第40条の2)。取引前には最良執行方針を記載した書面を交付し、取引後は顧客の求めに応じて方針に従って執行したことを説明します。2023年1月からは、特定投資家以外の顧客の注文について、手数料なども含めた価格を重視した方針とすることが求められています。

分別管理

対象 管理方法(第43条の2)
顧客から預かった有価証券 自己の固有財産と分別して管理
顧客から預かった金銭 業者が事業を廃止した場合に顧客に返還すべき額(顧客分別金)を、国内の信託会社等に信託
チェック 管理の状況について、定期に公認会計士または監査法人の監査を受ける

分別管理が守られていれば、証券会社が破綻しても顧客資産は返還されます。それでも返還できない場合の最後の備えが投資者保護基金(1人1,000万円まで)です。

内閣府令で禁止されているその他の行為

  • 作為的相場形成:実勢を反映しない作為的な相場を形成する目的で、過当な数量の売買を受託すること
  • 大量推奨販売:特定の銘柄について、不特定多数の顧客に一定期間継続して一斉・過度に勧誘し、公正な価格形成を損なうおそれがある行為
  • フロントランニング:顧客の注文を受けて、その成立前に自己の計算で同じ銘柄を売買すること
  • 法人関係情報を提供して勧誘すること、法人関係情報に基づいて自己の計算で売買すること
  • 顧客から売買の別・銘柄・数・価格の全部について一任を受ける取引一任勘定取引の契約を、投資一任契約として行う場合などを除いて締結すること
  • 顧客の仮名・借名取引であることを知りながら注文を受けること

特定投資家(プロ)と一般投資家(アマ)

行為規制の多くは、知識・経験のある特定投資家を相手にするときは適用されません(広告規制、契約締結前の情報提供、適合性原則など)。ただし虚偽告知・断定的判断の提供・損失補てんの禁止などは特定投資家相手でも適用されます。

区分 該当する者
一般投資家に移行できない特定投資家 適格機関投資家、国、日本銀行
一般投資家に移行できる特定投資家 投資者保護基金、預金保険機構、上場会社、資本金5億円以上の株式会社、金融商品取引業者、外国法人など
特定投資家に移行できる一般投資家 上記以外の法人、一定の要件を満たす個人(純資産・投資性金融資産・年収の水準と、取引経験・知識経験などを組み合わせた要件)
特定投資家に移行できない一般投資家 要件を満たさない個人

投資運用業・ファンドに関する規制

投資運用業者は、顧客のために忠実に、かつ善良な管理者の注意をもって運用を行う義務を負います。そのうえで、次のような行為が禁止されています。

  • 自己やその取締役との間で取引を行うこと(自己取引)
  • 運用財産相互間で取引を行うこと
  • 特定の金融商品等について不当な相場をつくる目的の取引、通常の条件と異なる条件での不利な取引
  • 運用として行った取引の情報を利用して自己の計算で売買すること
  • 原則として運用財産の運用権限の全部を他の者に委託すること

いわゆるプロ向けファンドについては、1名以上の適格機関投資家と、49名以下の特例業務対象投資家を相手にする場合に、登録ではなく届出で自己募集・自己運用ができる適格機関投資家等特例業務の制度があります。

金融機関(登録金融機関)の証券業務

銀行・信用金庫・保険会社などの金融機関は、原則として有価証券関連業を行えません(第33条第1項、いわゆる銀証分離)。ただし、次のような業務は内閣総理大臣の登録を受けて行えます。登録を受けた金融機関を登録金融機関といいます。

  • 投資目的・信託契約に基づく有価証券の売買
  • 国債・地方債・政府保証債などの売買や引受け
  • 投資信託の受益証券・投資証券の募集の取扱い(銀行窓口の投信販売)
  • 書面による取次ぎ(証券会社への注文の取次ぎ)、金融商品仲介業務など

登録金融機関にも、広告規制、契約締結前の情報提供、損失補てんの禁止などの行為規制がかかり、その役職員が勧誘を行うには外務員登録が必要です。

金融商品仲介業・信用格付業者・高速取引行為者

業者 内容 試験のポイント
金融商品仲介業者 証券会社・登録金融機関(所属金融商品取引業者等)の委託を受けて、有価証券の売買の媒介、募集・売出しの取扱いなどを行う(いわゆるIFA) 内閣総理大臣の登録制。法人・個人とも可。顧客から金銭・有価証券の預託を受けることは禁止。所属業者は仲介業者が顧客に加えた損害を賠償する責任を負う
信用格付業者 信用格付を付与し提供・閲覧させる業務を行う者 登録制(登録は任意)。無登録業者の格付を使った勧誘では、無登録である旨などの説明が必要
高速取引行為者 コンピュータで注文の判断を自動的に行い、高速で発注する取引(HFT)を行う者 登録制。業者は無登録の高速取引行為者から高速取引行為の注文を受託してはならない

