【証券アナリスト1次】株式分析とは?要するに何を学ぶのかを学習ポイントに沿って解説
証券アナリスト(CMA)1次試験の科目Ⅰで学ぶ「株式分析」。テキストを開くと専門用語がずらりと並び、「結局この分野で何ができるようになればいいの?」と感じる方も多いはずです。
この記事では、日本証券アナリスト協会が公表している「主要学習事項と学習ポイント」に沿って、株式分析で要するに何を学ぶのかを、学習ポイントを1つずつかみくだいて解説します。
株式分析で学ぶこと
- 株式市場のしくみ:株式とは何か、どこで・どうやって売買されるのか
- 企業を分析する視点:景気・産業・競争力から、どの企業が稼げるのかを考える
- 株の「適正な値段」の出し方:配当割引モデル、残余利益モデル、PER・PBRなどで株価が割高か割安かを判断する
株式分析の基本情報
| 試験科目 | 1次 科目Ⅰ「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」 |
|---|---|
| 試験での出題 | 第1問「株式市場」(30点)・第2問「株式分析」(30点)(2025年春・2024年秋の本試験の構成) |
| 学習ポイント数 | 44項目(大分類3つ) |
| 2次とのつながり | 2次では「株式価値評価モデルの活用」など、より応用的な評価手法を学びます |
全体像:3つの大分類
| 大分類 | ひとことで言うと |
|---|---|
| (1) 資本市場の仕組みと株式投資 | 株式とはどんなもので、どこで・誰が・どうやって売買しているのかを知る |
| (2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析 | 景気・産業・企業の競争力から、企業の稼ぐ力を分析する視点を身につける |
| (3) 株式価値評価モデルの基礎 | 株の「本来の価値」を計算し、市場の株価が割高か割安かを判断する |
各大分類の表にある学習ポイント名をクリックすると、用語解説の記事で意味と試験で問われやすいポイントを確認できます。
(1) 資本市場の仕組みと株式投資
ポイント:株式投資の「土台」です。株式・債券・投資信託といった資産の基本、株式会社と株式の役割、株式市場のルールと参加者、注文から決済までの流れを押さえます。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 主要な投資対象資産の仕組み | 株式・債券・デリバティブ・投資信託が、それぞれどんな商品で何が違うのかをざっくりつかむ |
| 株式会社の基本原理と株式の機能 | 株式会社は出資者(株主)が有限責任で資金を出す仕組み。株式は企業が資金を集め、投資家がリスクを取る道具であることを理解する |
| 株式の種類と特徴 | 普通株・優先株・種類株の違いを、配当・議決権・残余財産への請求権の観点から整理する |
| 簿価と時価、株式リターンとリスク | 帳簿上の価値と市場価格の違い、リターン=配当収益+値上がり益であることと、その変動(リスク)を理解する |
| 発行市場と流通市場 | 企業が新たに株を発行して資金を集める市場(発行市場)と、投資家同士が売買する市場(流通市場)の違い |
| 株価指数の概要と算出方法 | TOPIXや日経平均株価などの指数が、時価総額加重型か株価平均型か、どの銘柄を対象にしているかを知る |
| 市場の参加者と役割 | 証券会社・証券取引所・銀行や保険会社などの機関投資家が、株の発行や売買でどんな役割を担っているか |
| 現物取引と信用取引 | 手元の資金で売買する現物取引と、お金や株を借りて売買する信用取引の基本 |
| 売買の執行と注文方法 | 約定・受渡・清算の流れと、価格を指定する指値注文・すぐに売買する成行注文の違い |
| 発行市場と流通市場の関連 | 流通市場で自由に売買できるからこそ、発行市場で投資家が株を買える――2つの市場が支え合う関係 |
| 株価の決まり方 | 売りと買いの注文を突き合わせるオーダードリブン方式と、マーケットメイカーが価格を提示するクォートドリブン方式 |
| 関連法令と自主規制 | 金融商品取引法・会社法など、株式市場のルールの全体像 |
| 主要国の株式市場 | 米国・欧州など海外の株式市場や制度の基本的な特徴 |
(2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析
ポイント:「どの企業に投資すべきか」を考えるための分析の視点です。景気→産業→個別企業と順に絞り込む考え方や、企業の競争力、ESGまで含めて企業の稼ぐ力を評価します。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 産業分析と企業分析の関連 | 企業の業績は、その企業が属する産業の動きに大きく左右される――両者をセットで見る理由 |
| トップダウンとボトムアップ | 景気→産業→企業と上から絞る方法と、個別企業の分析から積み上げる方法の違い |
| 景気動向と企業業績・セクター | 景気動向指数で景気の局面をつかみ、景気循環と業績・株式セクターの関係を理解する |
| 産業分類とセクター分析 | 企業をどの産業に分類し、産業ごとの特徴をどう比べるか |
| 産業の戦略的分析 | 競争の激しさや参入のしやすさなど、産業の構造から収益性を考える |
| ライフサイクル・モデル | 産業には導入期・成長期・成熟期・衰退期があり、段階によって成長性やリスクが違う |
| マクロ経済要因の影響 | 金利・為替・景気などが、産業の成長・収益性・リスクにどう効くか |
