ひとことで言うと

  • 株価は、過去の実績利益よりも将来の利益(予想利益)への期待を反映して決まります。
  • 予想利益に適正な倍率(PER)を掛けたり、予想利益から配当を見積もってDDMに入れたりして、株式価値を評価します。
  • 株価が大きく動くのは、予想そのものより予想が変わったとき(修正・サプライズ)です。

この記事では、証券アナリスト1次・科目Ⅰ「株式分析」の学習ポイントのひとつ「利益予想と株式価値評価」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅰ/株式分析
大分類 (2) 株式投資と企業のファンダメンタル分析
協会の学習ポイント 利益予想の利用と株式価値評価の関係について理解する。

利益予想と株式価値評価とは

株式の価値は、その企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値で決まります。配当も内部留保による成長も、もとをたどれば企業が稼ぐ利益から生まれるため、株式価値評価の中心には「この企業は将来いくら稼ぐか」という利益予想があります。

どんな利益予想を使うのか

日本では、多くの上場企業が決算発表の際に翌期の業績予想(会社予想)を開示しています。また、証券会社などのアナリストも独自に利益を予想しており、複数のアナリスト予想を集計した平均値はコンセンサス予想と呼ばれます。投資家はこうした予想を参考にしつつ、自分でも業績を予想して価値評価を行います。

利益予想から株価を考える2つの道筋

1つ目は、予想1株当たり利益(予想EPS)に適正と考えるPERを掛けて株価を求める方法です。2つ目は、予想EPSに配当性向を掛けて来期の配当を見積もり、配当割引モデル(DDM)に当てはめる方法です。定率成長モデルを使うと、この2つは「理論PER=配当性向÷(k−g)」という式でつながります。つまり、PERの水準は、株主の要求収益率kと成長率gで説明できるということです。

株価は「予想の変化」に反応する

市場で広く共有されている利益予想は、すでに株価に織り込まれていると考えられます。そのため、決算が予想どおりなら株価はあまり動かず、実績や新しい予想が市場の予想を上回る(または下回る)ときに株価が大きく動きやすくなります。このような予想とのずれをアーニングス・サプライズといいます。業績予想の上方修正・下方修正が株価を動かすのも同じ理屈です。

押さえておきたい公式

株価 = 予想EPS × PER予想利益に倍率を掛けて株価を求める考え方
P0 = D1 ÷ (k − g) = EPS1 × 配当性向 ÷ (k − g)定率成長モデルに予想利益と配当性向を入れた形
理論PER = P0 ÷ EPS1 = 配当性向 ÷ (k − g)kが高いほどPERは低く、gが高いほどPERは高い
記号 意味
P0 現時点の理論株価
EPS1 来期の予想1株当たり利益
D1 来期の予想1株当たり配当
k 株主の要求収益率(株主資本コスト)
g 配当(利益)の成長率

具体例で確認

来期の予想EPSが150円、配当性向が40%、株主の要求収益率kが8%、成長率gが4%の企業を考えます。

  1. 来期の予想配当:D1 = 150円 × 0.4 = 60円
  2. 理論株価:P0 = 60円 ÷ (0.08 − 0.04) = 1,500円
  3. 理論PER:1,500円 ÷ 150円 = 10倍(= 0.4 ÷ 0.04 = 10倍)

次に、PERを使う例です。市場が適正と見るPERが15倍で、予想EPSが200円なら株価は200円×15=3,000円です。ここで業績予想が上方修正され予想EPSが220円になると、同じPERでも株価の目安は220円×15=3,300円に上がります。利益予想が変わると、評価額も直接変わることがわかります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「利益予想の利用と株式価値評価の関係」)。

試験で問われやすいポイント

  • 株価は実績利益ではなく将来の予想利益を反映するという基本が問われやすいです。
  • 予想PER(予想EPSで割る)と実績PER(前期のEPSで割る)の違いは混同しやすいので注意しましょう。
  • 理論PER=配当性向÷(k−g)から、kが上がるとPERは下がり、gが上がるとPERは上がるという方向性が狙われやすいです。
  • すでに織り込まれた予想どおりの決算では株価が動きにくく、サプライズ(予想とのずれ)に反応するという点が問われやすいです。
  • 計算問題では、EPSから配当を求める際に配当性向を掛け忘れる、D0とD1を取り違えるといったミスに注意しましょう。

要点まとめ

  • 株式価値評価の中心は「将来いくら稼ぐか」という利益予想
  • 予想EPS×PER、または予想配当をDDMに入れて価値を求める
  • 理論PER=配当性向÷(k−g)で、PERとk・gがつながる
  • 株価は予想の変化(修正・サプライズ)に反応しやすい

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。