CFA®︎ Level 2「Fixed Income(債券)」の重要公式26本を、学習単元(Learning Module)ごとに整理しました。公式ごとに数式・記号の意味・使いどころ をまとめています。数式が横に長い場合は、横にスクロールしてご覧ください。
単元(LM)一覧 Fixed Income の重要公式(LM別) LM1 The Term Structure and Interest Rate Dynamics(金利の期間構造と金利変動) 1. スポットレートと割引係数の関係
Spot Rate and Discount Factor
DF N = ( 1 + z N ) N 1 ⟺ z N = ( DF N 1 ) 1/ N − 1
DF N N期満期の割引係数(DF = Discount Factor。将来の1単位受取の現在価値)
z N N期のスポットレート(ゼロクーポンレート)
N 満期までの期間数
使いどころ: スポット・レートから割引係数を求める、または割引係数からスポット・レートを逆算する式。フォワード・レートやスワップ・レートの計算の基礎となる。
2. フォワードレート・モデル
Forward Rate Model
( 1 + z B ) B = ( 1 + z A ) A ( 1 + f A , B − A ) B − A
z A , z B A期・B期のスポットレート
f A , B − A A期後にスタートする(B−A)期間のフォワードレート
A , B フォワードの起点(A)と満期(B)までの期間
使いどころ: 2つの年限のスポット・レートから、将来時点を起点とするフォワード・レートを無裁定の関係で導く式。
3. 割引係数によるフォワード価格
Forward Price from Discount Factors
F A , B − A = DF A DF B
F A , B − A A時点に受け渡す(B−A)期満期債のフォワード価格
DF A , DF B A期・B期の割引係数(DF = Discount Factor。将来の1単位受取の現在価値)
A , B 受渡時点(A)と債券の満期時点(B)までの期間
使いどころ: 現時点で合意し将来受け渡すゼロクーポン債のフォワード価格を、2つの割引係数の比として求める式。
4. スポットレート=フォワードレートの幾何平均
Spot Rate as Geometric Mean of Forward Rates
z T = [ ( 1 + z 1 ) ( 1 + f 1 , 1 ) ( 1 + f 2 , 1 ) ⋯ ( 1 + f T − 1 , 1 ) ] 1/ T − 1
z T T期のスポットレート
z 1 1期スポットレート
f t , 1 t期後スタートの1期フォワードレート
T 満期までの期間数
使いどころ: 1期スポット・レートと一連の1期フォワード・レートの幾何平均として、長い年限のスポット・レートを求める式。
5. パーレートからのスポットレート・ブートストラップ
Bootstrapping Spot Rates from Par Rates
1 = ( 1 + z 1 ) c + ( 1 + z 2 ) 2 c + ⋯ + ( 1 + z N − 1 ) N − 1 c + ( 1 + z N ) N 1 + c
c パーレート(額面で取引される債券のクーポン率。ここでは額面を1とする)
z 1 , z 2 , … , z N − 1 既に求めた1期・2期…N−1期のスポットレート
z N 解こうとするN期スポットレート
N 対象とする満期までの期間数
使いどころ: パー・レートから短い年限の順にスポット・レートを逐次的に求める式。ブートストラップ法の計算に用いる。
6. スポット(割引係数)からのスワップレート
Swap Rate from Spot Rates / Discount Factors
s T = DF 1 + DF 2 + ⋯ + DF T 1 − DF T where ( 1 + z 1 ) s T + ( 1 + z 2 ) 2 s T + ⋯ + ( 1 + z T ) T s T + ( 1 + z T ) T 1 = 1
s T T期スワップレート(固定レッグのレート)
DF 1 , … , DF T 1期…T期の割引係数(DF = Discount Factor。将来の1単位受取の現在価値)
z 1 , … , z T 1期…T期のスポットレート
T スワップの満期までの期間数
使いどころ: 固定レッグと変動レッグの現在価値が等しくなる条件から、スワップ・レートを割引係数やスポット・レートで求める式。
7. スワップスプレッド
Swap Spread
Swap spread = s swap − y govt
Swap spread スワップスプレッド:スワップレートと国債利回りの差
s swap 同一満期のスワップ(swap)固定レート
y govt 同一満期のオンザラン国債(govt = government)の利回り
使いどころ: 同年限のスワップ・レートと国債利回りの差を求める式。経済全体の信用・流動性リスクの指標として用いる。
