ひとことで言うと

  • 消費者は、限られた所得で買える範囲(予算制約)の中から、自分の好み(選好)に最も合う組み合わせを選ぶと考えます。
  • 予算制約は予算制約線、選好は無差別曲線で表し、両者が接する点が最適な消費の組み合わせです。
  • 価格を変えたときに最適な消費量がどう変わるかを追っていくと、需要曲線が導かれます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「需要曲線と消費者行動」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (1) 市場メカニズムと企業行動
協会の学習ポイント 需要曲線と消費者行動(予算制約と消費者選好)について説明できる。

予算制約と消費者選好とは

需要曲線は「価格が下がれば買う量が増える」という関係を表しますが、その背後には消費者一人ひとりの選択があります。ミクロ経済学では、消費者は効用(満足度)を最大にするように行動すると仮定し、その選択を「何が買えるか(予算制約)」と「何が欲しいか(選好)」の2つに分けて考えます。

予算制約線

2つの財X・Yを買う消費者を考えます。所得Mをすべて使い切るとき、買える組み合わせは PXX + PYY = M という直線上にあります。これが予算制約線で、傾きは価格比 −PX/PY です。線の内側(原点側)は買える範囲、外側は買えない範囲です。

  • 所得が増えると、傾きは変わらず予算制約線が外側に平行移動します。
  • Xの価格だけが下がると、Y軸の切片はそのままで、X軸の切片が外に広がるように線が回転します。

消費者選好と無差別曲線

消費者の好みは、同じ満足度をもたらす組み合わせを結んだ無差別曲線で表します。通常の財であれば、無差別曲線は右下がりで、原点に対して凸の形をしており、原点から離れるほど満足度が高くなります。

最適消費点から需要曲線へ

消費者は、予算制約線の上で最も高い無差別曲線に届く点、つまり予算制約線と無差別曲線が接する点を選びます。ここでXの価格を少しずつ変えると、予算制約線が回転し、そのたびに最適なXの購入量が変わります。この「Xの価格」と「最適なXの購入量」の組み合わせをグラフにしたものが、個人の需要曲線です。さらに個人の需要曲線を横に足し合わせると、市場全体の需要曲線になります。

押さえておきたい公式

PXX + PYY = M予算制約線(所得Mをすべて支出する場合)
Y = M ÷ PY − (PX ÷ PY) X縦軸Yで表した形:切片 M/PY、傾き −PX/PY
記号 意味
M 所得(予算)
PX、PY X財・Y財の価格
X、Y X財・Y財の購入量

具体例で確認

所得M=1,000円、X財の価格PX=100円、Y財の価格PY=50円とします。

  1. 予算制約線:100X + 50Y = 1,000。Xだけなら最大10個、Yだけなら最大20個買えます。傾きは −100/50 = −2です。
  2. X財の価格が50円に下がると、50X + 50Y = 1,000 となり、Xだけなら最大20個に広がります。Yの切片(20個)は変わらず、傾きは−1に緩やかになります(回転)。
  3. 一方、価格はそのままで所得が2,000円に増えると、Xだけなら20個、Yだけなら40個となり、傾き−2のまま平行移動します。

価格の低下で予算制約線が回転し、多くの場合はXの最適購入量が増えます。これが右下がりの需要曲線の正体です。

試験で問われやすいポイント

  • 予算制約線の傾き=−価格比(PX/PY、切片=所得÷価格という読み取りが基本です。
  • 所得の変化は平行移動、一方の価格の変化は回転という違いが狙われやすいです。
  • 所得と両方の価格が同じ割合で変化すると、予算制約線は変わらないというひっかけに注意しましょう。
  • 最適消費点は予算制約線と無差別曲線の接点であり、そこから需要曲線が導かれるという流れを説明できるようにしましょう。

要点まとめ

  • 消費者は予算制約の中で効用を最大にする組み合わせを選ぶ
  • 予算制約線はPXX+PYY=M、傾きは−PX/PY
  • 所得の変化は平行移動、価格の変化は回転
  • 価格ごとの最適購入量をつなぐと需要曲線になる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。