ひとことで言うと

  • ブートストラップ法は、市場で取引されている利付債の価格から、スポットレートを短い年限から順番に1つずつ求めていく方法です。
  • すでに求めたスポットレートで手前のクーポンを割り引き、残りから次の年限のスポットレートを逆算します。
  • 割引債が年限ごとにそろっていなくても、利付債の価格からスポットレート曲線を推定できます。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「ブートストラップ法」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (3) 金利の理論、期間構造とスプレッド
協会の学習ポイント ブートストラップ法によるスポットレート推定法を理解する。

ブートストラップ法とは

債券価格の評価にはスポットレート(年限ごとの割引率)が欠かせませんが、スポットレートを直接観察できる割引債は、どの年限にも十分に取引されているとは限りません。一方、国債などの利付債は多くの年限で取引されています。そこで、利付債の市場価格からスポットレートを逆算するのがブートストラップ法です。「ブートストラップ」には、手元にあるものを足がかりに自力で順に積み上げていく、という意味合いがあります。

計算の流れ

  1. 残存1年の債券(年1回利払いなら、満期の1回だけキャッシュフローがある)の価格から、1年のスポットレート s1 を求めます。
  2. 残存2年の利付債の価格から、1年後のクーポンを s1 で割り引いた現在価値を差し引きます。残った金額は2年後のキャッシュフローの現在価値なので、そこから s2 が求まります。
  3. 同じ手順を3年、4年…と繰り返し、スポットレートを順に求めていきます。

各ステップで未知数が1つだけになるように、短い年限から順に解いていくのがポイントです。求めたスポットレートを使えば、他の債券の理論価格の計算や、フォワードレートの計算もできるようになります。

押さえておきたい公式

P1 = (C + F) ÷ (1 + s1)残存1年の債券から s1 を求める
P2 = C ÷ (1 + s1) + (C + F) ÷ (1 + s2)2s1 は既知なので、未知数は s2 だけ
記号 意味
Pn 残存n年の利付債の価格
C クーポン(年1回払い)
F 額面
sn n年のスポットレート

具体例で確認

額面100円、年1回利払いの次の2銘柄があるとします。

  • A債:残存1年、クーポン2%、価格100.50円
  • B債:残存2年、クーポン3%、価格101.00円

ステップ1(s1:100.50 = 102 ÷ (1 + s1) より、1 + s1 = 102 ÷ 100.50 ≒ 1.01493、s1 ≒ 1.49%。1年後の1円の現在価値(ディスカウント・ファクター)は 1 ÷ 1.01493 ≒ 0.98529 です。

ステップ2(s2:B債の1年後のクーポン3円の現在価値は 3 × 0.98529 ≒ 2.956円。これを価格から引くと 101.00 − 2.956 ≒ 98.044円で、これが2年後の103円の現在価値です。103 ÷ (1 + s2)2 = 98.044 より、(1 + s2)2 ≒ 1.05055、s2 ≒ 2.50%となります。

試験で問われやすいポイント

  • 2〜3銘柄の利付債価格からスポットレートを順に求める計算問題。前のステップの結果を使うので、途中の数値の丸めすぎに注意しましょう。
  • 2年のスポットレートを求める際に、1年後のクーポンは「1年のスポットレート」で割り引くこと(最終利回りで割り引かない)。
  • ブートストラップ法で得られるのは最終利回りではなくスポットレートである点。
  • 求めたスポットレートからフォワードレートや他の債券の理論価格を計算する、という発展問題にもつながります。

要点まとめ

  • 利付債の価格から、スポットレートを短い年限から順に求める方法。
  • 既知のスポットレートで手前のクーポンを割り引き、残りから次の年限を逆算する。
  • 各ステップで未知数を1つにして解くのがコツ。
  • 得られたスポットレート曲線は債券評価やフォワードレート計算の基礎になる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。