ひとことで言うと

  • 減価償却は、固定資産の取得原価を、使用する期間にわたって計画的・規則的に費用へ配分する手続きです。
  • 目的は資産の時価評価ではなく、適正な期間損益計算(費用収益対応)にあります。
  • 代表的な方法は定額法(毎期同額)と定率法(初期ほど多い)で、生産高比例法もあります。

この記事では、証券アナリスト1次「財務分析」の学習ポイントのひとつ「減価償却の計算」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅱ/財務分析
大分類 (5) 費用の測定
協会の学習ポイント 減価償却の意義を理解し、減価償却費を計算できる。

減価償却とは

建物や機械は、何年にもわたって売上の獲得に貢献します。購入した年に全額を費用にすると、その年の利益は極端に小さく、翌年以降は大きくなり、期間ごとの成果を正しく比べられません。そこで、取得原価(から残存価額を引いた額)を耐用年数にわたって各期に配分し、毎期の費用とします。これが減価償却です。

減価償却は、あくまで原価の配分であり、資産の時価を毎期評価し直す手続きではありません。そのため、貸借対照表の帳簿価額(取得原価 − 減価償却累計額)は、必ずしも売却できる価格と一致しません。なお、土地は使っても価値が減らないと考えるため、減価償却をしません。

減価償却の3要素

計算には、取得原価・耐用年数・残存価額の3つが必要です。耐用年数と残存価額は見積りであり、企業の判断によって毎期の費用が変わりうる点が、財務分析上の留意点になります。

キャッシュ・フローとの関係

減価償却費は現金の支出を伴わない費用です。現金は取得時にすでに出ていっているため、間接法の営業キャッシュ・フローでは、当期純利益に減価償却費を足し戻します。また、減価償却費は税務上の損金になることで税金を減らす効果(タックス・シールド)も持ちます。

押さえておきたい公式

定額法:減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数毎期同じ額を計上する
定率法:減価償却費 = 期首帳簿価額 × 償却率期首帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額。初期ほど償却費が大きい
生産高比例法:減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)× 当期利用量 ÷ 総利用可能量航空機や車両など、利用量に比例して価値が減る資産に向く

具体例で確認

取得原価1,000万円、耐用年数5年、残存価額ゼロの機械を期首に取得したとします。

  • 定額法:1,000 ÷ 5 = 毎期200万円
  • 定率法(償却率40%とする):下の表のとおり、1年目が最も大きくなります。
期首帳簿価額 定率法の償却費 期末帳簿価額
1年目 1,000万円 400万円 600万円
2年目 600万円 240万円 360万円
3年目 360万円 144万円 216万円

1年目は定率法の償却費が定額法の2倍になり、利益は定率法のほうが小さくなります。後半になると逆転し、耐用年数全体で見れば費用の合計はどちらも取得原価に等しくなります(実務の定率法では、帳簿価額を耐用年数内でゼロにするため途中で償却方法を切り替える工夫がされています)。

生産高比例法では、たとえば総走行可能距離20万kmの車両(取得原価1,000万円、残存価額ゼロ)を当期に3万km使った場合、1,000 × 3 ÷ 20 = 150万円となります。

試験で問われやすいポイント

  • 減価償却の目的は「費用配分による適正な期間損益計算」であり、資産の時価評価ではないこと。
  • 定額法と定率法の計算、特に定率法では期首帳簿価額に償却率を掛けること(取得原価に掛ける誤りに注意)。
  • 定率法は初期の費用が大きく利益が小さい。成長期の企業どうしを比べる際の影響。
  • 減価償却費は非資金費用で、間接法の営業CFで足し戻されること。
  • 土地は減価償却しないこと、耐用年数・残存価額が見積りであること。

要点まとめ

  • 減価償却は取得原価を耐用年数にわたって配分する手続き。
  • 定額法は毎期同額、定率法は期首帳簿価額 × 償却率で初期ほど大きい。
  • 生産高比例法は利用量に応じて配分する。
  • 減価償却費は現金支出を伴わず、営業CFの計算で足し戻す。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。