ひとことで言うと

  • 完全競争企業にとって価格は一定なので、価格=限界収入(MR)です。
  • 利潤が最大になるのは価格(=MR)=限界費用(MC)となる生産量で、これが企業の最適生産量です。
  • 供給の価格弾力性は、供給量の変化率 ÷ 価格の変化率で計算します。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「完全競争の利潤最大化と供給弾力性」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (1) 市場メカニズムと企業行動
協会の学習ポイント 完全競争市場の利潤最大化条件(価格と限界収入、限界費用、利潤の関係や企業の最適生産量)や供給曲線について説明できる。また、供給の価格弾力性の計算ができる。

完全競争企業の利潤最大化とは

企業の利潤は、総収入(価格×数量)から総費用を引いたものです。企業は、この利潤が最大になるように生産量を決めると考えます。

価格=限界収入

完全競争市場の企業はプライス・テイカーなので、どれだけ生産しても市場価格Pで売ることができます。生産量を1単位増やしたときの収入の増加分を限界収入(MR)といいますが、完全競争企業では1単位売るごとに必ずPだけ収入が増えるので、MR=Pになります。

なぜ「P=MC」で利潤最大になるのか

もう1単位作ったときに増える収入(P)が、増える費用(MC)より大きければ、生産を増やすと利潤が増えます。逆にMCがPを上回れば、生産を減らしたほうが利潤は増えます。したがって、P=MCとなる点で生産量を止めるのが最適です。なお、MCが右上がりの部分で交わっていることが前提です。

供給曲線との関係

価格を変えるたびにP=MCとなる生産量を読み取ると、それが企業の供給量になります。つまり完全競争企業の供給曲線はMC曲線(操業停止点より上の部分)であり、個々の企業の供給曲線を横に足し合わせたものが市場の供給曲線です。

供給の価格弾力性

価格が1%上がったときに供給量が何%増えるかを表すのが供給の価格弾力性です。生産能力に余裕がある場合や、調整期間が長い場合ほど大きくなりやすいとされます。

押さえておきたい公式

利潤 π = P × Q − TC(Q)総収入 − 総費用
利潤最大化条件:P = MR = MC完全競争企業では価格と限界収入が等しい
供給の価格弾力性 = (ΔQs ÷ Qs) ÷ (ΔP ÷ P)供給曲線は通常右上がりなので正の値になる
記号 意味
MR 限界収入(1単位多く売ったときの収入の増加)
MC 限界費用(1単位多く作ったときの費用の増加)
TC 総費用
Qs 供給量

具体例で確認

例1:最適生産量と利潤

総費用TC = Q3 − 6Q2 + 15Q + 32、市場価格P=30の完全競争企業を考えます。

  1. 限界費用:MC = 3Q2 − 12Q + 15
  2. P=MC:30 = 3Q2 − 12Q + 15 → Q2 − 4Q − 5 = 0 → (Q − 5)(Q + 1) = 0 より Q=5
  3. 総収入:30 × 5 = 150、総費用:125 − 150 + 75 + 32 = 82
  4. 利潤:150 − 82 = 68

例2:供給の価格弾力性

価格が100円から120円に上がり、供給量が50個から65個に増えたとします。価格の変化率は+20%、供給量の変化率は+30%なので、供給の価格弾力性は 30% ÷ 20% = 1.5です。

試験で問われやすいポイント

  • 完全競争企業ではP=MRであり、利潤最大化条件はP=MCであることが基本です。
  • 費用関数と価格から最適生産量と利潤を計算させる問題に慣れておきましょう(MCは総費用を微分して求めます)。
  • P>MCなら増産、P<MCなら減産という調整の方向が問われやすいです。
  • 完全競争企業の供給曲線はMC曲線(操業停止点より上)であることを押さえましょう。
  • 供給の価格弾力性の計算で、需要の弾力性と同じく分子が数量、分母が価格の変化率である点に注意しましょう。

要点まとめ

  • 完全競争企業はプライス・テイカーで、P=MR
  • 利潤最大化条件はP=MC(MCが右上がりの部分)
  • 企業の供給曲線はMC曲線の操業停止点より上の部分
  • 供給の価格弾力性=供給量の変化率÷価格の変化率

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。