ひとことで言うと

  • 債券の価格は、将来受け取るクーポンと元本(額面)を、市場の割引率で現在価値に直して合計した値です。
  • 割引率(市場金利・利回り)が上がると価格は下がり、下がると価格は上がります
  • クーポンレートと割引率が等しければ、価格は額面(100)に一致します。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「割引率による債券価格の算出」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (2) 金利と債券価格評価
協会の学習ポイント 市場の割引率に基づく債券価格算出の仕組みを理解する。

割引率による債券価格の算出とは

1年後の100円と今日の100円は、同じ価値ではありません。今日の100円は運用すれば利息がつくからです。そこで、将来のお金を今日の価値に換算するときは、金利(割引率)で割り引きます。これを現在価値といいます。

債券は「将来いつ、いくら受け取れるか」が決まっている金融商品なので、その価値は各時点のキャッシュフローの現在価値の合計として求められます。これが債券価格評価の出発点であり、株式のDDMなど他の資産の評価にも共通する考え方です。

割引率とは何か

ここでの割引率は、その債券と同じようなリスク・残存期間の債券に投資家が求める利回り、つまり市場で決まる利回りです。すべての期間に同じ割引率を使う場合、その割引率は債券の複利最終利回りと同じ意味になります。期間ごとに異なる割引率(スポットレート)を使う方法もあり、こちらはより精密な評価方法です。

価格と割引率の関係

キャッシュフローは決まっているので、割引率が上がれば現在価値は小さくなり、価格は下がります。クーポンレートより割引率が低ければ価格は100を上回り(オーバーパー)、高ければ100を下回ります(アンダーパー)。

押さえておきたい公式

P = C ÷ (1 + r) + C ÷ (1 + r)2 + … + (C + F) ÷ (1 + r)n年1回利払いの固定利付債の価格
P = Σ (C ÷ 2) ÷ (1 + r ÷ 2)t + F ÷ (1 + r ÷ 2)2n年2回利払いの場合(t=1〜2n、半年ごとに割り引く)
記号 意味
P 債券価格
C 年間クーポン
F 額面(償還価格)
r 市場の割引率(年率)
n 残存年数

具体例で確認

額面100円、クーポンレート3%(年1回払い)、残存3年の債券を、割引率2%で評価します。

  1. 1年後のクーポンの現在価値:3 ÷ 1.02 ≒ 2.941円
  2. 2年後のクーポンの現在価値:3 ÷ 1.022 ≒ 2.884円
  3. 3年後のクーポン+元本の現在価値:103 ÷ 1.023 ≒ 97.059円
  4. 合計:2.941 + 2.884 + 97.059 ≒ 102.88円

同じ債券を割引率3%で評価すると価格はちょうど100円、4%で評価すると約97.22円になります。割引率がクーポンレートを下回るとオーバーパー、上回るとアンダーパーになることが確認できます。

試験で問われやすいポイント

  • 各キャッシュフローを割り引いて合計する価格の計算手順が問われやすいです。最終年はクーポンと額面の両方を割り引くことを忘れないようにしましょう。
  • 割引率が上がると価格は下がるという方向性は、多くの問題の前提になります。
  • クーポンレート=割引率なら価格は額面、という関係は検算にも使えます。
  • 年2回利払いの場合は、クーポンを半分にし、割引率も半分にして、期間数を2倍にする点に注意しましょう。

要点まとめ

  • 債券価格=クーポンと元本の現在価値の合計
  • 割引率は、同じリスク・期間の債券に市場が求める利回り
  • 割引率が上がると価格は下がり、下がると上がる
  • 割引率=クーポンレートなら価格は額面に一致

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。