フィリップス曲線とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- フィリップス曲線は、失業率が低いほどインフレ率(賃金上昇率)が高くなるという右下がりの関係を表した曲線です。
- 人々の期待インフレ率を組み込むと、期待が変わるたびに曲線そのものが上下にシフトします。
- 長期には失業率が自然失業率に戻るため、長期のフィリップス曲線は垂直になると考えられています。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「インフレ率とフィリップス曲線」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (4) 景気循環と経済成長とその要因 |
| 協会の学習ポイント | インフレ率とフィリップス曲線について説明できる。 |
フィリップス曲線とは
フィリップス曲線は、経済学者フィリップスが英国のデータから見いだした、名目賃金上昇率と失業率の負の関係がはじまりです。その後、賃金上昇率を物価上昇率(インフレ率)に置き換えた物価版フィリップス曲線として使われるようになりました。
景気がよく労働市場がひっ迫して失業率が低いと、企業は人手を確保するために賃金を上げ、そのコストが価格に転嫁されてインフレ率が高まります。反対に失業率が高いと、賃金や物価は上がりにくくなります。このため、短期的には「インフレ率を下げようとすると失業率が上がる」というトレードオフがあるように見えます。
期待インフレ率と自然失業率
フリードマンやフェルプスは、人々が将来の物価上昇を予想(期待)して賃金交渉などを行う点を重視しました。この考えを入れた期待で修正されたフィリップス曲線では、実際のインフレ率は期待インフレ率を基準に、失業率と自然失業率の差によって上下します。
拡張的な政策で一時的に失業率を自然失業率より下げても、やがて人々の期待インフレ率が上がり、曲線が上方へシフトします。最終的に失業率は自然失業率に戻り、インフレ率だけが高くなります。そのため長期のフィリップス曲線は自然失業率の水準で垂直となり、長期的なトレードオフは存在しないと考えます(自然失業率仮説)。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| π | 実際のインフレ率 |
| πe | 期待インフレ率 |
| u | 実際の失業率 |
| un | 自然失業率 |
| β | 失業率の乖離にインフレ率が反応する度合い |
具体例で確認
期待インフレ率πe=2%、自然失業率un=3%、β=0.5とします。
- 失業率が2%に下がると:π = 2 - 0.5 × (2 - 3) = 2.5%(インフレ率は期待を上回る)
- 失業率が4%に上がると:π = 2 - 0.5 × (4 - 3) = 1.5%(インフレ率は期待を下回る)
- 失業率が自然失業率の3%なら:π = πe = 2%
①の状態が続くと、人々は期待インフレ率を2.5%程度へ引き上げ、曲線が上方にシフトします。同じ失業率2%を保つには、さらに高いインフレ率が必要になります。
試験で問われやすいポイント
- 短期のフィリップス曲線は右下がり、長期は自然失業率で垂直という形の違いが問われやすいです。
- 期待インフレ率が上がると、短期フィリップス曲線は上方にシフトする点を押さえましょう。
- 失業率が自然失業率と等しいとき、実際のインフレ率=期待インフレ率になる点が狙われやすいです。
- 公式に数値を入れてインフレ率や失業率を求める計算に慣れておきましょう。
- 長期的には金融緩和で失業率を下げ続けることはできず、インフレ率が上がるだけという結論に注意しましょう。
要点まとめ
- フィリップス曲線=失業率とインフレ率の負の関係
- 期待インフレ率が変わると短期の曲線がシフトする
- 長期には失業率は自然失業率に戻り、長期曲線は垂直
- π=πe-β(u-un)で計算できる
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
