ひとことで言うと

  • 起こりうる結果全体を標本空間、その一部分を事象といい、確率は事象の起こりやすさを0から1の数値で表したものです。
  • 確率は「0以上1以下」「全体の確率は1」「同時に起こらない(排反な)事象の確率は足し算できる」という性質をもちます。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「確率の基本概念と性質」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (4) 確率変数
協会の学習ポイント 確率についての基本的な概念や重要な性質について理解する

確率の基本概念とは

試行・標本空間・事象

サイコロを振る、1年後の株価を観察するといった、結果が偶然によって決まる行為を試行といいます。試行で起こりうるすべての結果の集まりが標本空間(Ωで表すことが多い)で、その一部分が事象です。たとえばサイコロなら標本空間は{1, 2, 3, 4, 5, 6}、「偶数の目が出る」という事象は{2, 4, 6}です。

確率の定義

すべての結果が同じ程度に起こりやすい場合は、「事象に含まれる結果の数 ÷ 標本空間の結果の数」で確率を計算できます(古典的な確率)。一方、ファイナンスで扱う株価の上昇・下落などは、同じ程度に起こりやすいとは限りません。そのため、多数回の観察で得られる相対頻度や、主観的な見込みを確率として扱うこともあります。いずれの場合も、確率は次の基本的な性質を満たすものとして定義されます。

確率の基本的な性質

第一に、どんな事象Aでも0 ≦ P(A) ≦ 1です。第二に、標本空間全体の確率はP(Ω)=1で、決して起こらない空事象の確率は0です。第三に、AとBが同時には起こらない(排反である)とき、「AまたはB」の確率はP(A)+P(B)と足し算で求められます。ここから、「Aが起こらない」という余事象の確率は1−P(A)となる性質も導かれます。

これらの性質は、この後に学ぶ加法定理や条件付き確率、確率分布、期待値の計算すべての土台になります。特に余事象の考え方は、「少なくとも1回は〜」といった確率を簡単に求めるときに役立ちます。

押さえておきたい公式

0 ≦ P(A) ≦ 1、P(Ω) = 1確率は0以上1以下、全体の確率は1
P(A ∪ B) = P(A) + P(B)AとBが排反(同時に起こらない)場合
P(Ac) = 1 − P(A)AcはAの余事象(Aが起こらない)
記号 意味
Ω 標本空間(起こりうる結果全体)
A ∪ B AまたはB(和事象)
A ∩ B AかつB(積事象)
Ac Aの余事象

具体例で確認

サイコロを1回振る場合を考えます。

  • 事象A「偶数の目」={2, 4, 6}:P(A)=3÷6=1/2
  • 事象B「1の目」={1}:AとBは同時に起こらない(排反)ので、P(AまたはB)=1/2+1/6=2/3
  • 余事象「6以外の目」:1−1/6=5/6
  • 2回振って「少なくとも1回は6が出る」:余事象「2回とも6以外」の確率は(5/6)×(5/6)=25/36なので、1−25/36=11/36

最後の例のように、直接数えると場合分けが面倒な確率も、余事象を使うと簡単に求められます。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「確率についての基本的な概念や重要な性質を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 標本空間・事象・余事象・排反といった基本用語の意味。
  • 確率の性質(0以上1以下、全体で1、排反なら足し算)。
  • 「排反」と「独立」の混同。排反は同時に起こらないこと、独立は一方が起きてももう一方の確率が変わらないことで、別の概念です。
  • 「少なくとも1回」の確率を余事象で求める計算。

要点まとめ

  • 起こりうる結果全体が標本空間、その一部が事象。
  • 確率は0以上1以下で、標本空間全体の確率は1。
  • 排反な事象の確率は足し算でき、余事象の確率は1−P(A)。
  • 排反と独立は別の概念なので区別して覚える。

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。