| 企業の競争力の分析 | その企業が他社より稼げる理由(競争優位)を見極める代表的な分析方法 |
| 企業価値と株式価値の違い | 企業全体の価値(株主+債権者の取り分)と、株主の取り分である株式価値の区別 |
| 企業分析の基礎的要因 | 企業が将来も事業を続ける前提(ゴーイング・コンサーン)に立って企業価値を考える |
| 利益予想と株式価値評価 | 株価は将来の利益への期待で動く――利益予想を価値評価にどう使うか |
| ESGと株式価値 | 環境・社会・ガバナンスといった財務以外の情報が、株式価値にどう影響するか |
| エンゲージメント | 投資家が企業と対話し、企業価値の向上を働きかけるという考え方 |
(3) 株式価値評価モデルの基礎
ポイント:株式分析の中心です。「株の本来の価値=将来受け取るお金の現在価値」という考え方を軸に、配当割引モデル・FCFE割引モデル・残余利益モデル、そしてPER・PBRなどの倍率で株価を評価します。計算問題が多く出るところです。
| 学習ポイント | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 理論価値と株価の比較 | モデルで計算した価値と市場の株価を比べ、割高・割安を判断するという基本の考え方 |
| 配当割引モデル(DDM)の概要 | 株の価値=将来の配当をすべて現在価値に割り引いて合計したもの |
| 資本コスト・ROE・要求収益率 | 株主が求めるリターン(株主資本コスト)と、企業が株主資本で稼ぐ力(ROE)の関係 |
| サステイナブル成長率 | 外部から資金を調達せずに成長できるペース。ROE×内部留保率で求める |
| 配当政策と株価 | 配当を多く出すか、内部留保して成長に回すかで株価がどう変わるか |
| さまざまなDDM | 配当が一定率で伸びる定率成長モデル(ゴードン・モデル)や、成長率が途中で変わる多段階成長モデルで株価を計算する |
| インプライド配当成長率 | いまの株価から逆算して、市場が見込んでいる配当成長率を求める |
| 成長機会の現在価値(PVGO) | 株価のうち「将来の成長への期待」の部分がいくらかを取り出す |
| DCFモデルとFCFE割引モデル | 配当の代わりに、株主に帰属するフリー・キャッシュフロー(FCFE)を割り引いて価値を出す方法 |
| 残余利益モデル | 株主資本コストを上回って稼いだ利益(残余利益)に注目して株式価値を計算する |
| 残余利益モデルとPBR | 残余利益がプラスの企業はPBRが1倍を超える――両者のつながり |
| 3つのモデルの関係 | DDM・FCFE割引モデル・残余利益モデルは、前提がそろえば同じ価値になるという関係 |
| 予測値の違いと留意点 | 配当・FCF・残余利益のどれを予測に使うかで、使いやすさや注意点が変わる |
| 評価指標による割高・割安判断 | 株価指標を使って、株価が割高か割安かを判断する手法 |
| PER・PCFR・PSR・PBR | 株価を利益・キャッシュフロー・売上高・純資産と比べる倍率の意味と、使うときの注意点 |
| EV/EBITDA倍率 | 企業価値(EV)を本業の稼ぐ力(EBITDA)と比べる倍率と、それを使った評価 |
| 貸借対照表による評価 | 純資産など貸借対照表の数字をもとに株価を評価する方法と注意点 |
| 類似比較法 | 同業他社の倍率と比べて、対象企業の株価水準を評価する方法 |
株式分析を学ぶときのコツ
1. 「将来のお金の現在価値」という軸でつなげる
DDM・FCFE割引モデル・残余利益モデルは、どれも「将来株主が受け取る価値を、いまの価値に割り引く」という同じ考え方の上に立っています。公式を別々に覚えるのではなく、何を割り引いているのかの違いとして整理すると、理解がぐっと楽になります。
2. 用語は「なぜそうなるか」まで押さえる
(1)(2)は用語や制度の知識が中心です。「信用取引とは何か」だけでなく「なぜその仕組みが必要なのか」まで理解しておくと、初見の問題にも対応しやすくなります。
3. 計算はテキストの例題を自分の手で解く
(3)の価値評価は計算問題の中心です。テキストの例題・練習問題を電卓で実際に解き、式の意味を確かめながら進めましょう。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、ここで紹介した学習ポイントを1つずつ動画で解説しています。テキストとあわせて活用してください。
よくある質問
Q. 株式分析はどこから勉強すればいいですか?
大分類(1)の市場のしくみから順に進めるのがおすすめです。(1)(2)で株式と企業分析の全体像をつかんでから、(3)の価値評価モデルに進むと、計算の意味が理解しやすくなります。
Q. 計算問題はどのあたりから出ますか?
主に(3)の株式価値評価モデルです。配当割引モデル、サステイナブル成長率、PVGO、残余利益モデル、PER・PBRなどの計算を、テキストの例題でしっかり練習しておきましょう。
Q. 学習ポイントとは何ですか?
日本証券アナリスト協会が「CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」として公表している、学習内容の一覧です。出題範囲の公式な目安になるので、テキストを読むときはどの学習ポイントを学んでいるのかを意識しましょう。
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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」にもとづき、証券アナリストアカデミーが要約しています。
