ひとことで言うと

  • 資金の余っている主体(黒字主体)から不足している主体(赤字主体)へお金を融通するのが金融取引です。
  • 投資家が企業の株式や社債を直接買うのが直接金融、銀行が預金を集めて貸し出すのが間接金融です。
  • 金融機関は、資金仲介(資産変換)・情報生産・決済・信用創造などの役割を果たします。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「金融取引と金融機関の役割」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (5) 金融・資本市場とマネー
協会の学習ポイント 金融取引と金融機関の役割について説明できる。

金融取引と金融機関の役割とは

経済には、所得より支出が少なくお金が余っている主体(多くの家計など)と、事業のためにお金が足りない主体(設備投資をする企業や政府など)がいます。金融取引は、この資金余剰主体から資金不足主体へ資金を融通するしくみで、社会全体の資源を有効に活用するうえで欠かせません。

直接金融と間接金融

直接金融では、資金の出し手(投資家)が、借り手(企業など)が発行する株式や社債を直接購入します。証券会社は売買を仲介しますが、リスクは最終的な資金の出し手が負います間接金融では、銀行などが預金者から資金を集め、自らの判断で企業に貸し出します。借り手が返済できなくても銀行は預金を払い戻す義務があるため、貸出のリスクは銀行が負います

さらに、投資信託や証券化商品のように、金融機関が仲介しつつ最終的なリスクは市場の投資家が負う形は市場型間接金融と呼ばれます。

金融機関の主な機能

  • 資金仲介(資産変換)機能:小口で短期・安全な預金を集め、大口で長期・リスクのある貸出に変換します(金額・期間・リスクの変換)。
  • 情報生産機能:借り手の審査やモニタリングを行い、貸し手と借り手の間の情報の非対称性を軽減します。多くの貸し手が個別に審査するより、専門の金融機関がまとめて行うほうが効率的です。
  • 決済機能:振込や口座振替などで、経済取引の支払いを円滑にします。
  • 信用創造機能:預金を元手に貸出を行い、それが再び預金となることで、経済全体の預金通貨を増やします。
  • リスク分散:多数の借り手に貸し出すことで、個々の貸出のリスクを分散します。

整理しておきたいポイント

項目 直接金融 間接金融
代表的な手段 株式・社債の発行 銀行預金と銀行貸出
リスクを負う主体 最終的な投資家 銀行などの金融仲介機関
主な仲介者の役割 証券会社が売買を仲介(引受など) 銀行が自らの判断で貸出
向いている借り手 情報開示が進んだ大企業 情報が少ない中小企業なども利用しやすい

具体例で確認

ある中堅企業が新工場の建設に10億円を必要としているとします。

  1. 社債を発行して投資家に買ってもらう場合(直接金融):企業が倒産すれば社債を持つ投資家が損失を負います。投資家は開示情報や格付けをもとに自ら判断します。
  2. 銀行から借り入れる場合(間接金融):銀行が審査して貸し出します。企業が返済できなくても、預金者の預金は銀行が払い戻すため、損失は銀行が負います。
  3. 銀行は、多くの預金者の小口の普通預金を集めて、10年返済の大口の設備資金に変換しています。これが資産変換機能です。

試験で問われやすいポイント

  • 直接金融と間接金融でリスクを誰が負うかの違いが最も問われやすいです。
  • 金融機関の機能のうち、情報生産機能が情報の非対称性(逆選択・モラルハザード)を軽減する点が狙われやすいです。
  • 資産変換機能の中身(金額・期間・リスクの変換)を押さえましょう。
  • 投資信託などの市場型間接金融の位置づけにも注意しましょう。
  • 日本は伝統的に間接金融の比重が高いといわれる点も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 金融取引=資金余剰主体から資金不足主体への資金の融通
  • 直接金融は投資家がリスクを負い、間接金融は銀行がリスクを負う
  • 金融機関の機能:資産変換・情報生産・決済・信用創造・リスク分散
  • 投資信託や証券化は市場型間接金融

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。