ひとことで言うと

  • 日本銀行の資金循環統計は、家計・企業・政府・海外などの部門ごとに、お金の流れ(フロー)と金融資産・負債の残高(ストック)を示す統計です。
  • 日本では家計が資金余剰一般政府が資金不足という構図が続き、企業も資金余剰となる年が多くなっています。
  • 期間1年以内の資金をやり取りする短期金融市場は、金融機関だけが参加するインターバンク市場(コール市場など)と、事業法人なども参加できるオープン市場に分かれます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「日本の金融構造と短期金融市場」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (5) 金融・資本市場とマネー
協会の学習ポイント 資金循環から見た日本の金融構造と日本の短期金融市場の特徴を説明できる

日本の金融構造と短期金融市場とは

資金循環統計の見方

資金循環統計は、経済を金融機関・非金融法人企業・一般政府・家計・対家計民間非営利団体・海外などの部門に分け、どの部門からどの部門へ、どのような金融商品(預金、貸出、債券、株式など)を通じてお金が流れているかを記録します。各部門の資金の出し入れの差額を資金過不足といい、プラスなら資金余剰、マイナスなら資金不足です。

ある部門の資金不足は必ず他の部門の資金余剰で賄われるため、統計上の不突合を除けば、すべての部門の資金過不足を合計するとゼロになります。国内部門全体の資金余剰は海外部門の資金不足に対応し、おおむね経常収支の黒字に等しくなります。

日本の金融構造の特徴

日本の家計は資金余剰部門で、金融資産の半分程度を現金・預金で保有している点が特徴です。その資金は銀行などを通じて、国債の購入や企業への貸出に回ります。企業部門は、かつては投資資金を借り入れる資金不足部門でしたが、1990年代後半以降は債務の圧縮や投資の抑制から資金余剰となる年が多くなりました。一般政府は財政赤字により大幅な資金不足が続いています。

短期金融市場の構成

インターバンク市場は、金融機関どうしが短期資金を融通し合う市場です。中心はコール市場で、担保の有無で有担保コールと無担保コールに分かれます。無担保コール翌日物金利は、日本銀行が金融市場調節の誘導目標として用いてきた代表的な短期金利です。

オープン市場は、金融機関以外の事業法人なども参加できる市場で、債券現先市場、債券レポ(現金担保付債券貸借)市場、CD(譲渡性預金)市場、CP(コマーシャル・ペーパー)市場、国庫短期証券(T-Bill)市場などがあります。

整理しておきたいポイント

区分 主な市場 参加者
インターバンク市場 コール市場(有担保・無担保)、手形市場 金融機関に限られる
オープン市場 債券現先、債券レポ、CD、CP、国庫短期証券 事業法人なども参加できる

具体例で確認

ある年の資金過不足(兆円)が、家計+30、非金融法人企業+10、一般政府-25、金融機関0だったとします。

  1. 国内部門の合計:30 + 10 - 25 + 0 = +15兆円(国内全体で資金余剰)
  2. 全部門の合計はゼロになるので、海外部門の資金過不足は-15兆円
  3. 海外部門の資金不足は、日本が海外に資金を供給していることを意味し、経常収支がおよそ15兆円の黒字であることに対応します。

試験で問われやすいポイント

  • 家計・企業・政府・海外の各部門が資金余剰か資金不足かという日本の特徴が問われやすいです。
  • 全部門の資金過不足の合計はゼロで、国内部門の資金余剰=海外部門の資金不足≒経常収支黒字という関係が狙われやすいです。
  • 短期金融市場のインターバンク市場とオープン市場の区別と、それぞれに属する市場を押さえましょう。
  • コール市場は金融機関だけが参加できる点、CPやT-Billはオープン市場である点に注意しましょう。
  • 無担保コール翌日物金利と金融政策の関係も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 資金循環統計は部門別のお金の流れと金融資産・負債の残高を示す
  • 家計は資金余剰、政府は資金不足、企業も資金余剰となる年が多い
  • 全部門の資金過不足の合計はゼロ。海外部門の不足は経常黒字に対応
  • 短期金融市場はインターバンク市場(コールなど)とオープン市場(CP・T-Billなど)

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

▶ 証券アナリストコミュニティーに参加する

※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。