8. キーレート・実効デュレーションによるポートフォリオ収益率
Portfolio Return via Key Rate / Effective Duration
%Δ V ≈ − ( KeyRateDur 1 × Δ y 1 + KeyRateDur 2 × Δ y 2 + ⋯ )
%Δ V ポートフォリオ価値(V)の変化率
KeyRateDur i 第i満期のキーレート・デュレーション(Key Rate Duration)
Δ y i 第i満期の利回りの変化(小数)
使いどころ: 各年限の利回り変化とキー・レート・デュレーションから、ポートフォリオ価値の変化率を近似する式。カーブ形状の変化の影響分析に使う。
LM2 The Arbitrage-Free Valuation Framework(無裁定評価の枠組み) 9. スポットレートによる裁定なし価格
Arbitrage-Free Value with Spot Rates
P 0 = ( 1 + z 1 ) CF 1 + ( 1 + z 2 ) 2 CF 2 + ⋯ + ( 1 + z N ) N CF N
P 0 債券の裁定なし価格
CF 1 , … , CF N 各期のキャッシュフロー(CF = Cash Flow。クーポン、満期は+額面)
z 1 , … , z N 各期のスポットレート
N 満期までの期間数
使いどころ: 各キャッシュフローを満期の対応するスポット・レートで割り引き、オプションのない債券の無裁定価格を求める式。
10. 二項金利ツリーの後方帰納法による評価
Binomial Tree Backward Induction
V node = 1 + i node 0.5 V up + 0.5 V down + C
V node 当該ノード(node)の債券価値
V up , V down 次期の上位(up)・下位(down)ノードの債券価値
C 当該期のクーポン
i node 当該ノードの1期フォワードレート
使いどころ: 各ノードで上下2つの将来価値とクーポンの平均を、そのノードの金利で割り引いて価値を求める式。ツリーによる債券評価の基本となる。
11. ツリー金利の対数正規スプレッド
Lognormal Spacing of Tree Rates
i H = i L × e 2 σ
i H 同一時点の上位(高い)1期フォワードレート
i L 同一時点の下位(低い)1期フォワードレート
σ 金利ボラティリティ(年率)
使いどころ: 二項金利ツリーの同一時点で、隣接するノードの金利をボラティリティの仮定から関係づける式。ツリーのキャリブレーションに用いる。
LM3 Valuation and Analysis of Bonds with Embedded Options(オプション付き債券の評価と分析) 12. 実効デュレーション
Effective Duration
EffDur = 2 × Δ Curve × PV 0 PV − − PV +
EffDur 実効デュレーション(Effective Duration)
PV − カーブを下方シフトさせたときの価格(PV = Present Value、現在価値)
PV + カーブを上方シフトさせたときの価格
PV 0 現在価格(シフトなし)
Δ Curve ベンチマーク・カーブ(Curve)の平行シフト幅(小数)
使いどころ: ベンチマーク・カーブを上下に平行移動させた評価額から、オプション付き債券の金利感応度を求める式。
13. 実効コンベクシティ
Effective Convexity
EffCon = ( Δ Curve ) 2 × PV 0 PV − + PV + − 2 PV 0
EffCon 実効コンベクシティ(Effective Convexity)
PV − , PV + カーブを下方・上方シフトさせたときの価格(PV = Present Value、現在価値)
PV 0 現在価格(シフトなし)
Δ Curve ベンチマーク・カーブ(Curve)の平行シフト幅(小数)
使いどころ: カーブを上下にシフトさせた評価額から、金利変化に対する価格の曲率を求める式。オプション付き債券の非線形性の把握に使う。
14. キャップ付き・フロア付き変動債の価値
Value of Capped / Floored Floater
V capped = V straight − V cap V floored = V straight + V floor
V capped , V floored キャップ付き(capped)・フロア付き(floored)変動利付債の価値
V straight オプションなし(straight)変動利付債の価値(通常は額面100)
V cap 埋込キャップ(cap)の価値(投資家がショート)
V floor 埋込フロア(floor)の価値(投資家がロング)
使いどころ: キャップ付き・フロア付き変動利付債の価値を、ストレート変動利付債にキャップまたはフロアの価値を加減して求める式。
15. 転換価値(パリティ価値)
