ひとことで言うと

  • 輸出や対内投資は自国通貨の需要を、輸入や対外投資は外貨の需要を生み、その需給で為替レートが動きます。
  • 逆に、為替レートの変化は輸出入を通じて経常収支に影響します。自国通貨安で貿易収支が改善するための条件がマーシャル=ラーナー条件です。
  • 短期的には通貨安の直後にかえって収支が悪化するJカーブ効果が生じることがあります。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「国際収支と為替レート」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (8) 国際資本移動と外国為替市場
協会の学習ポイント 国際収支と為替レートの関係について説明できる。

国際収支と為替レートの関係とは

為替レートは、外国為替市場での通貨の需要と供給によって決まります。国際収支に記録される取引の多くは通貨の交換を伴うため、国際収支と為替レートは互いに影響を与え合います。

国際収支 → 為替レート

日本の企業が製品を輸出して受け取ったドルを円に替えると、円買い・ドル売りが生じ、円高要因になります。反対に、輸入代金の支払いや、日本の投資家による外国証券の購入(対外投資)は円売り・ドル買いを生み、円安要因になります。貿易などの経常取引の流れに注目して為替レートを説明する考え方をフロー・アプローチ(国際収支説)といいます。一方、現代では資本取引の規模が非常に大きいため、内外の金利差や期待収益率にもとづく資産選択から為替レートを説明するアセット・アプローチも重視されます。

為替レート → 国際収支

円安になると、日本製品は外貨建てで安くなるため輸出数量が増え、輸入品は円建てで高くなるため輸入数量が減ります。ただし、輸入代金は1単位当たり円建てで高くなるため、数量の変化が十分に大きくなければ円建ての貿易収支は改善しません。輸出と輸入の価格弾力性の和が1より大きいとき、自国通貨安で貿易収支が改善するという条件をマーシャル=ラーナー条件といいます。

Jカーブ効果

輸出入の数量は、契約や生産の調整に時間がかかるため、為替レートの変化にすぐには反応しません。そのため、自国通貨安の直後は価格面の効果(輸入代金の増加)が先に表れて貿易収支が一時的に悪化し、時間がたって数量が調整されると改善に向かいます。この動きがアルファベットのJに似ていることからJカーブ効果と呼ばれます。

整理しておきたいポイント

取引(日本から見て) 外国為替市場での動き 円への影響
輸出の増加 受け取った外貨を円に替える 円高要因
輸入の増加 支払いのため外貨を買う 円安要因
海外投資家の日本株購入(対内投資) 外貨を売って円を買う 円高要因
日本の投資家の外国債券購入(対外投資) 円を売って外貨を買う 円安要因
海外からの利子・配当の円転 外貨を売って円を買う 円高要因

具体例で確認

1ドル=130円から150円へ急速に円安が進んだとします。直後の数か月は、すでに契約済みの原材料やエネルギーの輸入代金が円建てで膨らむ一方、輸出数量はすぐには増えないため、貿易収支はむしろ赤字方向に振れます。その後、日本製品の価格競争力が高まって輸出数量が増え、割高になった輸入品の数量が減ってくると、マーシャル=ラーナー条件が満たされている限り貿易収支は改善に向かいます。これがJカーブ効果の典型的な流れです。

試験で問われやすいポイント

  • 輸出入や対内・対外投資が円高要因か円安要因かを判断する問題が典型です。
  • マーシャル=ラーナー条件は「輸出と輸入の価格弾力性の和が1より大きい」ことで、この場合に自国通貨安で貿易収支が改善します。
  • Jカーブ効果では、通貨安の直後は貿易収支が悪化してから改善する点が問われやすいです。
  • フロー・アプローチとアセット・アプローチの注目する取引の違いも確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 輸出・対内投資は自国通貨高、輸入・対外投資は自国通貨安の要因
  • 為替レートの変化は輸出入の数量と価格を通じて経常収支に影響する
  • 通貨安で収支が改善する条件がマーシャル=ラーナー条件
  • 短期的には収支が一時悪化するJカーブ効果がある

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。