オプション価格の上限・下限と決定要因とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・デリバティブ分析
ひとことで言うと
- オプション価格には、裁定取引が起きないための上限と下限があります。たとえばコールの価格は原資産価格を超えられません。
- 配当のない株式のヨーロピアン・コールの下限は max(S − K の現在価値, 0) です。
- 価格を決める主な要因は、原資産価格・行使価格・ボラティリティ・満期までの期間・金利・配当の6つで、コールとプットでは効き方が逆になるものがあります。
この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「価格の上限・下限と決定要因」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析 |
|---|---|
| 大分類 | (3) オプション取引の仕組みと評価 |
| 協会の学習ポイント | オプション価値の上限・下限と決定要因について理解する。 |
オプション価格の上限・下限とは
オプション価格は自由にどんな値でもとれるわけではありません。上限を超えたり下限を下回ったりすると、確実にもうかる裁定取引ができてしまうため、市場価格は一定の範囲に収まります。
上限
コールは「原資産を買う権利」なので、その価格が原資産そのものの価格Sを上回ることはありません(上回れば、コールを売って原資産を買えば確実にもうかります)。プットは「Kで売る権利」なので、受け取れるのは最大でKです。ヨーロピアン・プットは満期にしかKを受け取れないため、上限はKの現在価値になります。
下限
オプションは権利なので、価格がマイナスになることはありません。さらに、配当のない株式のヨーロピアン・コールは、「コールの買い+Kの現在価値分の安全資産」が満期に必ず株式以上の価値になることから、S − Kの現在価値を下回りません。プットも同様に、下限はKの現在価値 − Sです。
価格の決定要因
オプション価格に影響する要因は6つあります。原資産価格が上がるとコールは上がりプットは下がり、行使価格はその逆です。ボラティリティが上がると、有利な方向への大きな値動きの可能性が増えるので、コールもプットも上がります。金利が上がると、行使価格の現在価値が小さくなるため、コールは上がりプットは下がります。配当は株価を押し下げるので、コールには不利、プットには有利です。
押さえておきたい公式
| 要因(上昇したとき) | コール | プット |
|---|---|---|
| 原資産価格S | 上がる | 下がる |
| 行使価格K | 下がる | 上がる |
| ボラティリティσ | 上がる | 上がる |
| 満期までの期間T | 上がる | アメリカンは上がる(ヨーロピアンは一概にいえない) |
| 無リスク金利r | 上がる | 下がる |
| 配当 | 下がる | 上がる |
具体例で確認
株価1,000円、行使価格950円、金利2%、満期1年の、配当のない株式のヨーロピアン・コールを考えます。
- 行使価格の現在価値:950 ÷ 1.02 ≒ 931.37円
- コールの下限:1,000 − 931.37 ≒ 68.63円、上限は株価の1,000円
もしこのコールが60円で売られていたら、「コールを60円で買い、株式を1,000円で空売りし、931.37円を金利2%で運用する」ことで、いま約8.63円が手元に残ります。満期には運用額が950円になり、株価が950円以上ならコールを行使して株を返し、950円未満なら市場で安く買い戻せばよいので、損失は生じません。こうした裁定が働くため、コール価格は下限を下回らないのです。
試験で問われやすいポイント
- 6つの決定要因がコール・プットの価格を上げるか下げるかの方向が頻出です。特に金利と配当の向きを取り違えないようにしましょう。
- ボラティリティの上昇はコール・プットの両方の価格を上げる点がよく問われます。
- ヨーロピアン・コールの下限 S − PV(K) と、下限を割ったときの裁定取引の組み方が計算問題になります。
- ヨーロピアン・プットの上限はPV(K)、アメリカン・プットの上限はKという違いに注意しましょう。
- ヨーロピアン・プットでは、満期が長いほど価格が高いとは限らない点がひっかけになりやすいです。
要点まとめ
- コールの上限は原資産価格S、下限はmax(S − PV(K), 0)(配当なしのヨーロピアン)
- ヨーロピアン・プットの上限はPV(K)、下限はmax(PV(K) − S, 0)
- ボラティリティ上昇はコール・プットとも価格上昇、金利上昇はコール上昇・プット下落
- 範囲を外れた価格は裁定取引によって修正される
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
