ひとことで言うと

  • 購買力平価(PPP)は、同じ財は各国で同じ価格になるはず(一物一価)という考えから、2国の物価水準の比で為替レートが決まるとする理論です。
  • 物価水準の比を使う絶対的購買力平価と、物価上昇率の差を使う相対的購買力平価があります。
  • 相対的PPPでは、インフレ率が高い国の通貨ほど減価すると考えます。短期よりも長期の為替レートの目安として使われます。

この記事では、証券アナリスト1次「市場と経済の分析」の学習ポイントのひとつ「購買力平価」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/市場と経済の分析
大分類 (8) 国際資本移動と外国為替市場
協会の学習ポイント 購買力平価について説明できる。

購買力平価とは

ある商品が日本で1,500円、米国で10ドルで売られているとします。もし為替レートが1ドル=100円なら、米国では1,000円で買えることになり、米国で買って日本で売れば利益が出ます。こうした裁定取引が行われると、最終的には同じ商品の価格が通貨換算後に等しくなるはずです。これを一物一価の法則といい、この考え方を物価水準全体に当てはめたのが購買力平価(PPP:Purchasing Power Parity)です。

絶対的購買力平価

為替レートは2国の物価水準の比に等しくなる、という考え方です。上の例では1,500 ÷ 10=150円が、1ドルの購買力平価になります。

相対的購買力平価

現実には、輸送費や関税、サービスのように貿易されない財の存在、各国の物価指数の構成の違いなどにより、物価水準の比がそのまま成り立つことは多くありません。そこで、為替レートの変化率が2国のインフレ率の差に等しくなる、と考えるのが相対的購買力平価です。自国のインフレ率が外国より高ければ、その差の分だけ自国通貨が減価すると考えます。

購買力平価の限界

短期的な為替レートは、金利差や資本取引、市場の予想などの影響を強く受けるため、購買力平価から大きく乖離することがあります。購買力平価は、主に長期的な為替レートの均衡水準の目安として使われます。また、生産性の高い国ほど非貿易財の価格が高くなりやすいため、物価水準が高く見えるという説明(バラッサ=サミュエルソン効果)もあります。

押さえておきたい公式

S = P ÷ P*絶対的購買力平価(円/ドル表示)
S1 = S0 × (1 + π) ÷ (1 + π*)相対的購買力平価
為替レートの変化率 ≒ π − π*近似式:円/ドルの上昇(円安)率は日米のインフレ率の差にほぼ等しい
記号 意味
S0、S1 現在と1期後の為替レート(1ドル当たり円)
P、P* 日本と米国の物価水準
π、π* 日本と米国のインフレ率

具体例で確認

現在の為替レートが1ドル=150円、今後1年間の日本のインフレ率が1%、米国のインフレ率が3%と予想されるとします。

  1. 相対的購買力平価による1年後のレート:150 × 1.01 ÷ 1.03≒147.09円
  2. 変化率:147.09 ÷ 150 − 1≒−1.94%(近似式では1% − 3%=−2%)

米国のインフレ率のほうが高いため、ドルの購買力が相対的に低下し、ドル安・円高の方向になるという結論です。

試験で問われやすいポイント

  • 2国の物価やインフレ率から購買力平価による為替レートを計算させる問題が典型です。
  • インフレ率が高い国の通貨が減価するという方向を、円高・円安の表現と正しく結びつけましょう。
  • 絶対的PPPは物価水準の比、相対的PPPはインフレ率の差を使うという違いが問われやすいです。
  • 購買力平価は短期では成立しにくく、長期の目安とされる点や、輸送費・非貿易財などの乖離要因も押さえておきましょう。

要点まとめ

  • 購買力平価は一物一価の法則にもとづく為替レートの理論
  • 絶対的PPP:S=P÷P*、相対的PPP:変化率≒π−π*
  • インフレ率の高い国の通貨は減価する
  • 短期的には乖離が大きく、長期の均衡水準の目安として使われる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。