Conversion Value (Parity Value)
Conversion value = P share × Conversion ratio
Conversion value 転換価値(パリティ価値)
P share 原株(share)の市場価格
Conversion ratio 転換比率:社債1本あたり転換される株数
使いどころ: 転換社債を直ちに株式に転換した場合の価値を、株価 × 転換比率で求める式。
16. 転換社債の最低価値(フロア)
Minimum (Floor) Value of a Convertible Bond
Minimum value = max ( Conversion value , Straight value )
Minimum value 転換社債の最低価値(価値の下限)
Conversion value 転換価値(=株価×転換比率)
Straight value 同条件のオプションなし債券としての価値(ストレート価値。裁定なし枠組で算定)
使いどころ: 転換社債の価値の下限を、転換価値とストレート価値のうち大きい方として求める式。
17. 市場転換価格・転換プレミアム率
Market Conversion Price & Premium Ratio
P mc = Conv. ratio P CB , Prem/share = P mc − P share , Prem ratio = P share P mc − P share
P mc 市場転換価格(mc = market conversion。実質的な株の取得コスト)
P CB 転換社債(CB = Convertible Bond)の市場価格
Conv. ratio 転換比率(Conversion ratio):社債1本あたり転換される株数
Prem/share 1株あたり市場転換プレミアム(Premium per share)
P share 現在の原株(share)価格
Prem ratio 市場転換プレミアム率(Premium ratio)
使いどころ: 転換社債を通じて株式を取得する場合の実質的な株価と、現在の株価に対する上乗せ分およびその比率を求める式。
LM4 Credit Analysis Models(信用分析モデル) 18. 期待損失・デフォルト時損失・デフォルト確率
Expected Loss, LGD and POD
LGD = Exposure × ( 1 − RR ) Expected loss = LGD × POD
LGD デフォルト時損失(LGD = Loss Given Default)
Exposure デフォルト時のエクスポージャー(回収前の損失可能額)
RR 回収率(RR = Recovery Rate)
Expected loss 期待損失
POD デフォルト確率(POD = Probability of Default。多期間では各期の無条件デフォルト確率を用いる)
使いどころ: エクスポージャー、回収率、デフォルト確率から、デフォルト時損失と各期の期待損失を求める式。
19. 信用評価調整(CVA)と公正価値
Credit Valuation Adjustment & Fair Value
CVA = LGD 1 × POD 1 × DF 1 + LGD 2 × POD 2 × DF 2 + ⋯ ( 満期まで各期を足す ) Fair value = VND − CVA
CVA 信用評価調整(CVA = Credit Valuation Adjustment):各期の期待損失の現在価値の合計
LGD t t期のデフォルト時損失(LGD = Loss Given Default)
POD t t期の(無条件)デフォルト確率(POD = Probability of Default)
DF t t期の無リスク割引係数(DF = Discount Factor)
Fair value 信用リスクを反映した債券の公正価値
VND 無デフォルト前提の債券価値(VND = Value assuming No Default)
使いどころ: 各期の期待損失の現在価値を合計してCVAを求め、リスクのない債券の価値から差し引いて公正価値を得る式。
20. ハザードレートからの生存確率
Probability of Survival from Hazard Rate
POS T = ( 1 − hazard ) T POD t = hazard × POS t − 1
POS T T期まで生存する確率(POS = Probability of Survival)
hazard 1期あたりの条件付きデフォルト率(ハザードレート)
POD t t期の(無条件)デフォルト確率(POD = Probability of Default)
使いどころ: 一定のハザード率から複数期間の生存確率と、各期の無条件のデフォルト確率を求める式。信用評価調整(CVA)の計算に用いる。
21. 信用スプレッドの近似
Credit Spread Approximation