試験に出るひっかけ(○×問題)

問1. 金融商品取引業者は、自己資本規制比率が100%を下回ったときは、直ちに登録を取り消される。

答え:× 100%未満で可能なのは3か月以内の業務停止命令です。停止から3か月経過後も100%未満で回復の見込みがない場合に、登録を取り消すことができます。

問2. 外務員登録を取り消された者は、取消しの日から3年を経過すれば再び登録を受けることができる。

答え:× 登録拒否期間は取消しの日から5年です。

問3. 内閣総理大臣は、法令に違反した外務員に対し、6か月以内の期間を定めて職務の停止を命じることができる。

答え:× 職務停止は「2年以内」の期間です。

問4. 顧客に「この株は必ず値上がりします」と告げて勧誘したが、実際に値上がりしたので問題はない。

答え:× 断定的判断の提供は、結果にかかわらず禁止されています。

問5. 損失補てんの禁止は、証券会社が直接行う場合だけが対象で、第三者を通じて行う場合は対象外である。

答え:× 「自己又は第三者が」補てんする約束・提供が禁止されています。

問6. 事故による損失を補てんする場合、損失補てんの禁止は適用されない。

答え:○ ただし事後の約束・実行については、原則として内閣総理大臣の確認を受けておく必要があります。

問7. 適格機関投資家は、申出により一般投資家に移行することができる。

答え:× 適格機関投資家・国・日本銀行は一般投資家に移行できません。

問8. 金融商品仲介業者は、顧客から有価証券の売買に関して金銭の預託を受けることができる。

答え:× 金融商品仲介業者は顧客から金銭・有価証券の預託を受けることが禁止されています。

この章の論点は外務員試験の模擬試験(一種・二種 各3回分・全問解答解説つき)でも出題しています。要点を読んだら、本番形式の問題で理解を確かめてください。

外務員の次に取る資格

業者規制を学ぶと、「なぜこれほど細かく顧客保護のルールがあるのか」という背景に、利益相反や受託者責任という考え方があることに気づきます。こうした倫理・行動規範を国際的な基準で体系的に学べるのが、日本証券アナリスト協会の証券アナリスト(CMA)CFA®です。

金融機関で働く人が外務員の次にどんな資格を目指しているかは、こちらでまとめています。
【金融機関×CFA】銀行・証券・保険・アセマネ勤務の方がCFA®試験に挑む理由

よくある質問

Q. 自己資本規制比率の120%と100%は、それぞれ何の基準ですか?

A. 120%は金融商品取引業者が維持しなければならない水準で、下回ると業務方法の変更命令などの対象になります。100%を下回ると3か月以内の業務停止命令があり得て、その後3か月経過しても100%未満で回復の見込みがなければ登録取消しもあり得ます。

Q. 外務員が処分されると、どうなりますか?

A. 内閣総理大臣は、法令違反などがあった外務員について登録の取消しか、2年以内の期間を定めた職務停止を命じることができます。登録を取り消されると、その日から5年間は再登録を受けられません。

Q. 不招請勧誘の禁止は、株式の勧誘にも適用されますか?

A. 一律には適用されません。不招請勧誘の禁止は、政令で定める店頭デリバティブ取引(個人顧客との店頭デリバティブ取引など)が対象です。一方、虚偽告知や断定的判断の提供は、株式を含むすべての取引で禁止されています。

Q. 契約締結前交付書面は、今も紙で渡さなければいけませんか?

A. 2025年4月1日から、顧客のデジタル・リテラシーに応じて書面かデジタルかを選んで情報提供できるようになりました。書面を希望する顧客は、請求すれば従来どおり書面で受け取れます。

参考(2026年9月確認):e-Gov法令検索「金融商品取引法」(第1条・第2条・第28条・第29条・第33条・第36条〜第40条の2・第43条の2・第46条の6・第53条・第64条〜第64条の7ほか)、「金融商品取引法施行令」第15条の7・第16条の4、金融庁「特定投資家に関する情報」「金融商品取引契約に係る顧客交付書面のデジタル化について」「最良執行方針等に係る政令等の改正」。制度は改正されることがあるため、最新の条文は各公式サイトでご確認ください。