信用スプレッドとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・債券分析
ひとことで言うと
- 社債は企業が発行する債券で、担保の有無や弁済順位、株式に転換できるかどうかなどでいくつかの種類に分かれます。
- 社債には、発行体が約束どおり元利金を払えなくなる信用リスク(デフォルト・リスク)があります。
- そのぶん投資家が上乗せを求める利回りの差が信用スプレッド(社債利回り − 同年限の国債利回り)です。
この記事では、証券アナリスト1次「債券分析」の学習ポイントのひとつ「社債の種類と信用スプレッド」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/債券分析 |
|---|---|
| 大分類 | (7) 社債投資と信用リスクの分析 |
| 協会の学習ポイント | 社債の種類や社債投資における信用リスクの性質、信用スプレッドを理解する。 |
社債と信用スプレッドとは
社債の主な種類
社債は、事業会社や金融機関が資金を調達するために発行する債券です。代表的なものとして、特別な条件のない普通社債(SB:ストレート・ボンド)、特定の資産を担保にした担保付社債、他の債務より返済順位が後になる劣後債、あらかじめ決めた条件で株式を取得できる転換社債型新株予約権付社債(CB)などがあります。国内の普通社債は無担保で発行されるものが中心です。
信用リスクの性質
信用リスクとは、発行体の財務状況が悪化して利払いや償還が遅れたり、できなくなったりするリスクです。実際にデフォルトが起きなくても、格付の引下げや業績悪化の懸念で社債価格が下がることがあり、これも広い意味で信用リスクに含めて考えます。
信用リスクの損益は非対称です。発行体が健全なら受け取れるのは約束されたクーポンと元本までで、上限があります。一方、デフォルトすれば元本の大部分を失うこともあります。「小さな上乗せ収益と、まれに起こる大きな損失」という性質を持っている点が、株式とは異なる特徴です。
信用スプレッド
投資家は、信用リスクを負う代わりに国債(日本では信用リスクがきわめて小さいとみなされる基準)より高い利回りを求めます。この上乗せ分が信用スプレッドです。スプレッドには、デフォルトで予想される損失の埋め合わせに加え、損失の不確実さへの対価(リスク・プレミアム)や、国債より売買しにくいことへの対価(流動性プレミアム)なども含まれます。一般に信用力が低いほど、また格付が低いほど、スプレッドは大きくなります。
押さえておきたい公式
| 普通社債(SB) | 固定利付・無担保が中心。最も基本的な社債 |
|---|---|
| 担保付社債 | 特定の資産に担保権が設定され、その資産から優先して回収できる |
| 劣後債 | 弁済順位が一般の債務より後。そのぶん利回りは高め |
| 転換社債型新株予約権付社債 | 株式への転換権がついており、そのぶんクーポンは低め |
具体例で確認
残存5年の国債利回りが1.0%のとき、同じ残存5年のA社の普通社債利回りが1.6%、B社(A社より格付が低い)の普通社債利回りが2.3%だったとします。
- A社社債の信用スプレッド:1.6% − 1.0% = 0.6%(60bp)
- B社社債の信用スプレッド:2.3% − 1.0% = 1.3%(130bp)
B社のほうが信用力が低いとみなされているため、投資家はより大きな上乗せを求めています。もしB社の格付が引き下げられてスプレッドが180bpに広がれば、国債利回りが変わらなくてもB社社債の価格は下がります。
試験で問われやすいポイント
- 信用スプレッドの定義(同じ残存期間の国債利回りとの差)と、bpでの計算。
- 信用力が低い(格付が低い)ほどスプレッドが大きい、という方向。
- スプレッドには予想損失だけでなく、リスク・プレミアムや流動性プレミアムも含まれる点。
- 信用リスクの損益が非対称(上値は限られ、下値は大きい)であること。
- 劣後債や転換社債型新株予約権付社債など、種類ごとの特徴と利回りの高低の関係。
要点まとめ
- 社債は担保・弁済順位・転換権などによって種類が分かれる。
- 社債投資には、デフォルトや格下げによる信用リスクがある。
- 信用スプレッド=社債利回り−同年限の国債利回り。
- 信用力が低いほどスプレッドは大きく、スプレッド拡大は価格下落につながる。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
