ひとことで言うと

  • 需要曲線は、価格と「買いたい量(需要量)」の関係を表す曲線で、通常は右下がりです。
  • 供給曲線は、価格と「売りたい量(供給量)」の関係を表す曲線で、通常は右上がりです。
  • 価格の変化は曲線上の移動、価格以外の条件の変化は曲線そのもののシフトとして表します。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「需要曲線と供給曲線」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (1) 市場メカニズムと企業行動
協会の学習ポイント 需要曲線・供給曲線について説明できる。

需要曲線・供給曲線とは

ミクロ経済学では、ある財の市場を「買い手(需要側)」と「売り手(供給側)」に分けて考えます。縦軸に価格P、横軸に数量Qをとり、それぞれの行動をグラフにしたものが需要曲線と供給曲線です。経済学では縦軸が価格になる点に、最初は戸惑うかもしれません。

需要曲線:なぜ右下がりなのか

需要曲線は、「この価格なら、これだけ買いたい」という量を価格ごとに結んだものです。価格が下がると、同じ予算でより多く買えるうえ、他の財から乗り換える人も出てくるため、需要量は増えます。このため需要曲線は通常右下がりになります(需要の法則)。また、需要曲線の高さは「その数量なら最大いくらまで払ってもよいか」という支払意思額とも読めます。

供給曲線:なぜ右上がりなのか

供給曲線は、「この価格なら、これだけ売りたい」という量を結んだものです。生産量を増やすほど追加1単位にかかる費用(限界費用)は高くなるのが一般的なので、価格が高いほど企業は多く生産・販売しようとします。このため供給曲線は通常右上がりです。完全競争市場では、供給曲線は企業の限界費用曲線に対応します。

「曲線上の移動」と「曲線のシフト」

最も大切な区別がこれです。その財自身の価格が変わったときは、同じ曲線の上を移動します(需要量・供給量の変化)。一方、価格以外の条件が変わったときは、曲線全体が左右にずれます(需要・供給の変化)。

整理しておきたいポイント

要因 需要曲線 供給曲線
その財自身の価格 曲線上を移動 曲線上を移動
所得の増加 上級財なら右シフト(下級財なら左シフト)
代替財の値上がり 右シフト
補完財の値上がり 左シフト
嗜好・人口・将来予想 増えれば右シフト
原材料費・賃金の上昇 左シフト
技術進歩・生産性向上 右シフト
売り手(企業)数の増加 右シフト

なお「右シフト」は同じ価格で数量が増えること、供給曲線については「下方シフト」(同じ数量をより安く供給できる)と同じ意味になります。

具体例で確認

ある財の需要関数がQd = 100 − 2P、供給関数がQs = −20 + 2Pだとします。

  1. 価格P=20のとき:需要量は100−40=60、供給量は−20+40=20です。
  2. 価格P=40のとき:需要量は100−80=20、供給量は−20+80=60です。
  3. 価格が上がると需要量は減り(右下がり)、供給量は増える(右上がり)ことが確認できます。
  4. ここで消費者の所得が増え、需要関数がQd = 120 − 2Pになったとします。P=20での需要量は80に増えます。これは価格が変わらないのに需要量が増えたので、需要曲線の右シフトです。

試験で問われやすいポイント

  • 自身の価格の変化は曲線上の移動、それ以外の要因は曲線のシフトという区別が最もよく狙われます。
  • 所得増加で需要が増えるのは上級財(正常財)で、下級財では需要曲線が左にシフトする点に注意しましょう。
  • 代替財の値上がりは右シフト、補完財の値上がりは左シフトという方向の問題が出やすいです。
  • 原材料価格の上昇や賃上げは供給曲線の左(上方)シフト、技術進歩は右(下方)シフトです。
  • 需要関数・供給関数が式で与えられ、ある価格での需要量・供給量を計算させる形式にも慣れておきましょう。

要点まとめ

  • 需要曲線は右下がり(価格↓で需要量↑)、供給曲線は右上がり(価格↑で供給量↑)
  • 需要曲線の高さは支払意思額、供給曲線は限界費用に対応する
  • 自身の価格の変化=曲線上の移動、その他の要因=曲線のシフト
  • 所得・代替財・補完財・原材料費・技術進歩がシフトの代表的な要因

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。