【CFA®︎ L1 Fixed Income LM14】Credit Risk を要点解説|デフォルト確率・デフォルト時損失率・信用格付・スプレッド

Learning Module 14「Credit Risk(信用リスク)」は、信用リスクとその構成要素(デフォルト確率とデフォルト時損失率)、信用格付機関の格付の利用方法とその限界、そして利回りスプレッドの水準と変動に影響するマクロ経済要因・市場要因・発行体固有要因を扱う単元です。
本記事では、最新版カリキュラムのLOS(Learning Outcome Statement)と、この単元の重要論点を日本語で整理しました。
LM14のLOS(学習目標)
LOSは、この単元で「できるようになるべきこと」として示されている学習目標です。LM14には3つのLOSがあります。
- LOS 1:信用リスクとその構成要素であるデフォルト確率とデフォルト時損失率を説明するdescribe credit risk and its components, probability of default and loss given default
- LOS 2:信用格付機関の格付の利用方法とその限界を説明するdescribe the uses of ratings from credit rating agencies and their limitations
- LOS 3:利回りスプレッドの水準とボラティリティに影響するマクロ経済要因、市場要因、発行体固有の要因を説明するdescribe macroeconomic, market, and issuer-specific factors that influence the level and volatility of yield spreads
LM14のまとめ
この単元の要点をまとめると、次のとおりです。
- 信用リスクは、借り手が元利金を期日どおり全額支払えないことから生じる経済的損失のリスクで、主な構成要素はデフォルト確率とデフォルト時損失率、その積が期待損失
- 信用リスクの主な源泉は、悪化したマクロ経済環境、資金源と支払義務のミスマッチ、事業会社・ソブリンそれぞれの発行体固有の要因
- 先進国の債券市場ではほぼすべての債券に信用格付が付与され、業種内・業種間で債券や発行体の信用リスクを比較できる
- 投資適格の格付はムーディーズでBaa3以上、S&PとフィッチでBBB−以上で、デフォルト・リスクが最も低い。非投資適格(ハイ・イールド)はS&P・フィッチでBB+以下、ムーディーズでBa1以下
- 格付だけに頼る投資判断の落とし穴として、格付の変更が市場価格より遅れること、重要な財務リスクを見落とすこと、将来予測の誤りや想定外の変化を反映しきれないことがある
- 無リスク資産に対する社債の上乗せ利回り(スプレッド)は、信用リスクが高まると拡大し、低下すると縮小する
- 信用スプレッドの変化は、スプレッドの変化幅と、期末の修正デュレーション・コンベクシティで表される価格感応度を通じて保有期間リターンに影響し、スプレッド縮小はリターンを高める
以下、LOSごとに重要論点を整理します。
LOS 1:信用リスクとその構成要素
信用リスクは、借り手が元利金を期日どおり全額支払えないことによる損失のリスクです。主な構成要素は、デフォルトが起きる確率であるデフォルト確率(PD)と、デフォルト時に失う割合であるデフォルト時損失率(LGD)で、両者の積が期待損失になります。
- LGD = 1 − 回収率(損失額ベースではエクスポージャー ×(1 − 回収率))
- 期待損失 = デフォルト確率 × デフォルト時損失率
- 信用リスクの源泉:マクロ経済環境の悪化、資金源と支払義務のミスマッチ、発行体固有の要因
- 優先順位や担保の有無は主にLGDに影響
- 信用力の評価では返済能力と支払意思の両面を見る
LOS 2:信用格付の利用と限界
信用格付は、債券や発行体の信用リスクを業種内・業種間で比較するための共通の物差しです。Baa3/BBB−以上が投資適格、それを下回るとハイ・イールドに分類されます。ただし、格付は市場価格に比べて変更が遅れることがあり、格付だけに頼る判断には限界があります。
- 投資適格:ムーディーズBaa3以上、S&P・フィッチBBB−以上
- ハイ・イールド:ムーディーズBa1以下、S&P・フィッチBB+以下
- 発行体格付(issuer rating)と個別債券の格付(issue rating)の区別
- 格付の変化(格下げ・格上げ)を格付推移として把握
- 限界:市場価格より格付変更が遅れる、訴訟・買収などの事象リスクを見落とす、将来予測の誤り
LOS 3:スプレッドに影響する要因
利回りスプレッドの水準と変動は、マクロ経済要因(景気循環)、市場要因(流動性・需給)、発行体固有の要因(財務状態や事業の見通し)の影響を受けます。スプレッドの変化は、スプレッドの変化幅と債券の価格感応度(修正デュレーション・コンベクシティ)を通じて保有期間リターンに影響します。
- 景気後退期にはスプレッドが拡大し、景気拡大期には縮小しやすい
- 信用力の低い債券ほどスプレッドの水準も変動も大きい
- 市場要因:流動性の低下や大量の新規発行、ディーラーの在庫余力の縮小でスプレッドが拡大
- 発行体固有要因:業績・レバレッジの変化、格付の変更
- スプレッド縮小は保有期間リターンを押し上げ、拡大は押し下げる
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