【CFA®︎ L1 Equities LM9】Industry and Competitive Analysis を要点解説|業種分類・業界規模・ポーターの5つの力・PESTLE分析

Learning Module 9「Industry and Competitive Analysis(業界分析と競争分析)」は、業界分析・競争分析のプロセス、業種分類の方法と企業のグループ化の手法、業界の規模・成長性・収益性・市場シェアの把握、そしてポーターの5つの力とPESTLE分析による業界構造と外部要因の分析を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM9のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM9には4つのLOSがあります。
- LOS 1:業界分析と競争分析のプロセスを説明するdescribe the process of industry and competitive analysis
- LOS 2:業種分類の方法を説明し、企業をグループ化する方法を比較するdescribe industry classification methods and compare methods by which companies can be grouped
- LOS 3:業界の規模、成長特性、収益性、市場シェアの推移を判断するdetermine an industry’s size, growth characteristics, profitability, and market share trends
- LOS 4:ポーターの5つの力とPESTLEフレームワークを用いて、業界の構造と外部からの影響を分析するanalyze an industry’s structure and external influences using Porter’s Five Forces and the PESTLE framework
LM9のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 業界・競争分析は、似た製品やサービスを顧客に提供する企業群に影響する価値ドライバー、競争要因、外部要因を定義・特定するために行う
- 最初のステップは、第三者の業種分類や地域などの基準を用いて業界とその構成企業を分類すること
- 業界の範囲が決まったら、全体の規模・成長性・収益性と競争状況を調べる業界調査が以後の評価の土台となる。経済のトレンドと比べて、ライフサイクル上の段階、景気感応度、主要企業の市場シェアと推移を含む競争の激しさを判断する
- ポーターの5つの力は、競争の激しさで定義される業界構造を分析する枠組みで、新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存企業間の競争の5つから成る
- これらの力は経済的な堀の広さで評価でき、堀は無形資産、スイッチング・コスト、ネットワーク効果、コスト優位、効率的な規模に左右される
- PESTLE分析は、政治・経済・社会・技術・法律・環境の要因が業界の成長率や市場シェアの動きに与える影響を評価する
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:業界・競争分析のプロセス
業界・競争分析は、評価モデルの数値インプットを裏付け、それと整合的な評価のストーリーを作るための背景を提供します。プロセスは①業界の定義 → ②業界の調査 → ③業界構造の評価(5つの力) → ④外部要因の評価(PESTLE) → ⑤競争戦略の評価の5段階です。
- 業界の定義:第三者の業種分類などで範囲を確定
- 業界の調査:規模・成長性・収益性のデータ収集と構成企業の把握
- 業界構造:ポーターの5つの力で競争の激しさと収益性への影響を評価
- 外部要因:政治・経済・社会・技術・法律・環境の影響
- 競争戦略:個別企業の戦略と競争優位を業界の文脈で評価(企業分析へつながる)
LOS 2:業種分類とグループ化の手法
第三者の業種分類(GICS、ICB、TRBCなど)は、製品・サービスの類似性で企業をまとめる階層型の分類で、各企業を最下層の1つのグループに割り当てます。ほかに地域や景気感応度で企業をグループ化する方法もあります。
- GICS(MSCI、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス)、ICB(FTSEラッセル)、TRBC(リフィニティブ、非上場企業なども対象)。国・地域単位ではNAICS、NACE
- 限界:ビジネスモデルの違いや代替品、複数業種にまたがる企業(最大の売上の業種に分類)、地域による違い、分類変更による比較可能性の低下
- 地域:設立国・主要上場国・本社所在地で分類。同じ国の企業は政策や経済条件など共通の価値ドライバーを持ちやすいが、売上や資産の所在は考慮されない
- 景気循環型(金融、素材、一般消費財、資本財など):景気による売上・利益の変動が大きい
- ディフェンシブ(生活必需品、ヘルスケア、公益):需要が非弾力的で変動が小さい
- 成長企業:景気と関係なく売上が急成長。論点は高成長の持続期間と成熟時の収益性
LOS 3:業界の規模・成長性・収益性・市場シェア
業界調査では、業界規模をトップダウン(業界全体の売上統計)またはボトムアップ(参加企業の該当売上の合計)で推定し、成長性を経済全体と比べ、収益性を営業利益率やROICで測り、市場シェアと集中度の推移を把握します。
- トップダウン:政府統計や調査会社のデータ。非上場企業や小規模事業者が多い業界に適するが粒度が粗い場合がある
- ボトムアップ:大手上場企業中心の業界で直接測定可能。複数業種の企業は該当セグメントの売上だけを算入
- 成熟業界は経済成長率並みかそれ以下、成長業界は経済を上回り景気の影響を受けにくい
- ROIC = NOPAT ÷ 平均投下資本。ROIC > WACC なら価値を創造
- 市場シェア=企業の売上高 ÷ 業界売上高(推定を伴うため幅を持って解釈)
- HHI=各社の市場シェア(整数表示)の2乗和、独占で10,000。集中度が高いほど競争は緩やかで収益性が高い傾向
LOS 4:ポーターの5つの力とPESTLE分析
ポーターの5つの力(新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存企業間の競争)が強いほど、業界の資本収益率は資本コストを上回りにくくなります。PESTLE分析は、政治・経済・社会・技術・法律・環境の外部要因が業界の成長率や市場シェアの動きに与える影響を評価します。
- 経済的な堀(economic moat):広いほど資本コストを上回る収益性を長く維持できる
- 堀の源泉:無形資産、スイッチング・コスト、ネットワーク効果、コスト優位、効率的な規模
- 無形資産、ネットワーク効果、スイッチング・コストが大きいほど新規参入の脅威は小さい
- 売り手・買い手の交渉力が強い業界では、生産・供給の前後の段階に事業を広げる垂直統合が対抗策となる
- 技術要因:持続的イノベーションは既存製品の漸進的改善、破壊的イノベーションは新市場を生み既存市場を再定義
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