ひとことで言うと

  • プット・コール・パリティとは、同じ原資産・同じ行使価格・同じ満期のヨーロピアン・コールとプットの価格の間に成り立つ関係式です。
  • 配当のない株式なら c + K の現在価値 = p + S が成り立ちます。
  • コールの価格がわかればプットの価格を計算でき、関係が崩れれば裁定取引の機会が生まれます。

この記事では、証券アナリスト1次「デリバティブ分析」の学習ポイントのひとつ「プット・コール・パリティ」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/デリバティブ分析
大分類 (3) オプション取引の仕組みと評価
協会の学習ポイント プット・コール・パリティについて理解する。

プット・コール・パリティとは

プット・コール・パリティは、「満期に同じ受取額になる2つのポートフォリオは、いまの価格も同じでなければならない」という無裁定の考え方から導かれます。オプション価格のモデル(二項モデルやブラック・ショールズ・モデル)を使わなくても成り立つ、とても強力な関係です。

2つのポートフォリオを比べる

ポートフォリオAは「コール1単位の買い+満期にKを受け取る安全資産(割引債)」、ポートフォリオBは「プット1単位の買い+原資産1単位」です。満期の株価STがKより高いとき、Aはコールを行使して株を持つのでST、Bはプットを放棄して株を持つのでSTです。STがKより低いとき、Aはコールを放棄してK、Bはプットを行使してKを受け取ります。どちらの場合も満期の価値はmax(ST, K)で等しくなります。

だから現在の価格も等しい

満期の価値が常に等しい以上、いまの価格も等しくなければ、割高なほうを売って割安なほうを買う裁定取引で確実にもうかってしまいます。したがって「c+Kの現在価値=p+S」が成り立ちます。

式の変形で合成ポジションがわかる

式を変形すると、たとえば「p = c + PV(K) − S」から、プットの買いは「コールの買い+安全資産の買い+原資産の空売り」で複製できることがわかります。また「S = c − p + PV(K)」から、コールの買いとプットの売りの組み合わせが、先渡の買いと同じ損益になることも読み取れます。

押さえておきたい公式

c + K ÷ (1 + r)T = p + S配当のない株式を原資産とする、同じ行使価格・満期のヨーロピアン・オプション
c + K ÷ (1 + r)T = p + S − PV(D)満期までに配当がある場合(PV(D)は配当の現在価値)
記号 意味
c, p ヨーロピアン・コール、プットの価格
S 現在の原資産価格
K 権利行使価格(コールとプットで同じ)
r, T 無リスク金利、満期までの期間

具体例で確認

株価1,000円、行使価格1,000円、金利2%、満期1年で、ヨーロピアン・コールの価格が80円のとき、同じ条件のプットの理論価格を求めます。

  1. 行使価格の現在価値:1,000 ÷ 1.02 ≒ 980.39円
  2. p = c + PV(K) − S = 80 + 980.39 − 1,000 ≒ 60.39円

ATM(S=K)でも、金利がプラスならコールのほうがプットより高くなることがわかります。その差(約19.61円)は、行使価格を満期まで支払わずに済むことによる金利分です。

試験で問われやすいポイント

  • 式の形「c + PV(K) = p + S」を正確に覚え、どれか1つを未知数として求める計算がよく出ます。Kを割り引くのを忘れないようにしましょう。
  • 成り立つ前提は、ヨーロピアンで、コールとプットの原資産・行使価格・満期が同じであることです。
  • 式の変形から、プットやコール、原資産を合成(複製)するにはどう組み合わせるかが問われます。
  • 配当がある場合は、株価から配当の現在価値を差し引く形に修正する点に注意しましょう。

要点まとめ

  • プット・コール・パリティ:c + PV(K) = p + S(配当なし・ヨーロピアン)
  • 満期の価値がともにmax(ST, K)になる2つのポートフォリオから導かれる
  • 一方の価格からもう一方の価格を計算でき、合成ポジションの組み方もわかる
  • 関係が崩れると裁定取引の機会が生まれる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。