【CFA®︎ L1 Fixed Income LM6】Fixed-Income Bond Valuation: Prices and Yields を要点解説|債券価格・最終利回り・経過利子・マトリックス・プライシング

Learning Module 6「Fixed-Income Bond Valuation: Prices and Yields(債券の評価:価格と利回り)」は、最終利回り(YTM)を用いた利払日および利払日間の債券価格の計算、フル・プライスとフラット・プライスと経過利子の関係、価格・クーポン・満期・YTMの関係、そして流動性の低い債券の価格を推定するマトリックス・プライシングを扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM6のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM6には3つのLOSがあります。
- LOS 1:最終利回りが与えられたとき、利払日および利払日の間における債券価格を計算するcalculate a bond’s price given a yield-to-maturity on or between coupon dates
- LOS 2:債券価格、クーポン・レート、満期、最終利回りの関係を特定するidentify the relationships among a bond’s price, coupon rate, maturity, and yield-to-maturity
- LOS 3:マトリックス・プライシングを説明するdescribe matrix pricing
LM6のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 債券の価格評価は割引キャッシュフロー分析の応用であり、価格はキャッシュフローと割引率によって決まる
- 価格と額面、あるいはクーポン・レートと割引率を比べることで、ディスカウント・パー・プレミアムのどれで取引されているかがわかる
- 市場価格がわかれば、将来キャッシュフローの現在価値を価格に一致させる単一の割引率として最終利回り(YTM)を求められる
- 投資家の実現リターンがYTMと一致するのは、満期まで保有し、元利金が予定どおり全額支払われ、クーポンをすべて同じYTMで再投資できる場合
- 利払日の間に売買するときは、次回クーポンを全額受け取る買い手が、前回利払日からの経過利子を売り手に上乗せして支払う
- 経過利子はクーポン額に「経過日数÷利払期間の日数」を掛けて計算し、日数計算にはactual/actualや30/360などの慣行がある
- 価格はYTMと逆方向に動き、クーポンが低いほど、また一般に満期が長いほど、同じ利回り変化に対する価格変化率が大きい
- 多くの債券は取引が少なく価格発見が難しいため、類似の債券の利回りから新発債や流動性の低い債券の価格を推定するマトリックス・プライシングが広く使われる
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:YTMによる債券価格の計算(利払日・利払日間)
債券価格は、クーポンと元本を最終利回り(YTM)で割り引いた現在価値の合計です。利払日の間では、直前の利払日時点の価格を経過期間分だけ複利で進めてフル・プライスを求め、そこから経過利子を差し引いたものがフラット・プライス(クォート価格)になります。
- 価格 = 各期のクーポンの現在価値 + 元本の現在価値
- YTMは1期あたりの利回りに換算して使う(半年払いなら年率÷2)
- フル・プライス(dirty price)= フラット・プライス(clean price)+ 経過利子
- 経過利子 = クーポン ×(前回利払日からの日数 ÷ 利払期間の日数)
- 日数計算の慣行:actual/actual(国債に多い)と30/360(社債に多い)
LOS 2:価格・クーポン・満期・YTMの関係
債券価格とYTMは逆方向に動きます。クーポン・レートがYTMより高ければプレミアム、等しければパー、低ければディスカウントで取引されます。さらに、価格とYTMの関係は直線ではなく原点に向かって凸の曲線になります。
- クーポン・レート>YTM:プレミアム、=:パー、<:ディスカウント
- クーポンが低いほど、同じ利回り変化に対する価格変化率が大きい
- 一般に満期が長いほど、同じ利回り変化に対する価格変化率が大きい
- 凸性:同じ幅なら、利回り低下による値上がりは利回り上昇による値下がりより大きい
- 価格はYTMが変わらなければ満期に向けて額面に近づく(プル・トゥ・パー)
LOS 3:マトリックス・プライシング
マトリックス・プライシングは、取引が少ない債券や新発債の価格を、満期・クーポン・信用力が近い取引の活発な債券の利回りから推定する方法です。類似債券の利回りを満期で補間して対象債券の利回りを求め、それで割り引いて価格を出します。
- 多くの債券は株式と違って取引が少なく、市場価格が観察しにくい
- 満期・クーポン・信用格付が類似した銘柄の利回りを使う
- 満期の差は線形補間で調整
- 新発債のクーポン水準の決定(ベンチマーク利回り+スプレッドの推定)にも使われる
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