費用収益対応の原則とは?意味と試験で問われるポイント|証券アナリスト1次・財務分析
ひとことで言うと
- 費用収益対応の原則は、その期の収益を得るためにかかった費用を、同じ期の費用として計上する原則です。
- 発生主義で認識した費用のうち、どれをその期の損益計算に含めるかを決める「ものさし」の役割を果たします。
- 売上と売上原価のような個別的対応と、販売費・一般管理費のような期間的対応の2種類があります。
この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「費用収益対応の原則」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。
| 分野 | 1次 科目Ⅱ/財務分析 |
|---|---|
| 大分類 | (5) 費用の測定 |
| 協会の学習ポイント | 費用収益対応の原則を理解する。 |
費用収益対応の原則とは
損益計算書の目的は、一定期間の企業の成果(利益)を正しく測ることです。そのためには、その期に獲得した収益と、その収益を得るために犠牲にした費用を同じ期間の中で対応させて差し引く必要があります。この考え方を費用収益対応の原則といいます。
日本の会計では、収益は原則として実現(履行義務の充足)した時点で計上し、費用は発生主義で認識します。ただし、発生した費用をすべてその期の費用にするわけではありません。発生した費用のうち、当期の収益に対応する部分だけを当期の費用とし、将来の収益に対応する部分は資産(棚卸資産や固定資産など)として次期以降に繰り越します。この「振り分け」の基準になるのが費用収益対応の原則です。
個別的対応(直接的対応)
収益と費用の関係が、商品や製品といった「モノ」を通じて直接たどれるものです。代表例は売上高と売上原価です。当期に売れた商品の原価だけが売上原価となり、売れ残った商品の原価は期末の棚卸資産として資産に残ります。
期間的対応(間接的対応)
特定の売上との結びつきは直接たどれないものの、その期間の活動全体を支えた費用を、発生した期間の収益に対応させるものです。販売費及び一般管理費(広告宣伝費、本社の人件費、事務所家賃など)や営業外費用の支払利息などが該当します。
他の原則との関係
費用の計上は、「発生主義で認識 → 費用収益対応の原則で当期分を選別 → 残りを資産として繰り越す」という流れで整理できます。減価償却(固定資産の原価を使用期間に配分する)や前払費用・未払費用の処理も、費用を正しい期間に対応させるための仕組みと考えると理解しやすくなります。
整理しておきたいポイント
| 対応の種類 | 結びつき方 | 代表例 |
|---|---|---|
| 個別的対応 | 商品・製品を媒介に売上と直接対応 | 売上高と売上原価 |
| 期間的対応 | 同じ会計期間であることを通じて対応 | 販売費及び一般管理費、支払利息 |
| 発生主義 | 費用を「いつ認識するか」(価値が費消された時点)を決める考え方 |
|---|---|
| 費用収益対応の原則 | 認識した費用のうち「どれを当期の損益に含めるか」を決める考え方 |
| 実現主義・収益認識 | 収益を「いつ計上するか」を決める考え方 |
具体例で確認
ある小売業者が、当期に商品100個を1個6万円で仕入れ(仕入総額600万円)、そのうち80個を1個10万円で販売したとします。当期の広告宣伝費は50万円でした。
- 売上高:80個 × 10万円 = 800万円
- 売上原価(個別的対応):売れた80個分だけ、80個 × 6万円 = 480万円
- 期末商品(資産):売れ残った20個 × 6万円 = 120万円は、次期の売上に対応させるため資産として繰り越します。
- 広告宣伝費(期間的対応):50万円は当期の費用とします。
- 営業利益:800 − 480 − 50 = 270万円
もし仕入れた600万円をすべて当期の費用にすると、利益は150万円と過小になり、次期は逆に利益が過大になってしまいます。対応原則があるからこそ、期間ごとの成果を比較できるのです。
動画で解説
この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「発生主義による費用の認識・測定と費用収益対応の原則を理解する」)。
試験で問われやすいポイント
- 個別的対応と期間的対応の区別、および売上原価・販売費及び一般管理費がそれぞれどちらに当たるか。
- 発生主義(費用の認識時点)と費用収益対応の原則(当期の費用の選別)の役割の違い。
- 支出した額や発生した額がそのまま当期の費用になるわけではなく、未販売分は資産として繰り越される点。
- 売上原価・期末棚卸資産の計算問題の前提となる考え方として問われることがあります。
要点まとめ
- 費用収益対応の原則は、当期の収益に対応する費用を当期の費用とする原則。
- 売上と売上原価は個別的対応、販管費などは期間的対応。
- 当期の収益に対応しない部分は資産として次期以降に繰り越す。
- 発生主義・収益認識とセットで期間損益計算の土台になる。
証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。
※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。
