ひとことで言うと

  • 株式は会社の「持ち分」、債券は国や会社への「貸付け」を証券にしたものです。
  • デリバティブは株価や金利などの値動きから価値が決まる「派生商品」、投資信託は多くの投資家の資金をまとめてプロが運用する「パッケージ商品」です。
  • 4つの違いは「誰に対するどんな権利か」「リターンの源泉は何か」「リスクの大きさはどうか」で整理すると覚えやすくなります。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「主要な投資対象資産の仕組み」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (1) 資本市場の仕組みと株式投資
協会の学習ポイント 資本市場における主要な投資対象資産(株式、債券、デリバティブ、投資信託等)の基本的な仕組みを理解する。

主要な投資対象資産とは

資本市場では、企業や国が長期の資金を調達し、投資家がその資金を提供します。そのときに投資家が手にするのが、株式・債券といった「証券」です。さらに、これらの値動きを利用したデリバティブや、複数の資産をまとめた投資信託もあり、投資家は目的やリスク許容度に合わせて使い分けています。

株式:会社の持ち分

株式は、株式会社に出資した人(株主)が持つ「会社の持ち分」です。株主は配当を受け取る権利や株主総会での議決権を持ちますが、会社が倒産したときの残余財産の分配は債権者より後回しになります。そのかわり、会社が成長すれば配当の増加や株価の上昇という形で大きなリターンを得られる可能性があります。リターンの上限がない一方で、元本の保証もない、ハイリスク・ハイリターンの資産です。

債券:国や会社への貸付け

債券は、国・地方公共団体・企業などが資金を借りるときに発行する「借用証書」です。発行体はあらかじめ決められた利息(クーポン)を支払い、満期には額面を返済する義務を負います。発行体が約束どおり支払えば、投資家の受け取るお金はほぼ確定しているため、一般に株式よりリスクは小さいとされます。ただし、途中で売却する場合は金利の変動によって価格が上下し(金利リスク)、発行体の経営悪化で支払いが滞るおそれ(信用リスク)もあります。

デリバティブ:値動きから生まれる派生商品

デリバティブ(金融派生商品)は、株式・債券・金利・為替・株価指数などの「原資産」の価格に連動して価値が決まる契約です。代表例は先物、オプション、スワップです。少ない証拠金やプレミアムで大きな金額の取引ができる(レバレッジが効く)ため、値動きのリスクを減らすヘッジにも、積極的に収益を狙う投機にも使われます。

投資信託:まとめてプロに任せる仕組み

投資信託は、多くの投資家から集めた資金をひとつの大きな資金(ファンド)にまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資する商品です。少額でも多くの銘柄に分散投資できるのが大きな利点です。運用成果は投資家に帰属するため元本は保証されず、信託報酬などのコストもかかります。取引所に上場して株式のように売買できるETF(上場投資信託)も投資信託の一種です。

整理しておきたいポイント

資産 投資家が持つ権利・性質 リターンの源泉とリスク
株式 会社の持ち分(配当請求権・議決権・残余財産分配請求権) 配当と値上がり益。業績次第で大きく変動し、元本保証なし
債券 発行体に対する債権(利息と元本の支払いを受ける権利) 利息と償還差益。金利リスク・信用リスクがあるが、一般に株式より小さい
デリバティブ 原資産の価格に連動する契約上の権利・義務 原資産の値動き。レバレッジにより損益が大きく振れやすい
投資信託 ファンドの持ち分(受益権) 組み入れ資産の運用成果。分散投資ができるが元本保証なし、コストがかかる

特に、株式と債券の「弁済の順位」の違いは重要です。会社が解散・倒産したときは、まず債権者(債券保有者など)に返済され、残った財産があって初めて株主に分配されます。株主のリターンが大きくなりうるのは、この後回しのリスクを引き受けているからだと考えると理解しやすくなります。

具体例で確認

ある会社Aに関連する投資を考えてみましょう。

  • A社の株式を買う:A社の業績が伸びれば配当が増え、株価も上がる可能性があります。反対に業績が悪化すれば無配になったり、株価が大きく下がったりします。
  • A社の社債を買う:業績が多少変動しても、約束された利息と満期の元本を受け取れます。業績が大きく伸びても受け取れる金額は増えません。
  • A社株のオプションを買う:株価が上がれば少ない元手で大きな利益を狙えますが、予想が外れると支払ったプレミアムを失います。
  • A社株を含む投資信託を買う:A社だけでなく多数の銘柄に分散されるため、A社1社の業績悪化の影響は小さくなります。

同じ会社に関わる投資でも、どの資産を選ぶかでリターンとリスクの形がまったく異なることがわかります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「資本市場における主要な投資対象資産(株式・債券・デリバティブ・投資信託等)の基本的な仕組みを理解する(証券分析・ポートフォリオ)」)。

試験で問われやすいポイント

  • 株式は「持ち分(出資)」、債券は「債権(貸付け)」という本質的な違いが問われやすいです。
  • 倒産時の弁済順位は「債権者が先、株主が後」。株主が有利と書かれた選択肢はひっかけとして狙われやすいです。
  • 債券にもリスク(金利リスク・信用リスク)がある点。「債券は無リスク」といった断定的な記述は誤りになりやすいです。
  • デリバティブは「原資産の価格から価値が決まる」こと、ヘッジと投機の両方に使われることが問われやすいです。
  • 投資信託は元本保証がなく、運用の成果もリスクも投資家に帰属する点を混同しないようにしましょう。

要点まとめ

  • 株式=会社の持ち分、債券=発行体への貸付け。
  • 弁済順位は債権者が先で株主は後。その分、株式は期待リターンが高い。
  • デリバティブは原資産に連動する派生商品で、レバレッジが効く。
  • 投資信託は資金をまとめてプロが運用し、少額で分散投資ができる。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。