Learning Module 15「Credit Analysis for Government Issuers(政府発行体の信用分析)」は、ソブリン政府と非ソブリン政府の債務の信用評価における特有の考慮事項として、支払能力と支払意思を測る定性・定量要因、中央銀行の独立性や準備通貨の地位、一般財源債とレベニュー債の分析の違いを扱う単元です。

本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。

LM15のLOS(学習目標)

LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM15には1つのLOSがあります。

  1. LOS 1:ソブリン政府および非ソブリン政府の債務発行体と債務の信用を評価する際の特有の考慮事項を説明するexplain special considerations when evaluating the credit of sovereign and non-sovereign government debt issuers and issues

LM15のまとめ

この単元の要点をまとめると、次のとおりです。

  • 政府は財政政策の実施や公共財の提供などの予算需要のために、公開市場で借入を行う
  • ソブリン政府は民間の経済活動に課税できるため、その国のなかで最も信用リスクの低い発行体となるのが普通で、先進国のソブリン債はデフォルト・リスクがないとみなされることが多い
  • ソブリン発行体の支払能力と支払意思は、定性的要因と定量的要因を組み合わせて分析する
  • 中央銀行がソブリン発行体から独立しているほど、政府が自国債の買入れによって安易に通貨供給を増やす可能性は低くなる
  • ソブリンの信用力の重要な分かれ目は、自国通貨が完全に交換可能で外国の中央銀行などに保有される準備通貨かどうか
  • 非ソブリン政府の債務は地方政府や準政府機関が発行し、税収または特定事業の収入によって裏付けられる
  • 税収を裏付けとする非ソブリン債の信用分析はソブリン債と似た観点で行い、事業収入を裏付けとするレベニュー債は対象事業のキャッシュフローに基づいて評価する

以下、LOSごとに重要論点を整理します。

LOS 1:ソブリン・非ソブリン政府の信用評価

ソブリン債の信用分析では、支払能力(ability to pay)と支払意思(willingness to pay)を定性・定量の両面から評価します。非ソブリン政府の債務は、税収が裏付けの一般財源債か、特定事業の収入が裏付けのレベニュー債かによって分析の視点が異なります。

  • 定性的要因:制度の有効性と政治的安定、財政の柔軟性、金融政策の有効性(中央銀行の独立性)、経済の柔軟性、対外的な地位
  • 定量的要因:政府債務のGDP比、財政収支、経済成長率・1人当たり所得、経常収支、対外債務と外貨準備
  • 準備通貨の発行国は自国通貨建てで借入でき、信用力の面で大きな強み
  • 自国通貨建て債務と外貨建て債務は別々に格付され、外貨建ての格付の方が低いことが多い
  • 一般財源債(GO債):課税権が裏付けでソブリンと似た分析だが、通貨発行はできず、財政均衡を求められることが多い
  • レベニュー債:有料道路・空港などの事業収入が裏付けで、事業のキャッシュフローや債務返済比率で評価

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