固定相場制と変動相場制とは?違いと試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・市場と経済の分析
ひとことで言うと
- 為替相場制度には、為替レートを一定水準に保つ固定相場制と、市場の需給に任せる変動相場制、その中間的な制度があります。
- 「為替の安定・自由な資本移動・独立した金融政策」の3つは同時に実現できないという国際金融のトリレンマが制度選択の基本です。
- 外国為替市場は、銀行間で取引するインターバンク市場と、銀行と企業・個人が取引する対顧客市場からなる相対取引中心の市場です。
この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「為替相場制度と外国為替市場」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析 |
|---|---|
| 大分類 | (8) 国際資本移動と外国為替市場 |
| 協会の学習ポイント | 外国為替相場制度や外国為替市場について説明できる。 |
為替相場制度と外国為替市場とは
固定相場制と変動相場制
固定相場制では、政府・中央銀行が自国通貨を特定の通貨(ドルなど)や通貨バスケットに対して一定のレートに固定し、そのレートを維持するために外貨準備を使って市場で売買(介入)します。為替リスクが小さく貿易や投資がしやすい反面、レート維持のために金融政策の自由度が失われ、投機的な攻撃を受けると通貨危機につながるおそれがあります。変動相場制では、為替レートは市場の需給で自由に決まります。金融政策を国内の景気・物価のために使える一方、為替レートの変動が大きくなりやすいという面があります。中間的な制度として、原則は変動相場制だが必要に応じて介入する管理フロート制や、一定の変動幅を認める制度などがあります。
国際金融のトリレンマ
①為替レートの安定、②自由な資本移動、③金融政策の独立性、の3つは同時に達成できず、どれか1つを諦める必要があります。日本や米国は②と③を選び、変動相場制を採用しています。資本移動が自由な固定相場制の国は、金融政策の独立性を放棄することになります。
マンデル=フレミング・モデルとの関係
資本移動が完全な小国開放経済を考えるマンデル=フレミング・モデルでは、変動相場制では金融政策が有効で財政政策は無効、固定相場制では財政政策が有効で金融政策は無効という結論が導かれます。制度の違いが政策の効き方を左右する点が重要です。
外国為替市場のしくみ
外国為替市場は、取引所のような特定の場所を持たず、電話や電子取引システムを通じて相対で取引される市場です。金融機関同士が取引するインターバンク市場と、銀行が企業や個人と取引する対顧客市場に分かれます。東京・ロンドン・ニューヨークなど世界の市場が時差でつながり、ほぼ24時間取引が行われます。日本では、為替介入は財務大臣の権限で行われ、日本銀行がその代理人として実務を担います。
整理しておきたいポイント
| 項目 | 固定相場制 | 変動相場制 |
|---|---|---|
| 為替レートの決まり方 | 当局が一定水準に固定 | 市場の需給で決定 |
| 為替リスク | 小さい | 大きくなりやすい |
| 金融政策の独立性(資本移動自由の場合) | 失われる | 保たれる |
| 国際収支の調整 | 外貨準備の増減や国内経済の調整で対応 | 為替レートの変動で調整 |
| マンデル=フレミング(資本移動完全) | 財政政策が有効 | 金融政策が有効 |
具体例で確認
自国通貨をドルに固定しているある国で、景気後退のため中央銀行が利下げをしたとします。資本移動が自由なら、金利の低下で資金が海外に流出し、自国通貨売り・ドル買いの圧力が強まります。固定レートを守るには中央銀行が外貨準備を使って自国通貨を買い支える必要があり、その結果、国内に出回るお金が減って金利は元の水準に戻ってしまいます。これが「資本移動が自由な固定相場制では金融政策が効かない」ことの具体的な意味です。
試験で問われやすいポイント
- 固定相場制と変動相場制の長所・短所の比較が問われやすいです。
- 国際金融のトリレンマで、同時に達成できない3つの政策目標と、どれを諦めるかの組み合わせを確認しておきましょう。
- マンデル=フレミング・モデルでどちらの制度でどちらの政策が有効かは、入れ替えたひっかけに注意しましょう。
- 外国為替市場が相対取引中心で、インターバンク市場と対顧客市場からなる点も押さえておきましょう。
要点まとめ
- 固定相場制は為替の安定、変動相場制は金融政策の自由度が長所
- 為替の安定・資本移動の自由・金融政策の独立性は同時に実現できない
- 資本移動完全なら、変動相場制で金融政策、固定相場制で財政政策が有効
- 外国為替市場はインターバンク市場と対顧客市場からなる相対取引の市場
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
