ひとことで言うと

  • ノンパラメトリック検定は、母集団が正規分布に従うといった分布の形を仮定せずに行う検定です。
  • データの値そのものではなく、符号(+か−か)や順位を使うのが典型的な方法です。
  • 外れ値に強く、正規性が疑わしいときや順位データしかないときに使われますが、正規性が成り立つ場面では検定力がやや劣ることがあります。

この記事では、証券アナリスト1次「数量分析と確率・統計」の学習ポイントのひとつ「ノンパラメトリック検定」について、意味と試験で問われやすいポイントを解説します。

分野 1次 科目Ⅲ/数量分析と確率・統計
大分類 (6) 推定と検定
協会の学習ポイント ノンパラメトリック検定の概要について理解する。

ノンパラメトリック検定とは

t検定やカイ二乗検定などは、母集団が正規分布に従うことを前提に、平均や分散といったパラメータ(母数)について検定します。これをパラメトリック検定と呼びます。これに対して、分布の形を特定しない検定をノンパラメトリック検定といいます。

株式のリターンは、正規分布よりも裾が厚く、ときに極端な値が出ることが知られています。標本が小さいうえに外れ値があると、平均や標準偏差に基づく検定の結果が大きく左右されます。こうした場面では、値の大小関係だけを使うノンパラメトリック検定が役に立ちます。

代表的な手法

符号検定は、各データが基準値より上か下か(+か−か)だけを数え、二項分布を使って検定します。ウィルコクソンの符号付き順位検定は、差の符号に加えて差の大きさの順位も使います。2つのグループの比較には順位和検定(マン・ホイットニー検定)、2つの変数の関係にはスピアマンの順位相関係数などが使われます。

長所と短所

長所は、分布の仮定が不要で、外れ値の影響を受けにくく、順位や順序しかないデータにも使える点です。短所は、値の大きさの情報を一部捨てるため、母集団が本当に正規分布に従う場合には、パラメトリック検定より検定力が低くなりやすい点です。

整理しておきたいポイント

項目 パラメトリック検定 ノンパラメトリック検定
分布の仮定 正規分布などを仮定 仮定しない(緩い)
使う情報 値そのもの(平均・分散) 符号・順位
外れ値への強さ 影響を受けやすい 影響を受けにくい
正規分布のときの検定力 高い やや低い
代表例 t検定、カイ二乗検定、F検定 符号検定、順位和検定、順位相関

具体例で確認

あるファンドの過去10か月の超過リターンを見ると、プラスが8か月、マイナスが2か月でした。1か月だけ極端なマイナスがあり、t検定には不安があるため、符号検定を使います。

  1. H0:超過リターンの中央値は0(毎月プラスになる確率は0.5)、H1:プラスになる確率は0.5より大きい
  2. H0のもとで、プラスの月数は二項分布B(10, 0.5)に従う
  3. 8か月以上プラスになる確率:(45 + 10 + 1) ÷ 1,024 = 56 ÷ 1,024 ≒ 0.0547
  4. p値5.47%は5%をわずかに上回るため、有意水準5%ではH0を棄却できません。

値の大きさは使わず、プラスかマイナスかだけで判断しているため、極端な1か月の影響を受けない点がこの方法の特徴です。

動画で解説

この論点は、証券アナリストアカデミーのYouTubeで解説しています。テキストとあわせて確認してください(動画「ノンパラメトリック検定の概要を理解する」)。

試験で問われやすいポイント

  • ノンパラメトリック検定は母集団の分布を仮定しないという定義が問われやすいです。
  • 値そのものではなく符号や順位を使うこと、そのため外れ値に強いことを押さえましょう。
  • 正規性が成り立つ場合には、パラメトリック検定より検定力が劣りやすいという短所が狙われやすいです。
  • 符号検定・順位和検定・順位相関などの代表例と、t検定などのパラメトリック検定との区別を確認しておきましょう。

要点まとめ

  • ノンパラメトリック検定=分布の形を仮定しない検定
  • 符号や順位を使い、外れ値や非正規なデータに強い
  • 正規分布が成り立つ場面では検定力がやや低い
  • 代表例は符号検定、順位和検定、スピアマンの順位相関

証券アナリストアカデミーのYouTube(@cma-fa-academy)では、学習ポイントに沿って論点を1つずつ解説しています。

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※学習ポイントは日本証券アナリスト協会「【2026年度】CMA資格の取得に求められる主要学習事項と学習ポイント」より引用しています。