営業レバレッジ・財務レバレッジとは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・コーポレート・ファイナンス
ひとことで言うと
- 営業レバレッジ(DOL)は、売上高が1%変化したときに営業利益が何%変化するかを表す指標で、事業リスクの大きさを示します。
- 財務レバレッジ(DFL)は、営業利益が1%変化したときに純利益やEPSが何%変化するかを表し、財務リスクの大きさを示します。
- 両者の積がトータル・レバレッジ(DTL)で、売上の変化がEPSにどれだけ増幅されて伝わるかを表します。
この記事では、証券アナリスト1次「コーポレート・ファイナンス」の学習ポイントのひとつ「レバレッジ指標」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/コーポレート・ファイナンス |
|---|---|
| 大分類 | (9) 企業のリスク管理と運転資本管理 |
| 協会の学習ポイント | 事業リスクと財務リスクのレバレッジ指標、トータル・レバレッジについて理解する。 |
レバレッジ指標とは
固定費や支払利息があると、売上の変化が利益の変化に増幅されて伝わります。この増幅の度合いを数値で表したのがレバレッジ指標です。いずれも「利益の変化率 ÷ その原因となる数値の変化率」という弾力性の形で定義されます。
営業レバレッジ(DOL)
営業レバレッジは、売上高の変化率に対する営業利益の変化率の比です。変動費率が一定であれば、限界利益(売上高-変動費)÷ 営業利益で計算できます。固定費が大きいほど営業利益は限界利益に比べて小さくなり、DOLは大きくなります。また、売上が損益分岐点に近いほど営業利益が小さいため、DOLは非常に大きくなります。
財務レバレッジ(DFL)
財務レバレッジは、営業利益の変化率に対するEPS(または純利益)の変化率の比です。支払利息が一定であれば、営業利益 ÷(営業利益-支払利息)で計算できます。税率が一定なら税引前利益と純利益・EPSの変化率は同じなので、税金は計算に影響しません。負債がなければ支払利息がゼロでDFLは1です。
トータル・レバレッジ(DTL)
売上の変化は、営業レバレッジで営業利益に、さらに財務レバレッジでEPSに増幅されて伝わります。そのため、売上高の変化率に対するEPSの変化率を表すトータル・レバレッジは、DOL × DFLとなります。整理すると、限界利益 ÷(営業利益-支払利息)とも表せます。
押さえておきたい公式
具体例で確認
売上高1,000、変動費600、固定費200、支払利息50の企業を考えます(税率は一定とします)。
- 限界利益:1,000 − 600 = 400、営業利益:400 − 200 = 200、税引前利益:200 − 50 = 150
- DOL:400 ÷ 200 = 2
- DFL:200 ÷ 150 ≒ 1.33
- DTL:2 × 1.33 ≒ 2.67(400 ÷ 150でも同じ)
確認のため売上高が10%増えて1,100になった場合を計算すると、変動費660、限界利益440、営業利益240(+20%=10%×2)、税引前利益190(+26.7%=10%×2.67)となり、指標どおりの増幅が起きていることがわかります。税率が一定なら純利益とEPSも26.7%増えます。
試験で問われやすいポイント
- DOL=限界利益÷営業利益、DFL=営業利益÷(営業利益-支払利息)、DTL=DOL×DFLの計算が基本です。
- 指標から利益の変化率を求める問題(例:売上高が5%増えたときのEPSの変化率=5%×DTL)に慣れておきましょう。
- DTLは和ではなく積で求める点がひっかけになりやすいです。
- 固定費が大きいほど・損益分岐点に近いほどDOLが大きく、負債(支払利息)が多いほどDFLが大きいという方向が問われやすいです。
- 税率が一定ならDFLの計算に税金は影響しないこと、負債ゼロならDFL=1になることも確認しておきましょう。
要点まとめ
- レバレッジ指標は利益の変化率÷原因の変化率で定義される
- 営業レバレッジDOL=限界利益÷営業利益で事業リスクを表す
- 財務レバレッジDFL=営業利益÷(営業利益-支払利息)で財務リスクを表す
- トータル・レバレッジDTL=DOL×DFLで、売上変化がEPSに伝わる倍率
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
