ひとことで言うと

  • 中央銀行は、一国の通貨を発行し、金融政策を運営する特別な銀行で、日本では日本銀行がその役割を担います。
  • 日本銀行の目的は物価の安定金融システムの安定(信用秩序の維持)で、「発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行」という3つの機能をもちます。
  • 金融政策は政府から独立して決める一方、政府の経済政策と整合的になるよう意思疎通を図ることが求められます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「中央銀行の組織と役割」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (6) 金融政策と財政政策
協会の学習ポイント 中央銀行の組織や役割、政府との関係について説明できる。

中央銀行とは

日本銀行は、日本銀行法にもとづいて設立された日本の中央銀行です。1997年に日本銀行法が全面的に改正され(1998年施行)、独立性透明性が法律で明確に定められました。

日本銀行の目的

日本銀行法は、日本銀行の目的を、①銀行券を発行するとともに通貨及び金融の調節を行うこと、②金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、信用秩序の維持に資すること、と定めています。さらに通貨及び金融の調節の理念として、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを掲げています。

中央銀行の3つの機能

  • 発券銀行:日本銀行券(紙幣)を独占的に発行します。なお硬貨(貨幣)は政府が発行します。
  • 銀行の銀行:金融機関から当座預金を受け入れ、金融機関どうしの決済の場を提供し、必要に応じて資金を貸し出します。金融危機の際に一時的な資金を供給する最後の貸し手の役割もあります。
  • 政府の銀行:政府の預金(国庫金)を管理し、国債に関する事務などを行います。

組織:政策委員会

日本銀行の最高意思決定機関は政策委員会で、総裁・副総裁2名・審議委員6名の計9名で構成されます。委員は国会の同意を得て内閣が任命します。金融政策は、政策委員会の金融政策決定会合(年8回程度)で多数決により決定され、決定内容はその都度公表されます。

政府との関係

日本銀行法は、金融政策に関する日本銀行の自主性を尊重することを定めています。これは、政府が景気対策や財政資金の調達を優先してインフレを招くことを防ぐためです。一方で、金融政策は政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、政府と十分な意思疎通を図ることも求められています。政府の代表者は金融政策決定会合に出席して意見を述べることができ、議決の延期を求めることができますが、延期するかどうかは政策委員会が決めます。また財政法により、日本銀行による国債の直接引受けは原則として禁止されています。

整理しておきたいポイント

項目 内容
目的 物価の安定、金融システムの安定(資金決済の円滑の確保)
機能 発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行
意思決定 政策委員会(9名)、金融政策決定会合で決定
政府との関係 自主性の尊重と政府との意思疎通、政府代表の議決延期請求権
財政との関係 国債の直接引受けは原則禁止

具体例で確認

景気の先行きに不安がある中で、日本銀行の政策委員会が利上げを提案したとします。

  1. 政府の代表者は会合で「景気への影響が心配だ」と意見を述べ、議決の延期を求めることができます。
  2. しかし延期するかどうかは政策委員会が多数決で決め、延期請求を否決して利上げを決めることもできます。これが独立性です。
  3. 政府が財政赤字を賄うために日本銀行に国債を直接引き受けさせることは、財政法で原則として禁止されています。

試験で問われやすいポイント

  • 日本銀行の目的(物価の安定・金融システムの安定)と理念の文言が問われやすいです。
  • 発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行の3機能の内容と、硬貨は政府が発行する点が狙われやすいです。
  • 政策委員会の構成(9名)と金融政策決定会合の役割を押さえましょう。
  • 政府代表は議決延期を請求できるが、決定権はないという点がひっかけになりやすいです。
  • 中央銀行の独立性が必要とされる理由(インフレ・バイアスの回避)と、国債の直接引受け禁止も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 日本銀行の目的は物価の安定と金融システムの安定
  • 発券銀行・銀行の銀行・政府の銀行の3機能をもつ
  • 政策委員会(9名)が金融政策決定会合で政策を決める
  • 独立性が尊重される一方、政府と意思疎通を図る。国債の直接引受けは原則禁止

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。