貨幣数量説とフィッシャー方程式とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 人がお金を持つ理由(貨幣需要)は、ケインズの流動性選好説では取引動機・予備的動機・投機的動機の3つに分けられます。
- 貨幣数量説は、MV = PY(交換方程式)を土台に、貨幣量の増加は長期的に物価の上昇につながると考えます。
- フィッシャー方程式は、名目金利 ≒ 実質金利 + 期待インフレ率という関係を表します。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「貨幣の理論とフィッシャー方程式」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (5) 金融・資本市場とマネー |
| 協会の学習ポイント | 貨幣需要、貨幣数量説など貨幣関連の主要な理論を説明できる。また、フィッシャー方程式の計算ができる。 |
貨幣の理論とは
貨幣に関する理論は、「人々はなぜ、どれだけお金を持とうとするのか」(貨幣需要)と、「お金の量が物価や経済にどう影響するのか」(貨幣数量説など)を説明するものです。あわせて、名目金利と実質金利をつなぐフィッシャー方程式を押さえておきましょう。
流動性選好説(ケインズ)
ケインズは貨幣需要を3つの動機に分けました。取引動機は日々の買い物や支払いのため、予備的動機は急な出費に備えるためにお金を持つ動機で、どちらも所得が増えるほど大きくなります。投機的動機は、債券などの資産と比べて貨幣を資産として持つ動機で、利子率が低いほど大きくなります。利子率が低いと債券を持つ利益が小さく、将来の金利上昇(債券価格の下落)も心配されるためです。
貨幣数量説
フィッシャーの交換方程式 MV = PY は、貨幣量Mと流通速度V(お金が一定期間に何回使われるか)の積が、名目GDP(PY)に等しいという恒等式です。古典派は、Vは制度的に安定し、Yは長期的に実物要因で決まると考えるため、Mの増加はPの上昇につながると結論づけます(貨幣の中立性)。ケンブリッジ学派は同じ関係を M = kPY(kはマーシャルのk=1÷V)と、貨幣需要の形で表しました。
フィッシャー方程式
お金を貸したときに受け取る名目金利のうち、物価上昇で目減りする分を除いた実質的な利回りが実質金利です。フィッシャー方程式は、名目金利が実質金利と期待インフレ率の和におおむね等しいことを示します。期待インフレ率が上がると、同じ実質金利を確保するために名目金利も上がる(フィッシャー効果)と考えます。
押さえておきたい公式
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| M・V | 貨幣量・貨幣の流通速度 |
| P・Y | 物価水準・実質GDP |
| i・r | 名目金利・実質金利 |
| πe | 期待インフレ率 |
具体例で確認
例1:フィッシャー方程式
名目金利5%、期待インフレ率2%のとき、実質金利は
- 近似式:r ≒ 5 - 2 = 3%
- 厳密式:r = 1.05 ÷ 1.02 - 1 ≒ 2.94%
逆に、実質金利3%を確保したい投資家は、期待インフレ率が2%なら、名目で1.03 × 1.02 - 1 ≒ 5.06%(近似で5%)を求めることになります。
例2:貨幣数量説
貨幣量が年5%増え、流通速度が一定、実質GDPが年2%成長するとき、物価上昇率は5 + 0 - 2 ≒ 3%と見込まれます。
試験で問われやすいポイント
- 流動性選好説の3つの動機と、取引・予備的動機は所得、投機的動機は利子率に依存するという対応が問われやすいです。
- 交換方程式MV=PYと、マーシャルのk=1÷Vの関係が狙われやすいです。
- フィッシャー方程式の近似式と厳密式の両方で計算できるようにしておきましょう。問題文の指示に合わせるのが大切です。
- 期待インフレ率の上昇が名目金利を押し上げるフィッシャー効果の方向を押さえましょう。
- 貨幣数量説では、長期的に貨幣量は実質GDPに影響しない(貨幣の中立性)という前提に注意しましょう。
要点まとめ
- 貨幣需要は取引・予備的・投機的の3動機(ケインズ)
- 貨幣数量説:MV=PY、貨幣量の増加は長期的に物価を上げる
- フィッシャー方程式:名目金利≒実質金利+期待インフレ率
- 厳密には(1+i)=(1+r)(1+πe)
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
