企業の競争力の分析とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・株式分析
ひとことで言うと
- 企業の競争力の分析とは、その企業が同業他社より高い利益を上げられる理由(競争優位)と、それが長続きするかを見極める分析です。
- 代表的な手法に、SWOT分析、ポーターの3つの基本戦略とバリューチェーン分析、経営資源に注目するVRIO分析、事業の組み合わせを見るPPMなどがあります。
- 定性的な分析の結果は、ROEや利益率などの財務指標で裏付けることが大切です。
この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「企業の競争力の分析」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅰ/株式分析 |
|---|---|
| 大分類 | (2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析 |
| 協会の学習ポイント | 企業の競争力や優位性に関する主要な分析方法について理解する。 |
企業の競争力の分析とは
同じ産業に属していても、高い利益率を長く維持できる企業とそうでない企業があります。その差を生むのが競争優位です。競争の激しい産業では、普通の企業の利益は競争によって平均的な水準に引き戻されがちですが、競争優位を持つ企業は平均を上回る利益を上げ続けられます。株式の価値は将来の利益で決まるため、競争優位の強さと持続性を見極めることは企業分析の中心的なテーマです。
SWOT分析
企業の内部要因である強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、外部環境である機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つの視点で、企業の置かれた状況を整理する手法です。
3つの基本戦略とバリューチェーン分析
ポーターは、競争優位を築く基本戦略として、業界で最も低いコストを実現するコスト・リーダーシップ戦略、製品やサービスの独自性で高い価格を実現する差別化戦略、特定の顧客層や地域などに経営資源を絞る集中戦略の3つを挙げました。また、企業の活動を購買・製造・出荷・販売・サービスなどの主活動と、それを支える支援活動に分け、どこで価値やコスト優位が生まれているかを調べるのがバリューチェーン分析です。
VRIO分析(経営資源に注目)
企業が持つ経営資源(技術、ブランド、人材、特許など)が、経済価値(Value)・希少性(Rarity)・模倣困難性(Inimitability)・組織(Organization)の条件を満たすかを調べる手法です。価値があり、珍しく、まねされにくく、それを生かす組織体制がある資源ほど、持続的な競争優位の源泉になると考えます。
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
多くの事業を持つ企業について、各事業を市場成長率と相対的市場シェアの2軸で「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つに分類し、資金をどう配分するかを考える手法です。金のなる木(低成長・高シェア)で生んだ資金を、問題児(高成長・低シェア)や花形(高成長・高シェア)に回すのが基本的な考え方です。
押さえておきたい公式
競争優位があるかどうかは、最終的に財務数値に表れます。代表的なのが、ROEを3つに分解するデュポン分析です。
| 要素 | 意味・競争力との関係 |
|---|---|
| 売上高純利益率 | 売上からどれだけ利益を残せるか。差別化による高価格やコスト優位が表れる |
| 総資産回転率 | 資産をどれだけ効率よく売上につなげているか。薄利多売型の強みが表れる |
| 財務レバレッジ | 自己資本に対する総資産の大きさ。借入れで高まるが、競争力そのものではない |
具体例で確認
ROEが同じ10%の2社を、デュポン分析で分解してみます。
| 要素 | A社(高級ブランド型) | B社(ディスカウント型) |
|---|---|---|
| 売上高純利益率 | 10% | 2% |
| 総資産回転率 | 0.5回 | 2.5回 |
| 財務レバレッジ | 2.0倍 | 2.0倍 |
| ROE | 10% × 0.5 × 2.0 = 10% | 2% × 2.5 × 2.0 = 10% |
A社は高い利益率で稼ぐ差別化型、B社は資産を素早く回転させて稼ぐコスト・リーダーシップ型の姿が数字に表れています。同じROEでも、稼ぎ方(競争優位の源泉)はまったく違うことがわかります。また、ROEが高くても財務レバレッジだけで押し上げられている場合は、競争力が高いとは言い切れない点に注意が必要です。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「マクロ経済要因が産業に与える影響と企業の競争優位の分析方法」)。
試験で問われやすいポイント
- ポーターの3つの基本戦略(コスト・リーダーシップ、差別化、集中)の内容が問われやすいです。
- SWOT分析で、強み・弱みが「内部要因」、機会・脅威が「外部環境」である点は混同しやすいポイントです。
- PPMの4分類(花形・金のなる木・問題児・負け犬)と、市場成長率・相対的市場シェアの組み合わせが狙われやすいです。
- VRIOの4要素、特に模倣困難性が持続的な競争優位につながる点が問われやすいです。
- デュポン分析で、ROEの高さが利益率・回転率・財務レバレッジのどれによるものかを読み取る問いにも注意しましょう。
要点まとめ
- 競争優位とは、同業他社より高い利益を上げ続けられる理由
- SWOT、3つの基本戦略、バリューチェーン、VRIO、PPMが代表的な手法
- 競争優位の「持続性」まで見極めることが大切
- デュポン分析で、競争力が財務数値にどう表れているかを確認する
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
