ひとことで言うと

  • 需要の価格弾力性は、価格が1%変化したときに需要量が何%変化するかを表す指標で、需要量の変化率 ÷ 価格の変化率(絶対値)で求めます。
  • 弾力性が1より大きいと弾力的、1より小さいと非弾力的といい、値下げで売上が増えるかどうかが変わります。
  • 所得の変化に対する需要の反応は所得弾力性で測り、その符号で上級財・下級財を区別します。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「所得・価格の変化と需要、価格弾力性」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (1) 市場メカニズムと企業行動
協会の学習ポイント 所得や価格の変化と需要量の関係について説明できる。また、需要の価格弾力性の計算ができる。

需要の価格弾力性とは

値下げをすれば需要量は増えますが、「どれくらい増えるか」は財によって大きく違います。ぜいたく品や代わりのきく財は少しの値下げで大きく売れ行きが伸びますが、米や電気のような生活必需品は、値段が多少変わっても買う量はあまり変わりません。この「反応の大きさ」を、単位に左右されない変化率どうしの比で表したものが弾力性です。

弾力性と売上(支出額)の関係

弾力性の大きさは、企業の売上(=価格×数量)に直結します。弾力性が1より大きい弾力的な財では、値下げによる数量の増加が価格の低下を上回るため、値下げで売上が増えます。弾力性が1より小さい非弾力的な財では、値下げすると売上が減り、値上げすると売上が増えます。弾力性がちょうど1のときは、価格を変えても売上は変わりません。

弾力性を左右する要因

代替財が多いほど、支出に占める割合が大きいほど、調整に使える期間が長いほど、需要は弾力的になりやすいとされます。なお、直線の需要曲線でも、場所によって弾力性は異なります(価格が高い上のほうほど弾力的)。

所得の変化と需要:所得弾力性

所得が増えると需要が増える財を上級財(正常財)、需要が減る財を下級財(劣等財)といいます。上級財のうち、所得弾力性が1より大きいものを奢侈品(ぜいたく品)、0と1の間のものを必需品と呼びます。

価格変化の2つの効果

ある財の価格が下がったときの需要の変化は、相対的に安くなった財に乗り換える代替効果(常に需要を増やす方向)と、実質的な所得が増えたことによる所得効果に分けられます。下級財では所得効果が需要を減らす方向に働き、それが代替効果を上回ると、値下げで需要が減るギッフェン財になります。

押さえておきたい公式

需要の価格弾力性 e = −(ΔQ ÷ Q) ÷ (ΔP ÷ P)需要量の変化率 ÷ 価格の変化率。マイナスを付けて(または絶対値で)正の値にする
需要の所得弾力性 = (ΔQ ÷ Q) ÷ (ΔM ÷ M)正なら上級財(1超は奢侈品、0〜1は必需品)、負なら下級財
弾力性の値 値下げしたときの売上
e > 1(弾力的) 増加する
e = 1 変わらない
e < 1(非弾力的) 減少する

具体例で確認

ある商品の価格を100円から90円に下げたところ、販売数量が500個から600個に増えたとします。

  1. 価格の変化率:(90 − 100) ÷ 100 = −10%
  2. 需要量の変化率:(600 − 500) ÷ 500 = +20%
  3. 価格弾力性:20% ÷ 10% = 2(弾力的)
  4. 売上の確認:値下げ前 100 × 500 = 50,000円、値下げ後 90 × 600 = 54,000円。弾力的な財なので、値下げで売上が増えています。

また、所得が10%増えたときに需要量が5%増える財なら、所得弾力性は5% ÷ 10% = 0.5で、上級財のうちの必需品に分類されます。

試験で問われやすいポイント

  • 価格弾力性の計算(分子が数量の変化率、分母が価格の変化率)は頻出です。分子と分母を逆にしないよう注意しましょう。
  • 弾力的なら値下げで売上増、非弾力的なら値下げで売上減という売上との関係が問われやすいです。
  • 直線の需要曲線でも場所によって弾力性が異なる(傾きと弾力性は別物)というひっかけに注意しましょう。
  • 所得弾力性の符号による上級財・下級財の区別、奢侈品と必需品の境目(1)を押さえましょう。
  • 代替効果と所得効果、ギッフェン財は下級財の特殊なケースであることが狙われます。

要点まとめ

  • 価格弾力性=需要量の変化率÷価格の変化率(絶対値)
  • e>1は弾力的で値下げにより売上増、e<1は非弾力的で売上減
  • 所得弾力性が正なら上級財、負なら下級財
  • 価格変化の効果は代替効果と所得効果に分けられる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。