Credit spread ≈ POD × ( 1 − RR ) ( = y risky − y riskfree )
Credit spread 信用スプレッド
POD 年間デフォルト確率(POD = Probability of Default。ハザードレート)
RR 回収率(RR = Recovery Rate)
y risky , y riskfree リスクのある債券・無リスク債の最終利回り(YTM = Yield to Maturity)
使いどころ: デフォルト確率と回収率から信用スプレッドを近似する式。リスクのある債券と無リスク債の利回り差としても定義される。
22. 信用格付移行による期待収益への影響
Expected Return Impact of Credit Migration
E [ %Δ P ]= Pr ( 1 ) × ( − ModDur × Δ s 1 ) + Pr ( 2 ) × ( − ModDur × Δ s 2 ) + ⋯ ( 移行先の格付ごとに足す )
E [ %Δ P ] 格付移行による債券価格(P)の期待変化率(E[·]は期待値)
Pr ( j ) 格付jへ移行する確率(遷移行列の該当行)
ModDur 修正デュレーション(Modified Duration)
Δ s j 格付jへの移行に伴うスプレッド変化
使いどころ: 格付け推移確率と各格付けのスプレッド変化から、格付け変化による期待価格変化率を求める式。
LM5 Credit Default Swaps(クレジット・デフォルト・スワップ) 23. CDSアップフロント・プレミアム
CDS Upfront Premium
Upfront premium ≈ ( Credit spread − Fixed coupon ) × Duration
Upfront premium CDS(Credit Default Swap)契約時に授受するアップフロント・プレミアム(名目比)
Credit spread 参照企業の信用スプレッド(CDSスプレッド)
Fixed coupon CDSの標準クーポン(投資適格(IG)は1%、ハイイールド(HY)は5%)
Duration CDSの実効デュレーション
使いどころ: CDSスプレッドと標準クーポンの差にデュレーションを掛け、契約開始時のアップフロント・プレミアムを近似する式。
24. アップフロントからのCDS価格
CDS Price from Upfront Premium
Price of CDS = 100 − Upfront premium %
Price of CDS 名目100あたりのCDS(Credit Default Swap)価格
Upfront premium % 名目に対するアップフロント・プレミアム率(≈(スプレッド−クーポン)×デュレーション)
使いどころ: アップフロント・プレミアム(%)を100から差し引き、額面100当たりのCDS価格を求める式。
25. スプレッド変化によるCDS損益
CDS Profit from Spread Change
%Δ Price ≈ Δ s bps × Duration P/L buyer ≈ Δ s bps × Duration × Notional
%Δ Price CDS(Credit Default Swap)価格の変化率
Δ s bps 信用スプレッドの変化(bps = basis points、ベーシスポイント。%表記で用いる)
Duration CDSのデュレーション
P/L buyer プロテクションの買い手(buyer)の損益(P/L = Profit and Loss)
Notional 契約の想定元本
使いどころ: 契約後のスプレッド変化にデュレーションと想定元本を掛け、CDSポジションの損益を近似する式。
26. CDS決済時のペイアウト額
CDS Payout Amount at Settlement
LGD = 1 − RR Payout = LGD × Notional
LGD デフォルト時損失率(LGD = Loss Given Default。=1−回収率)
RR 回収率(RR = Recovery Rate。オークションで決定、最割安受渡債ベース)
Payout プロテクションの売り手が支払う決済額
Notional CDS(Credit Default Swap)の想定元本
使いどころ: クレジット・イベント発生時に、回収率から損失率を求め、想定元本を掛けてプロテクションの売り手の支払額を計算する式。
あわせて使いたいページ 効率よく学ぶには FA-Academy CFA®︎の協会テキストは英語で分量も多く、用語や公式を英語だけで理解していくのは大きな負担です。
FA-Academy(Financial Analyst Academy)は、日本語で学べる数少ないCFA®︎試験サポート です。これまで Level 1 から Level 3 まで多くの合格者を輩出しており、合格者の方々との対談も数多く公開しています。どんな方が、どのように合格されたのかは合格者対談・合格体験談の一覧 からご覧いただけます。