ひとことで言うと

  • 第一種過誤は、帰無仮説H0が正しいのに棄却してしまう誤りで、その確率が有意水準αです。
  • 第二種過誤は、H0が誤っているのに棄却しない誤りで、その確率をβと書きます。
  • 検定力(1−β)は、誤ったH0を正しく棄却できる確率です。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「第一種・第二種の過誤と検定力」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (6) 推定と検定
協会の学習ポイント 仮説検定における第一種過誤と有意水準、第二種の過誤と検定力について理解する。

第一種・第二種の過誤と検定力とは

仮説検定は、限られた標本から結論を出すため、どうしても判断を誤る可能性があります。真実(H0が正しいか誤りか)と判断(棄却するかしないか)の組み合わせは4通りあり、そのうち2つが誤りです。

第一種過誤は「本当は差がないのに、差があると判断する」誤りで、いわばあわて者の誤りです。H0が正しいときに検定統計量が棄却域に入る確率は、棄却域の決め方そのものからαになります。つまり、有意水準αは第一種過誤を犯す確率をあらかじめ決めたものです。

第二種過誤は「本当は差があるのに、差がないと判断する」誤りで、見逃しの誤りです。その確率βは、真の値が帰無仮説からどれだけ離れているかによって変わります。1−βを検定力と呼び、「本当にある差を見つけ出す力」を表します。

αとβのトレードオフ

標本の大きさが一定のとき、αを小さくする(棄却域を狭める)と、H0を棄却しにくくなるため、βは大きくなり検定力は下がります。両方の誤りを同時に小さくするには、標本数nを増やすことが有効です。nが増えると標準誤差が小さくなり、真の差を見分けやすくなるためです。また、真の値とH0の値の差が大きいほど、検定力は高くなります。

整理しておきたいポイント

真実\判断 H0を棄却しない H0を棄却する
H0が正しい 0を棄却する”>第一種過誤(確率α)
H0が誤り 0を棄却する”>正しい判断(検定力1−β)
変化 第二種過誤β 検定力1−β
αを小さくする 大きくなる 低くなる
標本数nを増やす 小さくなる 高くなる
真の値とH0の差が大きい 小さくなる 高くなる

具体例で確認

母標準偏差10、標本数n=25の正規母集団で、H0:μ=100、H1:μ>100を有意水準5%の右側検定で調べます。

  1. 標準誤差:10 ÷ √25 = 2
  2. 棄却域:標本平均 > 100 + 1.645 × 2 = 103.29(H0が正しいとき、ここに入る確率が第一種過誤α=5%)
  3. 真の平均が105だった場合の第二種過誤:β = P(標本平均 ≦ 103.29) = P(Z ≦ (103.29 − 105) ÷ 2) = P(Z ≦ −0.855) ≒ 0.196
  4. 検定力:1 − 0.196 ≒ 0.804

有意水準を1%に厳しくすると棄却の境目が右へ動くため、βは大きく、検定力は低くなります。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「仮説検定の方法と手順・片側検定と両側検定・p値・第一種過誤と第二種過誤・検定力を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • 第一種過誤と第二種過誤の定義の取り違えを狙った選択肢に注意しましょう(正しいH0を棄却=第一種)。
  • 有意水準α=第一種過誤の確率検定力=1−βという対応が問われやすいです。
  • nが一定ならαを小さくするとβは大きくなるというトレードオフの方向が狙われやすいです。
  • 標本数を増やすと検定力が上がる、真の差が大きいほど検定力が上がるといった影響の方向を押さえておきましょう。
  • 棄却の境目を求め、真の平均のもとでβや検定力を計算する手順も確認しておきましょう。

要点まとめ

  • 第一種過誤=正しいH0を棄却、その確率が有意水準α
  • 第二種過誤=誤ったH0を棄却しない、その確率β
  • 検定力=1−β=誤ったH0を正しく棄却する確率
  • nが一定ならαとβはトレードオフ、nを増やせば両方を小さくできる

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。