ひとことで言うと

  • 物価の動きを測る代表的な指標は、消費者物価指数(CPI)企業物価指数GDPデフレーターの3つです。
  • それぞれ対象となる取引・作成機関・算式が異なり、同じ時期でも動きが違うことがあります。
  • CPIは基準時の数量で固定するラスパイレス型、GDPデフレーターは比較時の数量を使うパーシェ型という違いが重要です。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「主要な物価指数」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (4) 景気循環と経済成長とその要因
協会の学習ポイント 物価水準の尺度(主要な物価指数)について説明できる。

主要な物価指数とは

物価指数は、多くの財・サービスの価格をまとめて、基準時点と比べてどれだけ変化したかを指数で表したものです。何の価格を、どのような重みで集計するかによって、いくつかの種類があります。

消費者物価指数(CPI)

CPIは総務省が作成し、家計が購入する財・サービスの価格の動きを測ります。基準年の家計の購入量(ウエイト)を固定して計算するラスパイレス型で、基準年はおおむね5年ごとに改定されます。天候の影響を受けやすい生鮮食品を除いた「生鮮食品を除く総合(いわゆるコアCPI)」や、さらにエネルギーも除いた指数が、物価の基調を見るためによく使われます。

企業物価指数

企業物価指数は日本銀行が作成し、企業間で取引される財の価格を測ります。国内企業物価指数のほか、輸出物価指数・輸入物価指数があります。原材料や為替の変動が早く表れやすく、後に消費者物価へ波及する先行的な動きをとらえるのに役立ちます。

GDPデフレーター

GDPデフレーターは内閣府が公表する名目GDP÷実質GDPで求められる物価指標で、国内で生産された財・サービス全体の価格の動きを表します。比較時点の数量を使うパーシェ型の性格をもちます。輸入はGDPの控除項目なので、輸入品の価格が上がるとGDPデフレーターは下がる方向に働く点が、CPIとの大きな違いです。

押さえておきたい公式

ラスパイレス指数 = Σptq0 ÷ Σp0q0 × 100基準時の数量q0で固定(CPIなど)
パーシェ指数 = Σptqt ÷ Σp0qt × 100比較時の数量qtを使う(GDPデフレーターの性格)
GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP × 100
指標 作成機関 対象 算式の型
消費者物価指数 総務省 家計が購入する財・サービス(輸入品を含む) ラスパイレス型
企業物価指数 日本銀行 企業間で取引される財 ラスパイレス型
GDPデフレーター 内閣府 国内で生産された財・サービス全体(輸入品は含まない) パーシェ型

具体例で確認

財Aと財Bの2つだけの経済を考えます。基準年は価格A=100円・B=200円、数量A=10個・B=5個。比較年は価格A=120円・B=200円で、Aが値上がりしたため数量A=6個・B=8個に変わったとします。

  1. ラスパイレス指数:(120×10 + 200×5) ÷ (100×10 + 200×5) × 100 = 2,200 ÷ 2,000 × 100 = 110.0
  2. パーシェ指数:(120×6 + 200×8) ÷ (100×6 + 200×8) × 100 = 2,320 ÷ 2,200 × 100 ≒ 105.5

値上がりしたAから相対的に安くなったBへ消費が移ると、基準年の数量を使い続けるラスパイレス指数は物価上昇を大きめに示し、パーシェ指数は小さめに示す傾向があります。これがラスパイレス指数の上方バイアスと呼ばれる性質です。

試験で問われやすいポイント

  • CPI・企業物価指数・GDPデフレーターの作成機関と対象範囲の違いが問われやすいです。
  • ラスパイレス型とパーシェ型の算式の違いと、数値を使った指数の計算に慣れておきましょう。
  • 輸入物価の上昇はCPIを押し上げるが、GDPデフレーターは押し下げるという方向の違いが狙われやすいです。
  • ラスパイレス指数は代替効果を反映しないため、物価上昇を過大に示しやすい点に注意しましょう。
  • 生鮮食品を除く総合など、基調を見るための指数の意味も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • CPI=家計の購入品(総務省・ラスパイレス型)
  • 企業物価指数=企業間の財の取引(日本銀行)
  • GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP(パーシェ型・輸入品を含まない)
  • ラスパイレス型は上方バイアスをもちやすい

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。