ひとことで言うと

  • 社債の利回りは「国債利回り + 信用スプレッド」と分けて考えられ、スプレッドには信用リスクと流動性の対価が含まれます。
  • 信用力の低下や売買のしにくさはスプレッドを広げ、利回りを押し上げるため、社債価格は下がります
  • 価格の変化率はおおよそ「− 修正デュレーション × スプレッドの変化」で見積もれます。

この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「スプレッド・流動性と価格」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/債券分析
大分類 (7) 社債投資と信用リスクの分析
協会の学習ポイント 信用スプレッドや流動性と利回りの関係、価格変化への影響を理解する。

信用スプレッドと流動性とは

社債の利回りは、同じ残存期間の国債利回り(ベースとなる金利)に、信用スプレッドを上乗せしたものと考えられます。したがって社債価格は、国債金利の変化とスプレッドの変化の両方から影響を受けます。国債金利が変わらなくても、スプレッドが広がれば社債の利回りは上がり、価格は下がります。

スプレッドに含まれるもの

スプレッドは主に次の要素の対価と整理できます。1つめは、デフォルトによって予想される損失(予想損失)の埋め合わせ。2つめは、損失がどれだけ出るか分からない不確実さへの対価(信用リスク・プレミアム)。3つめが流動性プレミアムで、社債は国債に比べて発行額が小さく取引も少ないため、売りたいときにすぐ適正な価格で売れないおそれがあり、その分の上乗せが求められます。

流動性と価格の関係

流動性の低い債券は、売買の気配値の幅(ビッド・アスク・スプレッド)が広く、実際に売却するときに不利な価格になりやすいという特徴があります。市場が混乱した局面では買い手が減り、流動性の低い社債ほどスプレッドが大きく広がって価格が下がりやすくなります。信用力の悪化と流動性の低下は同時に起きやすく、影響が重なる点に注意が必要です。

スプレッド・デュレーション

スプレッドの変化に対する価格の感応度をスプレッド・デュレーションといいます。固定利付の普通社債では、国債金利の変化に対する感応度(修正デュレーション)とほぼ同じ値になります。残存期間が長い社債ほど、同じだけスプレッドが動いたときの価格変化が大きくなります。

押さえておきたい公式

社債利回り = 国債利回り + 信用スプレッドスプレッド = 予想損失分 + リスク・プレミアム + 流動性プレミアムなど
価格変化率 ≒ − Dmod × (Δ国債利回り + Δスプレッド)Dmod:修正デュレーション(スプレッド・デュレーションとほぼ同じとみなす)。大きな変化ではコンベクシティの補正も必要

具体例で確認

修正デュレーション4.5、価格100円の社債を1億円分保有しているとします。

  • スプレッドだけ+50bp:価格変化率 ≒ −4.5 × 0.50% = −2.25%。価格は約97.75円になります。
  • 国債利回り−20bp、スプレッド+50bp:利回りの合計変化は+30bpなので、価格変化率 ≒ −4.5 × 0.30% = −1.35%、損失は約135万円です。

景気悪化の局面では、国債金利が低下しても社債のスプレッドがそれ以上に拡大し、社債価格が下がることがあります。国債と社債の値動きが一致しない理由はここにあります。

試験で問われやすいポイント

  • スプレッド拡大 → 社債利回り上昇 → 価格下落、という方向関係。
  • 国債利回りの変化とスプレッドの変化を合計して価格変化を見積もる計算。
  • 流動性が低い債券ほど流動性プレミアムが上乗せされ、利回りが高くなる点。
  • スプレッドには予想損失以外の要素も含まれるため、「スプレッド=予想損失率」とは言い切れない点。
  • 残存期間(デュレーション)が長いほど、スプレッド変化の価格影響が大きい点。

要点まとめ

  • 社債利回りは国債利回りと信用スプレッドに分解して考える。
  • スプレッドには信用リスクと流動性の対価が含まれる。
  • 信用力や流動性の低下はスプレッドを広げ、価格を押し下げる。
  • 価格変化率 ≒ −修正デュレーション ×(金利変化+スプレッド変化)。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。